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初恋☆リベンジャーズ  作者: 遊馬友仁
第二部〜カリスマ女子高生になったわたしに、初恋の彼が全校生徒の目のまえで告白してきたけど、もう遅い!〜
199/392

幕間〜うらあかりゆらゆらる〜前編

5月5日(木)


〜佐倉桃華の裏アカウント〜


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モモカ複垢@peach_and_cherrypie 1時間前


引っ越し作業完了


あとは、自分の移動だけ


#引っ越し完了

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 中学校の卒業式を終え、芦宮(あしのみや)高校の合格が決まってから、密かに進めていた計画が、ようやく、順調に動き出した。

 春休み中に感染症に(かか)ってしまったため、四月をまるまる病院と自宅での療養で過ごすことになったワタシは、苛立ちと焦燥感に駆られながら、高校一年生のゴールデン・ウィークを迎えていた。

 それでも、四月の最終日に陰性の証明をもらったワタシは、中三の頃からの約束通り、一人暮らしをするため、春休みの前に両親が契約を終えていたマンションへの引っ越し準備を進め、ゴールデン・ウィーク最終日に、ようやく、その作業を終えることができた。


 ここまでの作業を人知れず進めていたのは、学校に通うことができなかったという理由もあるが、本来なら、くろセンパイたちと過ごして、中学生時代以上に、お互いの心理的距離を縮めるハズだった四月の予定がすべて白紙になってしまったため、物理的距離が近づいたことを「サプライズ」として告知して、彼に印象づけようと考えたからだ。

 以前に入居していたという大学生が、三月末を待たずに、くろセンパイと同じフロアの一室を退居したのは、本当に幸運だった。


 芦宮高校の合格発表とほぼ同時に、くろセンパイの一人暮らし部屋と彼らの《編集スタジオ》があるマンション、大増町(おおますまち)サンコートの三階フロアの一室の契約が成立した、と両親から聞いた時は、四月からの高校生活に期待が膨らむばかりだったんだけど――――――。


 まさか、その後、予想もしなかった、くろセンパイの失恋話を視聴することになり、そのあと、彼以上にショックを受けたためか、長期に渡って自分の体調まで崩すことになるとは思わなかった。


 もちろん、客観的に見れば、ワタシの心理的ショックと感染症での入院の間に、因果関係などないことはわかっているけれど……。


 女子に無縁だと思っていた彼が、想いを寄せる相手がいたという事実と、相手に振られてしまったということを同時に知ることになった衝撃は、春休み最大の出来事として、ワタシの心に大きなショックを与えていたことは事実だった。

 ただ、このひと月以上、ワタシを苛立たせていた病状は、いまや、すっかり快復した。

 あとは、二日後のオープン・スクールで、くろセンパイが計画している(と思われる)サプライズ告白を阻止するだけだ。

 芦宮高校生徒会と広報部の名義で発行されているオープン・スクールのパンフレットに目を通して、学内の特設ステージで行われるという歌唱パフォーマンスとマーチングバンドを中心としたパレードの概要や開始時間を確認する。

 頭の中で、自分自身の計画をチェックしたあと、まだ着慣れない制服に袖を通し、自撮りをした写真は、表アカウントの《ミンスタ》に投稿しておくことにした。

 

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いいね!を見る

cherry_and_peachpie 今月から、ようやく高校に初登校!


明後日のオープンスクールのパレード楽しみだな。

 

#芦宮高校オープンスクール

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 くろセンパイが、告白を思いとどまってくれるかどうかが、自分の高校生活の運命を決める――――――。


 この時のワタシは、そんなふうに思い込んでいた。

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