第4楽章〜フィナーレ〜①
同日 午後8時〜
夕飯を終えて、1時間ほどが経過した頃――――――。
シロと宮野の二人も、宿泊先のペンションから、合宿所である青少年の家に戻ってきた。
その彼女たちに、吹奏楽部3年の有志によるサプライズ企画は、肝だめし大会だと伝えると、宮野は、
「また、ホラー関係のイベントだすか……」
と乾いた笑いを見せ、一方のシロは、
「えっ、肝だめしなの? キャ〜〜〜〜、コワ〜〜〜〜い」
とオレに抱きついてくるような仕草を見せた瞬間、
「また、それですか? いい加減、ワンパターンなリアクションは、やめてください」
そう言って、オレとシロの間に割って入った桃華にツッコミを入れて行動を止められていた。
合宿の初日に、合宿参加者全員でカレーを作った炊飯場に集まったメンバーを前にして、ふたたび、司会進行役を務める寿先輩は、さっきよりも、さらに生き生きとした表情で、肝だめし大会のルールなどの説明を始めている。
「今夜は、私たち3年有志による納涼! 肝だめし大会に集まってくれてありがとう! 今回の肝だめしに参加するに当たって、絶ッッッ対に守ってほしいルールがあるから良く聞いてね」
「は〜い!」
吹奏楽部のメンバーたちは、声を揃えて返事をするが、そこに、練習中のようなピリピリした雰囲気はない。
「大事な注意事項は、5つあります。それじゃ、さおりん、ルール説明をお願い」
寿先輩の言葉にうなずいた早見先輩が、ルール
「ルールその1! コース厳守:参加者は決められたコース以外を歩かないように徹底して下さい。巡回コースには、誘導のための目印を設置しているので、見逃さないでね」
「ルールその2! 複数人での行動:これから、厳選なる抽選で行うクジ引きで、ペアのメンバーを決定します。肝だめしのコース上では、原則として1人で行動せず、必ずペアのメンバーと行動して下さい」
「ルールその3! 緊急連絡手段の確保:コースの安全性には配慮していますが、暗闇の中なので、万が一のことが起こる可能性があります。ペアのどちらかは、必ずスマホを持って、運営メンバーと連絡が取れるようにしておいて下さい。緊急事態の連絡は、スタートとゴールを仕切る、わたし宛にお願いします」
「ルールその4! 走らない::慌てて転倒する危険があるため、走らずに歩いて進むようにして下さい」
「ルールその5! 懐中電灯の使用: 足元を照らすために懐中電灯は絶対に手放さないでください。みんな、わかった?」
「はい、わかりました!」
早見先輩が声をかけると、今度は、気合が入りぎている部員たちは、一斉に声を揃えた。
「ありがとう! それじゃ、次は、進行上のルール説明に移ります」
「はい!」
「進行のルールその1:ミッションの達成:コースの途中に御札が貼ってある場所があります。それをとって、ゴールに戻って来て下さい」
「進行のルールその2! 時間差スタート:各ペアが一定の時間を空けてスタートします。前のグループに追いついてしまうと、オバケ役の準備が整っていなかったり、雰囲気が壊れたりするから、慌てずにゆっくり歩いてね」
「進行のルールその3! オバケ役との接触禁止:オバケ役のメンバーには、直接触れないようにして下さい。参加者とオバケ役の両方が驚いて怪我をしたり、トラブルになったりするのを防ぐため絶対に守って下さい。進行のルールの説明は、以上です」
早見先輩のルール説明が終わると、「ありがとう、さおりん」と言ってから、寿先輩は進行を受け継いだ。
「最後に、私の方から、とっておきのお話を――――――実は、この青少年の家には、こんな怪談が残されているんだよね〜」
先輩は、おどろおどろしげな語り口で言ったあと、こう付け加えた」
「私から、語るより文字情報で確認してもらった方が良いかも。吹奏楽部のグループLANEに怪談のリンクを貼っておくから、興味のある人は読んでみてね」
先輩の言葉を聞いたオレは、早速、取材用にグループ入りさせてもらっている吹奏楽部のLANEを確認する。
リンク先には、こんな話が掲載されていた。
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白咲海岸近くに「白咲青少年の家」ってのがあってね。
で、そこで、「リーダー研修」ってのが子供の頃にあってね。近隣の小学校から何人かづつ集まったりして、合宿したんだ。
昼間はなんだかんだでレクリエーションしたり、カレーライス作ったりで、そりゃあ楽しかった。
そうこうするうちに夜になって、いくら元気な子供でも、そりゃあ疲れるよねぇ。
だけど、消灯時間になってベッドに入っても寝付けない。
外はいつのまにか雨が降っていて風も強い。
自分は、寝付けないもんだからリュックからマンガなんか出したりして枕元の壁、横の壁なんだけど、そこにちっちゃなライトがあったから、それをヒョイとつけて読んでた。
すると、コンコン……コンコン……と音がする。
なんだろなぁ……と思いながらもマンガを読んでた。
すると、また、コンコン……コンコン……。
なんだろう? その枕元のね、壁のライトから音がする。
だから、叩いてみたんだ。そのライトを。
……コンコン……コンコン。
そしたら、向こうからも、コンコン……コンコン……。
同じ研修で来てるヤツが、隣の部屋でもって叩いてるんだと思って、
「おい、誰かかいるのか?」
と聞くと――――――。
「いるよ」
お! 自分とと同じように眠れないヤツがいるよ!って楽しくなってね。
それから、そいつと好きなヤツいるのかとか、ウチの学校にはこんな先生がいるよ、なんてことをあ〜でもないこ〜でもないって話しが盛りあがりましたよ。
で、そのうち眠くなって、
「眠くなったから寝るよ」
「じゃあ」
ってな具合で、そのまま寝ちゃったんだ。
次の朝になって、「あ、そうだ。昨夜のヤツ起きてるかなぁ」なんて部屋を出まして隣の部屋の前に行ったんだよ。
だけど……………………。
「あれ~? 名前がないぞぉ」
無いんだ。部屋の前に名前の札をいれるところがあるのにそこに名前が無い。
自分の部屋の前にも他のヤツのとこにも、参加者の名前があるのに……。
よく考えると、ず~っと並んでる部屋。
自分たちが寝ていた部屋までで、メンバー全員なんだ。
あるわけないんだ。隣の部屋に、他の誰かがいたなんてことは――――――。
あれは誰だったのか? 結局わからなかった。
あるんだよねぇ、こういうことって。
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