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あの桜の下で  作者: 斬鮫 残月
2/5

知ってる言葉の意味を知る

僕はこれと言ってなんの取り柄もない


勉強もスポーツも友人関係も。。。


とにかく何もかもが人より劣っている


「the・ダメ人間」といっても過言ではない


僕は家から近く学力も自分に合った高校に入学した

俗にいう 名前が書ければ合格する。。。底辺高校だ


なんとなくで過ごした結果

あと一年で高校卒業


いや。。。一年もないな

つい昨日までで高校生活最後の夏休みを終えた


結局三年間友達とお祭りに行くなんて夢 かなえられなかったなぁ


クラスのみんなは就職や進学で頭を抱える中

俺はそんなことには目もくれず机にうずくまり睡眠学習だ。。。


正確には睡眠学習の振りだ

そりゃそうだろ 周りが試験や面接やら騒いでる中

俺には関係のない話


そうだ

僕は父の仕事を継ぐ  縁故というやつだ


たしかに僕にはとりえはない でもそういう運だけはよかったんだ

そんな雰囲気で僕の二学期は幕を開けた

といっても何ら変わりのない

いつものように通学して

いつものように挨拶をして

いつものように席に着いた


そう 何ら変わりのない日常を過ごした

しばらくして先生は一人の女子生徒と一緒に教室に入ってきた

「転校生」だ


赤いインナーカラーを入れたサラサラの髪に日焼け知らずのとても白くきれいな肌。。。


僕の中に電流が流れた

転校生「桜木鈴歌さくらぎすずかです 埼玉から来ました 趣味はピアノと占いです。 少しのあいだですがよろしく     お願いします」

 言い終わるとその子は軽くお辞儀をした

気が付けは僕の隣には誰も座っていない席があった

先生「席は・・・飯田の隣が空いてるからそこに」

 そう言うとそこにその転校生はその席に座った

桜木「よろしく! 教科書とかまだそろってないから見せてもらってもいいかな・・・?」

 その子は僕の顔を覗き込みながら言った

僕「わかった」

この時の僕はどうかしていたのか・・・

もっと優しく話せなかったのかと今でも後悔している

僕「そういえば自己紹介してなかったね  飯田護いいだ まもる 桜木さん埼玉から来たんだよね

  わかんないことあったら聞いて」

蚊の鳴くような声で声を捻りだした

そういうと桜木は少し笑いながらうなずいた

そうして二学期の初日は幕を閉じた

僕が帰ろうとしたとき桜木に止められた

桜木「一・二時間くらい学校案内してくれないかな・・・」

ちょうど暇だった

帰ってもどうせやることもない

とりあえず必要そうな場所を説明して歩き回った

きっと他から見たら

クラスの陰キャが美少女転校生と模擬デートをしてもらっている様だっただろう

悔しいが僕はもう桜木に惚れていた

自分でも信じられなかった。

転入性を一目・・・たった一度見ただけで惚れてしまった

僕はこの日「ひとめぼれ」の意味を理解した

気が付くともう外も暗くなって

気が付けばもう18時を回っていた

飯田「さすがにもう遅いし。。。送っていくよ」

そういうと桜木と一緒に出入口に向かった

偶然にも同じ方向だった

帰り道にはスーパーやコンビニ そして公園がある

途中コンビニにより肉まんを買い食べながら歩いていた。

強い風が吹いた

一瞬にしてあたりの人の気配が消えた

まるで嵐が来る前のように


少しの間沈黙があった


沈黙を破ったのは桜木のほうだった

桜木「送ってくれてありがと」

つぶやくように桜木が言った

飯田「いいよ家まで送るし。。。 ちなみにここ僕の家だから」

僕は一つの家を指さしながら言った

桜木「いいよ  もう送ってもらったから 明日の朝 飯田君の家の前に集合ね!」

そういうと桜木は僕の隣の家に元気に「ただいま」と言いながら入っていった

その光景を眺めてから僕も家に入った


夕飯はカレーと唐揚げ。。。

僕の大好物だ


夕飯を急いで済ませいつも通りお風呂に入った

素子いつものようにPCをいじり

いつものように動画を見て

いつもと同じようにベッドに入った


ただ・・・寝れない

どうしても桜木のことを考えていた。。

気が付くと鳥の鳴き声とともに朝の光が部屋に差し掛かっていた


時間は7時

急いで準備をした

20分という最速記録をたたき出したのだ

わくわくしながら玄関から飛び出した

目の前には

制服の上に白いカーディガンを羽織った桜木の姿があった

飯田(雪の精霊か君は。。。)「おはよ」

頑張って冷静を装っていつも通り 

友達にするようないつも通りの挨拶をした


その日も何も変わることのない1日を過ごした

ただ一つ違うとしたら

隣に桜木がいるということだ

授業中も

休み時間も

昼食の時も。。。(天国かよ)

そしてその放課後 その時も隣にいた

夕方もやはり外は冷えるらしい

今僕の隣には白い雪の精霊がいる


飯田「桜木さん  僕桜木さんに一目惚れしました 僕の彼女になってください!」


僕は何を言っているのだろう

無理に決まっている

うつむいたときに桜木が口を開いた


桜木「私も・・・ 飯田君のこと好き・・・かも・・・私で良ければ飯田君の彼女にしてください」


もちろんこの日も一緒に家まで帰った

昨日と違うのは 手をつないでいることだ

寒い日はやはり人のぬくもりが一番

心にしみる。。。。


これが僕の最初で最後の告白だ

これから毎日。。

そう桜木がいつも通り。。になる

きっとこれが青春っていうものなんだろう


青春といえば僕はまだ言ってなかったことがあった

こう見えても僕は無能な「生徒会 会計」だ


火曜はいつも生徒化の会議でいつも18時くらいになる

桜木はいつも音楽室でピアノを弾いたり図書室で本を読み待っていた


ある火曜日その日は会議が長引き終わったころには19時になっていた

僕は全力で走り音楽室へ

そこにはもう誰もいなかった

図書室ももうしまってしまっている。

飯田「もう帰っちゃったか・・・」

一人さみしく暗い下駄箱まで歩いた

背後から手が伸びて僕の肩を叩いた

その手は桜木の手だった


桜木「びっくりした?」

子供のような笑顔で言ってきた

正直に言おう

あと一秒遅かったら裏拳をお見舞いしているところだった


飯田「よし! じゃあ行こうか!」

そう言って桜木に手を伸ばした

二人はどこから見てもカップルだった


この時間がずっと続けばいいのに。。。


手をつないだ二人は静かに夜の闇に消えていった

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