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初恋☆リベンジャーズ  作者: 遊馬友仁
第一部〜ドラ・ドラ・ドラ!我レ復讐ニ成功セリ〜
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第8章〜やるときはやるんだ〜⑤

 それは、先週末に行われたクラブ紹介時の白草四葉のステージ上での生写真とされるモノである。

 

 一年の生徒とともに、クラブ紹介に参加していた一部の上級生男子からの口コミで、壇上に立つシロの絢爛華麗さは、瞬く間に校内に広まり、


「ステージのヨツバちゃんを見てみたかった!」


という声が、各所から上がっていた。

 金曜日の放課後、壮馬とシロを含めた三者会談による計画の方針決定後、すぐに、LANEアプリで体育会系各クラブへの協力要請を行ったオレのもとには、


==============


了解!

協力は惜しまん!


ただし――――――


==============


という文言のあと、


==============


テスノートとともに、


今日の白草四葉のブロマイド


を要求する!


==============


という主旨の一文が、各クラブから寄せられていた。


「『ブロマイド』って、昭和かよ!?」


 彼女に聞こえないように、心のなかでツッコミを入れたオレは、同じく彼女に悟られないように、LANEのメッセージ画面を壮馬に見せる。


 各クラブ代表者からの返信メッセージを目にした壮馬も苦笑し、


(どうする? 白草さんにも伝えておく?)


という視線を返してきた。

 しかし、不審な行動を取る二人のアイコンタクトは、あっという間に対象者に察知され、


「なになに? どんな返事が来たの?」


と、オレからスマホを奪い取ってメッセージの内容を確認したシロにも、体育会系一同の要求が露見してしまった。


「ハァ……ホント、男子って、どうしようもないな〜」


 そう言いつつも、満更でもないようすのシロ。


(まあ、彼女に無断で生写真の配布を進めた後、その行為がバレて、事態がこじれるよりマシか……)


 互いに顔を見合わせて、そう考え直したオレと壮馬は、


「この要求、断ろうか……?」


と、シロ本人にお伺いを立てる。

 しかし、当の本人は、


「そうだな〜。広報部の内部から、『ヨツバちゃんの歌う姿はオレだけのモノだ〜』なんて、独占欲むき出しの声が上がれば、お断りしたいところだけど……」


と言って、オレの方に目を向けて、クスリと笑い、余裕の表情で、意味深長に言葉を続ける。


「そうでなければ、わたしは別に構わないよ! た・だ・し……」


「なんだ? なにか、条件があるのか?」


 オレがたずねると、シロは明るく言って笑った。


「配布する画像の選定は、わたしにさせてくれない? あと、念のためのレタッチ加工もね! 表現者として、ファンの目に触れるモノに対するクオリティー・コントロールは、必須でしょ!?」


 そして、彼女は、壮馬が撮影していたクラブ紹介時の動画を《編集スタジオ》のデスクトップPCで再生させ、自身のパフォーマンス映像を丹念にチェックし、キッチリとカメラ目線になっている角度の瞬間を選び出す。

 さらに、切り出した映像を静止画として保存し、《フォトショップ》のアプリを起ち上げると、あっという間にシャドウやハイライト効果を加えたレタッチングを施して、加工画像を仕上げてしまった。これで、あとは、L判のサイズで写真用の用紙に印刷するだけだ。


「はい、完成! 黒田クンも、こっそり定期入れに忍ばせてイイからね」


「オレの定期入れは、こんなに大きなサイズじゃねぇよ」


 ツッコミを入れつつ、彼女のSNS向けに特化したデジタル・スキルに半ばあきれつつ、竜司はため息をつく――――――。

 そんな週末の出来事を回想しつつ、無事にプレゼンと外部折衝を終えたオレは、転入生の白草四葉が、確実に校内での人気を確立していっていることを実感するのだった。


4月30日(土)


 オープン・スクールの一大イベントに向けて、各クラブが本格始動し始めて、約二週間が経過した。

 翌週の五月七日に開催予定の本番に向けて、校内の駐車場スペースには、シロや、その他のメンバーが登壇するステージの設営が始まっているそうだ。

 体育会系の面々は、今日から一部のメンバー(大半は入部したばかりの一年生らしい)を招集して、フロートの搬出と移動練習を行ってくれているという。

 また、オレとともに、パレードの中心を担ってくれるマーチングバンドの吹奏楽部と、バックコーラスを務めてくれるコーラス部も練習に余念がない。

 さらに、オレ自身はと言えば、放課後にコーラス部とのセッション練習を重ねて、ようやく歌声の方はサマになってきたところだ。

 あとは、そのコーラス部とともに、ゴールデン・ウィークの連休中に休日登校をして、フロートの台上でのパフォーマンスとダンス部や新体操部とのコラボレーションのタイミングを調整して、本番に備えるのみだ――――――。

 

 そして、午後の予定が空いていた、この日、


==============


クロ、週末の予定は空いてる?


時間があるなら、買い物に

付き合ってほしいんだけど


==============


というシロからのLANEのメッセージを受け取ったオレは、彼女とともに、ターミナル駅に直結した商業施設(施設の名前は、せん門店&ひゃく貨店を足したモノが由来らしい)に来ていた。


「来てくれてありがと! ()()()()()()()()()に贈るモノだから、クロにもプレゼント選びのアドバイスをしてほしかったんだ……」


 無邪気な笑顔で語るシロの()()()()()という言葉が気に掛かるが、オレは、それが誰のことなのかを聞き出せないでいる。

 そんなコチラの想いを気にするようすもなく、彼女は、


「お店は、もう決めてるんだよね〜」


と言いながら、駅ビルの四階にある店舗に向かって、ズンズンと歩いて行った。

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