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同行者達と顔合わせ


「すみませーん、遅くなりましたー……」


開いた扉から中を覗き込むと、部屋の中にはすでに3人の姿があった。


ここは房総ダンジョンの管理を行っている支部の事務所、その一室である。ダンジョンに潜る前にこちらで顔合わせということで、支部の職員さんに連れてこられた場所がここだった。


聞いている話だと今日のメンバーは4名らしいので、俺が最後という事になるだろう。


「まだ時間前だ、気にすることはない」


そう返してくれたのはその中でも一番年かさの男性だった。年齢は40前後だろうか? 少し彫りの深い顔付きで落ち着いた雰囲気を醸し出している男性だ。


「……今日はあの恰好じゃないのね?」


それに続いて声をかけたのはまだ20歳前後の女性……各務さんだった。そんな彼女の言葉に、俺は苦笑いと共に答える。


「あの格好で表を歩き回れるわけないじゃないですか」

「あ、あの格好趣味じゃなかったんだ」

「魔力伝導率と増幅率がいいから仕方なく着ているだけで趣味ではないです。絶対にないです」

「あ、はい」


マジでこれは強く否定しておかないといけない。あれが趣味だと思われたら俺はもう外を歩けない。

ちなみに今の俺はシンプルなブラウスに膝丈のスカートである。別に着飾る必要ないしな。どうせこの後配信始める頃には変身してるし……


「でもその恰好も似合ってるね! 映像で見るより可愛くてびっくりしたよ!」


最後にまんま(おれの中での)チャラ男な感じで話しかけてきたのは、20代半ばくらいの青年だった。がっしりとした壮年の男性よりは細身だが、背丈はこの中で一番高かった。180あるかないかくらいかな?


……各務さんも女性にしては背丈は高い方だから、この中だと俺が一番小さいんだな。まぁいいけど。


《ちっちゃい久遠かわいいよ❤》


いやそんなフォローはいらん。今更別に気にしている事でもないし。


「ひとまず君は私達の事を知らないだろうし、まずは自己紹介しようか」


壮年の男性がそう切り出してくれたので、頷く。なんて呼べばいいかもわからないしな。

ここにいるという事は実力者なのだろうが、俺はこっちに戻ってきてから3か月の上それほどダンジョン配信も見ていないのでごく一部の探索者しか知らないのは許してほしい。


「まずは言い出しっぺからの俺からだ。私は藤原。藤原重光だ。階級は準1級。詳しい能力に関しては道すがら説明するがまぁ前衛向きの人間だ」


了解、藤原さんね。

手を差し出されたので握り返す。俺に比べると全然でっかく、ごつごつした手だ。なんかもうこの手の感じで強そうな感じがする。


「トワです。もうご存じかもしれませんが帰還者(リターナー)です。よろしく」

「ああ、よろしく頼む」

「トワちゃんって本名なの?」


小さく笑い合ってから手を離すと、横から青年の方が声を掛けてきた。


「あ、俺(とまり) 鉄心ね。鉄の心と書いて鉄心、よろしくね、トワちゃん!」


こっちはなんか軽い感じの人だな、と思いつつ、彼も手を差し出してきたので握り返す。


「あ……ちっちゃ……柔らか……」

「はい?」


何かぼそっと呟いたけど聞き取れなかったので聞き返すと、何故か彼は慌てた様子で首を振ると手を離した。


「えっと……?」

「あー、こいつ鉄の心なんて名前をしてくるせに実際はふにゃっふにゃな奴だから。ついでにむっつりだしな」

「おい待てやおっさん!?」

 

苦笑いしてそう口にした藤原さんに、泊さんが食って掛かる。そんな二人を各務さんが呆れ顔でみて、


「泊さん、外見はいいのにスケベだから気を付けてね、トワちゃん」

「刹那ちゃんもひどくね!?」


あー、はい、そういうキャラクターなのね。俗にいう三枚目キャラって奴ね。


「スケベなら各務さんも気をつけないといけないのでは?」

「あー、刹那ちゃんにはそう言う事しないデス、ハイ」


いや、過去に何かあったの? と思ったけどまぁそれは今聞くような事じゃないか。それよりも、だ。


「皆さん、結構親しい感じですけど……」


そんな疑問には藤原さんが答えてくれた。


「あー、同じ関東圏の準1級なら仕事で一緒になることはよくあるからね。それぞれ一緒に仕事したことは何度かあるんだよ」


成程。確かに準1級以上となると数は限られるし、ダンジョンに潜れば少なくとも数時間は一緒になるはずだ。この3人は全員コミュニケーション能力には問題ない感じだし、それなりに親しくはなるか。


となると、俺だけが親しくない感じだよね。まぁ三人とも悪い人じゃない感じっぽいし大丈夫かな?


《三人と上手くお話できなくても久遠には私がいるから大丈夫よ!!》


はいはい。

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