魔法少女二人でダンジョンへ②
『燕三条のダンジョンって上層でも結構硬いんだけど、スパスパ切れるんだね』
「それはそうよ! くーの結界はすごいもの!」
視界の端に映し出される配信のコメントに、俺ではなくるーが薄めの胸を張って答える。まぁ結構暇してるだろうし、メインの対応は任せておくかな。
俺の足元には、金属の光沢を放つ……あれだ、ル〇バのサイズを大きくして、くもの様な足を生やしたロボットが真っ二つに断ち切られて転がっていた。
日本の各地に出現しているダンジョンに出てくるモンスターは、その影響を与えた元の世界に順じたモンスターが生み出されている。だから各ダンジョンでいろいろ異なるモンスターが出現するわけだが……燕三条はその系統がロボット型という特に珍しいモンスター群になっている。
当然その体は硬そうな金属で構成されており実際他所のモンスターに比べると防御力は高い……けど、結局の所ダンジョンにおける影響をするのはマナだ。非常に高いレベルで構築されているアイリスの結界であれば、それほどこのように断ち切るのも難しいものでもなかった。元の体だとまだマナの変換精度が悪くてかなり厳しい相手になってたと思うけど。
「それにしても、数が多いわねぇ、いろいろと」
「だなぁ」
何かを含ませたような言い方をしたるーの言葉に、俺は頷きを返す。
燕三条ダンジョンの上層は、モンスターの出現数が多い。更に先ほど言った通り防御力も高めなため、なかなかに面倒なダンジョンとなっている。更に進んだ先の中層は2級より下は立ち入りが制限されていることもあり……一応とある理由で全く人気がないダンジョンではないんだけど、かといってそれほど人数が多いダンジョンというわけでもないのだ。
だが、今俺達がいる広めの地下空洞には、それなりの数の同業者たちがいた。るーが口にした言葉に含まれたのは、そちら側の方の意味が多いだろう。
というのも、その同業所達の視線が大分こちらに集まっているからだ。
……まぁ、正直な所派手なコスチュームを着た美少女二人がそこにいれば、視線が惹かれるのはしかたないと思うけど。
ただ、元々ここはそこまで数が多くないダンジョンのハズなんだけどなぁ……うま味のあるあるドロップ品を落とすモンスターがいるのは中層以降なので。数が多い上に硬く、ドロップ品も微妙な上層にしか入れない3級以下の同業者はほぼここには来ないハズなんだけど。
……どうもつい最近ここでかなり強力なアイテムが見つかったらしくて、しかもそれが上層で見つかったために低ランクの探索者までここにやってきているようだ。
「……ちゃんと歩いて進もうと思ってたけど、中層まで飛んでいっちゃうかコレ」
「いいとおもうー。話しかけられるのもめんどくさいしー」
さっきから何度か別のグループに話しかけられてるんだよな。ナンパ的なアレだったり、最近知名度を上げた俺に対するミーハーな行為だったり。ただどちらにしろ鬱陶しいのは確かだ。ただ撮影ドローンがあるから行き過ぎた行為をしてくるのはさすがにいないのは助かるけど。
幸いな事にこのダンジョンは通路も広く天井も高いため、飛行には大きな支障はない。俺達が今回目的としたのは件のレアアイテムではなく、中層でドロップする素材だ。正直下層を時間をかけて進む意味はない。
……戦っている皆の上をすっ飛んでいくのって印象が悪くなりそうだなーと思ったけど、まぁいいか。エコモードで戦っているとはいえディバインアームズに蓄積しているマナは消費して言っているわけだし、こんな所で無駄に消費するのはもったいない。
「タンデムでいいか?」
「おっけー。後ろに乗って、ちゃんとぎゅっと捕まっててね」
ディバインアームズはちゃんと制御すれば同乗者を振り落とす事もないんだが……まぁいいか。
早々にディバインアームズを出して跨っているるーの後ろに跨り、彼女のお腹の辺りに後ろから手を回してぎゅっと掴まる。
その手に一回さっとるーの手が触れたあと、ゆっくりとディバインアームズは空中へと浮上し、
「行くよー」
一気に加速した。




