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初恋☆リベンジャーズ  作者: 遊馬友仁
第二部〜カリスマ女子高生になったわたしに、初恋の彼が全校生徒の目のまえで告白してきたけど、もう遅い!〜
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第2章〜黒と黄の詩〜⑬

「おい、チョット待てよ!」


 自分でも驚くくらいのボリュームで発せられた声に、女子二名は、ビクッと身体を震わせていた。

 しかし、相手が反論をする前に、ボクの隣で、


「まあまあまあ……」


と、なだめる声がした。

 声のした方に目を向けると、黒田が苦笑いを浮かべながら、


「黄瀬、いきなり大声を出したら、女子がびっくりするだろう?」


そう言って、ボクをたしなめる。


「けど、黒田……」


(好き勝手に言わせてて良いのかよ?)


という言葉を発しようとするボクを制して、彼は、


「それより、この時間は、コンピュータ室を使っても良いみたいだから、向こうに移動しないか? インターネットで色々と検索できるし、作業がしやすいと思うんだ」


と、他のメンバーに提案する。

 すると、彼らは、


「「「さんせ〜い!」」」


と言いながら、文房具を持って、コンピュータ室への移動を始めた。

 そのようすを憮然としながら見ていると、三人が教室を出たのを確認した黒田が、声をかけてきた。


「黄瀬……なにか言おうとしてくれてたのに、割り込んでゴメンな……」


「いや、ボクのことは別にイイけど、黒田はさ……先週、休んでいたのだって、お父さんのことと関係が……」


 そこまで口にしたあと、


(しまった……)


と後悔したが、クラスメートは、一瞬、表情を曇らせたものの、すぐに、笑顔に戻って、


「そっか……黄瀬は知ってたんだ……ありがとうな」


と、また、こちらに気をつかうように言葉を返す。

 あまりにストレートな感謝の言葉に、面くらったボクは、つい照れ隠しで、こう返した。


「なに言ってんだよ、黒田は周りに気をつかい過ぎなんだよ。小学生の時から、そんなに気配りばかりしてたら、ストレスで、将来ハゲちゃうよ?」


「えっ!? マジかよ! 髪がなくなるのは、勘弁してほしい」


 真顔になって悲壮感を漂わせる彼の表情が面白く、思わず吹き出しそうになってしまう。


「髪の毛のことだけじゃなくて、黒田は、もっと自分のことにも気をつかった方がイイよ」


 そう言って、注意喚起をしたあと、ボクは、こめかみの辺りをかきながら、彼にたずねてみた。


「そう言えば、昨日、黒田の家に遊びに来ないか? って、誘ってくれたけど……今週の土曜日に黒田の家に行っても大丈夫?」


 ボクの言葉を聞いた彼は、パッと明るい表情になり、腕をボクの首に絡ませてきた。


「おう! 大歓迎だ! 待ってるぜ、壮馬!」


「なんで、急に名前呼びなんだよ!?」


 ボクが、すかさずツッコミを入れると、


「なんだ? オレのことも、竜司って呼んでイイぞ?」


と、まともな返答になっていない言葉を返してくる。


「わかった……わかったから、暑苦しい絡み方はヤメてくれるかな?」


 冷静に返答すると、竜司は、「なんだよ〜」と言いながら、身体を離した。

 

 その後、コンピュータ室に移動して制作を始めた共同制作課題(グループワーク)では、学年で『優秀賞』をもらうことができた。

 竜司は、


「壮馬がパソコンを使ってデザインをしてくれたおかげだな!」


と言っていたけど、バラバラだったメンバーを竜司がまとめ、彼の修正したレイアウト案がなければ、この結果は得られなかっただろう、とボクは感じている。


 このあと、ボクの習い事がない日は竜司の家に入り浸ることになったり、月末に、二人でこっそりとテーマパークに行って、あのタイムマシンとの別れを惜しんだり(タブレットで撮影したこの時の写真は、いまもクラウド上に保存している)、『ホーネッツ』というユニット名(?)を名乗って動画サイトやSNSにアカウントを取得し、ネットの世界にのめり込んで行ったりしたのだが、それは、また別の話しだ――――――。

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