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初恋☆リベンジャーズ  作者: 遊馬友仁
第二部〜カリスマ女子高生になったわたしに、初恋の彼が全校生徒の目のまえで告白してきたけど、もう遅い!〜
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幕間〜うらあかりゆらゆらる〜後編

5月14日(土)


〜白草四葉の裏アカウント〜


====================

ヨツバch裏@grey_fairy たったいま


大増町(おおますまち)サンコートの四階部屋の契約完了。


これで、心理的な距離だけでなく、実際の距離も、彼に近づくことができた。


#引っ越し計画

====================


 前日の金曜日に、ホーネッツの二人が利用している《編集スタジオ》で、彼ら二人が出会ったころのエピソードを聞かせてもらったあと、生意気な下級生が、彼と同じマンション(しかも同じフロアだ!)へ引っ越してきたという、ク《・》ロ《・》の《・》を《・》じ《・》る《・》として、見過ごすことのできない事態に直面したわたしは、すぐに行動を開始した。


 黄瀬クンに、クロとあ《・》の《・》下級生が出演していたという中学校の校内放送の音声データを送信してもらうようお願いし終えると、すぐに、次の連絡先に電話を掛けた。


「今日、大増町のマンションの内見でお世話になった、白草です。見せていただいた大増町サンコートの契約を進めていただきたいのですが……はい! はい! 詳細は、また明日、お店にうかがってから……」


 黄瀬クンや紅野サンたちとマンション前で合流する直前まで、わたしは、不動産仲介の営業の女性社員サンと一緒に、その賃貸マンションの内見をさせてもらっていた。

 もちろん、わたしは、


「三階のお部屋が空いているなら希望したいです!」


と、要望を伝えたのだが、不動産屋のお姉さんがお店の端末で検索を行うと、希望した三階の物件は、二月末に、一度、解約されたものの、つい先日、入居者が決まったとのことだった。

 クロと同じフロアに入居することが叶わなかったので、契約を即決することを避けたのだけど、他の階の空き部屋ならば内覧が可能だということで、わたしは、営業のお姉さんにお願いして、大増町(おおますまち)サンコートの内見をさせてもらうことにした。

 幸運なことに、クロの入居する部屋の真上の四◯一号室が空いているということで、その部屋を見せてもらい、内装や設備などが自分の求める水準に達していることを確認する。

 クロと黄瀬クンの《編集スタジオ》や、クロ自身の部屋でも、内装などをチェックすることはできていたけど、やはり、ポスターなどが貼られていない壁と、家具の置かれていない実際の空き部屋を見せてもらったことには、効果があった。

 真っ白な壁を背景にすれば、自分が行う配信用の動画撮影にもピッタリだろう。

 クロと黄瀬クンが、撮影場所を兼ねた《編集スタジオ》に選んだだけはある。

 この部屋のことをスッカリ気に入ったことで、


「契約を前向きに検討する」


ということを営業のお姉さんに伝えて、マンションの一階ロビーで別れた。

 このまま、このマンションの住み心地をたずねるという名目で、クロの部屋を訪問し、引っ越しの相談にのってもらおう、と考えていたのだ。


 そんな計画を立てていたのだけど――――――。


 あの憎たらしい下級生が、わたしの完璧な計画を台無しにしてくれた……。

 しかも、あろうことか、わたしが希望していた、クロと同じフロアの一室に引っ越して来たという。

 なんという抜け目のなさだろう……。

 春休みに、クロが自ら語った告白の失敗を告げる動画を見て以来、すべて、予定どおり順調に進んできた、わたしの計画が、初めて壁にブチ当たった気分だ。

 

 それでも、すぐに、マンションの契約を進めることができたので、十分に挽回は可能だろう。


====================

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clover_field 


転校して、状況も落ち着いたので、一人暮らしをすることになりました!

新しいお部屋が正式に決まったら、あらためて紹介させてもらうね。


みんなに、お部屋の内装について相談したいな


#近日発表

#新しいお部屋

====================


《ミンスタ》の表アカウントの更新を終えたわたしは、アプリを閉じて、黄瀬クンから送信してもらった音声ファイルを開く。

 あのク◯生意気な下級生が、校内放送とやらで、どんな風にクロと絡んでいたのか、じっくり確認しておく必要がある。


「敵を知り己を知れば百戦(あや)うからず」


 戦いには、常に十分な情報を持って、挑むべきなのだから――――――。

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