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マナの変質


傾いていく体に俺はアイリスを飛行状態にさせる事で対処しようとしたが、その前に背後から誰かに両肩を支えられる事で助けられた。


「柔らかっ……大丈夫か、トワちゃん」

「あ、はい大丈夫です」


後ろで支えてくれたのは泊さんだったらしい。なんか言葉の最初に変な言葉が聞こえた気がしたけど助けてくれたので触れないでおいて、俺は改めてアイリスを展開して最大化させ、飛行状態にする。更に4人全員を囲うように結界を展開。


これで俺は揺れが影響しなくなるし、こないだみたいに足元が崩壊しても全員落下することもなくなる。


対策が済んだので揺れが終わるのを待っていると、徐々に揺れは小さくなっていき大体30秒ほどで完全に揺れは収まった。


……収まったんだが、それと同時に俺はある感覚を得て、つぶやきを漏らした。


「不味いかな、これ」

「不味いな、こいつは」

《まずいわね、これは》


「……へ?」


ほぼ同じタイミングで内容もほぼ同じなつぶやきが3つ重なった。俺、藤原さん、アイリスだ。まぁアイリスの声は俺にしか聞こえないから、他の人には二人分が重なっただけだけど。


「……何か気づいたのか?」


そう声をかけてきたのは、俺と同じつぶやきを漏らした藤原さんだった。俺は改めて感知領域の感覚を確認してから答える。


「感知領域の範囲内に恐らくモンスターが突如出現しました。距離は80m位……ただ、こちらとは反対側に移動をし始めたので、こちらには気づいていないようです」


そこまで全く何も感じなかった所に突如反応が現れたので、先ほどの地震の影響で出現した可能性が高い。ただそこまでは小山や岩、そして生い茂る木々で視界が通っていないせいもあってか別方向へ移動し始めた。こちらからちょっかいを掛けない限りはひとまず大丈夫そうだ。


「そうか……」


俺の答えに、藤原さんが眉を顰めて考える様子を見せる。それからちょっと離れてくれと俺達に告げ、腕を突き出すと……その腕の先からぼうっと、拳よりちょっと小さい程度の炎が現れた。その光景に藤原さんは厳しい表情を浮かべると、拳を握りこむようにしてその炎を消失させる。


「? ……何してんだおっさん?」


その様子を見ていた泊さんが首を傾げてそう問いかけると、藤原さんは厳しい表情のまま答えた。


「今、俺は"ファイアーボール"を使ったんだ。通常と同じ出力でな」


……この世界での魔術はゲームのように唱えれば発動するほど簡単ではないが、その技術は大部分が大魔導からトランスファーされたものであり、名称も彼女が伝えたそのままで利用されている。

今藤原さんが口にした"ファイアーボール"は高熱の炎弾を相手に叩きつける魔術だが、人によって出力の差はあるとはいえあんなピンポン玉程度のサイズしかないということはない。


出力を意図的に絞る事はできるが、藤原さんは通常と同じ出力を絞っているといった。ということは、だ。


「マナの質が変質してやがる。恐らく通常の10分の1の出力も出ねぇぞ、これ」

「マジかよ」


その言葉に、泊さんが頭を抱える。広範囲の魔術を使う彼には特に影響が大きいだろう。一応自身の持つ魔力だけで魔術は行使可能だが、そんな事をすればすぐにガス欠してしまう。死活問題だった。変質したマナに合わせて魔術をカスタマイズして操作すれば自身の魔力の消費量はセーブできるが、即席で出来る程簡単な事ではない。


というか、そこまでマナの質が変化しているのは一体どういうことだ? ダンジョンは半分異世界化している場所だとはいえ、あくまでベースはこの世界のマナだ。下層に落ちるほどマナは変質するとはいえ、ここまで異質のものとなるのは聴いた事がない。


そう感じた疑問は、だが即座に脳内に響く声によってかいしょうする事になった。


《そりゃマナも別物になるわよ。先ほどの揺れで、このダンジョンの構築に影響を与える世界とつながったわ。その結果今この場所のマナは、ほぼ異世界のもののマナに置き換わっている》




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― 新着の感想 ―
80mで反応がないのならそこまで危なくはないか まあ単に一般人並に鈍いのか、気付いていて歯牙にもかけてないかはまだ分からんけど てかマナの質が変化したのなら読み取った距離も当てにならないか?
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