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孤高のナダ  作者: 紫ようか
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序章

ほとんどの方がご存じの日本神話を題材に、勝手な解釈で思うがまま書いていきます。


書いて行くうちに心変わりして、設定がブレる可能性もありますが、「所詮、神話だし」と流して下さい。

※実際の神話もブレブレです



光が溢れ、

風がふき、

水が満ちた。

神々が豊かな世を創り

様々な生命が生まれた。


遥か遥か太古の昔、

神々と人々は、共にそこに在った。







季節は春になったが、ヒノ川の水はまだまだ冷たい。

淀みない川に、1人の娘が入水していく。


昨年採れた穀物と酒が捧げられた祭壇を挟み、ムラ人達が地面にひれ伏す姿を横目に水かさが膝上まで来たところで、娘はヒノ川の水を両手で掬った。

手のひらに収まりきらない水が連なって滴り、その連なりが途切れないうちに天高く昇った太陽に向かって散らした。

陽の光に照らされて、一雫一雫がきらきらと虹色に輝く。

祭壇前の巫女尊師が祈りの言葉を捧げる中、娘は目を閉じて空を仰ぎ問いかけた。


(どこにいるのですか?)

また、一掬いしさらに高くに雫を散らす。

(私はここにおります)


雫が全て川に溶け、淡々と水が流れる音と巫女尊師の祈りの言葉だけが聞こえる。

とうとうと流れゆく澄んだ水に触れ、

娘は、ずいぶん幼い頃に聞こえなくなった声の主に何度も問いかける。


(どこに行ってしまったのですか。ヒノ神様)


呼びかけも虚しく、懐かしい声は応えてくれない。

そのかわり、ここ最近不明瞭な声が娘を呼ぶ。

きっと姉達も聞いていたであろう声。

日に日に近づいてくるその声は何重も重なってはっきりとは聞こえないが、確かに自分を呼んでいるとわかる。


娘は目を閉じ、ふたたび散らした水滴を身体に浴びながらゆっくりと目を開け、正面を見た。

緑豊かな木々。

鳥の囀り。

清らかな水の流れ。

巫女尊師の声。



ああ、今度は私の番だ。












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