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ある日図書館で美少女に出会った

 倒れたあの日から数日後。

 俺は図書館に足を運んでいた。

 図書館は良い。本が並んでいる雰囲気が好きだ。そして何より無料タダ

 ホリック・バンについて調べようと思ったが、俺の家にはWi-Fiがない。そんな訳で今回は図書館のパソコンに用があった。スマホの通信量は貴重なのだ。


 あの後、俺の額に変化はなかった。あざが若干光ったまんま。つまり、外出にはちまきを装着することを余儀なくされた訳だが、なんてことはない。気にしなければいいのだ。そう、気にしなければ…。


 ――チラ…チラ…


 控えめな視線を感じる。まあそうだよな。俺も気になるもん。図書館にはちまき巻いて来てる人いたら。

 仕方ないんだよ、これには深い事情が…。


 心の中で言い訳しつつ目立たない場所を歩く。こういう時一人なのって、アウェー感があって少し恥ずかしい。


 さて。

 パソコンの前に座りキーボードを叩く。早速検索開始だ。


『検索:ホリック・バン とは』


『ホリック・バンとは

 好きが爆発症候群のこと。

 原因は不明だが、特定の物事への集中力が高まった際起こるとされており、その殆どが発症者の趣味嗜好に基づく行動がきっかけである。10万人に1人の確率で発症する。』


 ――割と珍しいようだ


『名前の由来は、感情が爆発的に高まった時起こったという発症者の証言によるものである。』


 ――だからってそんなトンチキな名前をつけるヤツがあるか


『急な発熱及び痣の出現、痣からの発光という珍しい症状を起こす。1週間程度で治ることが多いが、進行した場合に五感・身体能力の変化が見られる。』


 ――何が変化すんだよ


『発症するのは主に思春期の子供であり、進行すれば精神的・肉体的成長に重大な影響を与えるため特別なカリキュラムの元 教育を行うことが義務付けられている。』


 ふむ。殆ど医者の先生から言われたことと一緒だな。

 この、進行した場合の変化っていうのがすごく怖いので、予め知っておきたい所だ。

 もう少し検索してみる。


 えぇと、ホリック・バン“とは”の部分を置き換えて…

『検索:進行したら』

『検索:変化』………


 重ねて検索するも、目ぼしい情報はヒットしない。

 おいおい何だよ。なら治るのを神に祈るしかないわけか。


『検索:治す』

『検索:治らない 対処』……


 深い情報が全く出てこない。

 これは先生に聞いた方が良さそうだ。餅は餅屋か。


 そういえば、進行した場合は専用の施設に通うことになる…と先生も言っていた。

 特別なカリキュラムって何だよ。そもそも通う気はないんだけど…

 また検索をかけていく。


『検索:施設』

『検索:教育 方法』…


 ――あ。

 ようやくそれっぽいページにヒットした。


『私立 秋桜学園』


 聞いたことがない学校だ。ずっと田舎の方にある学校らしい。


『中高一貫校。特設科と普通科を有する。

 特設科では、全国で唯一ホリック・バン発症者の教育・支援に力を入れている。』


 へえ……、先生が言ってた“施設”ってこの学園のことだろうか。

 さらにスクロールを進めようとした、その時だった。


「ねえ。この学校に興味があるの?」


 ヒュッと息をのむ。

 誰だ。このフロアには俺しかいなかったはずなのに。


 ふと影が差し、蜂蜜を透かしたような美しく長い髪が視界の端にかかった。キーボードの横に誰かが手をつき、その人は体温が移りそうなくらい体を近づけてくる。


 振り向けば、そこには紫の瞳を見定めるように細めて俺を見つめる女子がいた。

 ……うおお。吃驚した。

 美少女と言って差し支えないだろう。花蓮と同じくらい可愛い(兄馬鹿)。ベクトルは違うが、綺麗系といったところか。

 見た感じ俺とほぼ同じ年。

 ……あとめっちゃ良い匂いがする。


 彼女は髪を耳にかけながら言った。

「図書館でインターネットだなんて今時硬派だね。パソコンの画面、丸見えなんだもん。すごく気になっちゃった。」


 何とまあ一つ一つの動作が様になる人だ。

 しかし覗き見とはいい趣味をしている。いや俺が見せつけたも同然…なのか?


 ……ずっと距離が近い。

 気にならないのか……?

 椅子がキャスター付きで助かった。スウッと横にズレて距離をとる。

 ……若干視線が泳いでしまう。


「あの、なんすか…?」

「あはは、いくら私が可愛いからってそんなにかしこまらなくても良いんだよ」


 おい。

 俺のときめきを返してくれ。

 速攻で中身の残念感を出すんじゃない。


 げんなりする俺をよそに彼女は隣の席の椅子を近くに寄せ、座り、マウスを我が物顔でイジり始めた。


「ほら、ここ」


 渋々指差された画面を見る。そこには学園長の名前が表示されていた。年老いた女性の顔写真と共に。


 ――天條(てんじょう) たまき


「はあ」

「それで、私の名前。ホラ」


 そう言うと彼女はプレート――おそらく学生証だろう、を掲げて見せた。


 ――天條(てんじょう) 唯華ゆいか


「私はここの学生で、加えて学園長は私の伯祖母。つまり結構な関係者なの。 …直向 得志くん」


 ハッと彼女の顔を見る。

「なんで、俺の名前……」


 怖い怖い。見ず知らずの人間にどうして名前を知られているんだ。

 俺の反応に満足したのか、彼女はニヤッといたずらっ子のような笑みを浮かべ、目を伏せた。視線の先には白魚のような手。

 彼女は袖を捲り、右腕を手のひらですっと撫でる。すると、みるみる内に模様が染まっていった。

 息を呑む。これは、俺と同じ…


「そう、私もお仲間と言う訳よ」


 重ねて、器用にウインクしながら彼女は言った。


「君を勧誘しに来たの」


 彼女の右腕には、確かに俺と同じようなあざができていた。


軽め設定↓

【直向 得志】

悩める中学3年生。身長175cm。髪と瞳:オレンジっぽい茶


【直向 花蓮】

活きがいい小学6年生。可愛い系。身長145cm。髪と瞳:オレンジっぽい茶(薄め)。おかっぱボブでワンサイドアップのイメージ。


【病院の先生】

メガネ。生真面目そうな不真面目。まだ30代。


他以後追記予定、いずれまとめます。

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