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初恋☆リベンジャーズ  作者: 遊馬友仁
第二部〜カリスマ女子高生になったわたしに、初恋の彼が全校生徒の目のまえで告白してきたけど、もう遅い!〜
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第2章〜黒と黄の詩〜⑨

 放課後のコンピュータ室では、ボクが所属するコンピューター・クラブのクラブ活動や総合の授業などでパソコンの使い方を教えてくれる矢野先生が監督役として待機していた。


「矢野先生! パソコン使わせてもらいます」


 ボクより先にコンピュータ室に入室したクラスメートが先生に声をかけると、


「おっ! 黒田か……ここに来るなんて、珍しいな。黄瀬にパソコンの使い方を教えてもらうのか?」


小学校のコンピュータ機器などの管理を任されている情報担当の先生は、笑顔で返答してくれた。


「失礼します」


 ボクも、軽くお辞儀をしてから、タブレット型のPCの前に座る。


「先生、ウチで授業用に作ったデータを使いたいので、自分のGoogleアカウントでクロームにログインしても良いですか?」


 電源を入れて、PCの起動を待ちながら、矢野先生にたずねると、


「黄瀬、自分のデータを使うのか? う〜ん……今回は、許可するけど、シャットダウンする前に、ちゃんと、アカウント情報は消しておけよ〜。先生も確認するからな」


利用者が少ないためか、個人アカウントを使用することを特別に許可してくれた。

 

(これで、大丈夫そうだ……)


 隣に座る黒田に目線で合図を送りながら、起動を終えたWindows10のデスクトップから、Googleクロームのアイコンをダブルクリックし、アカウントアイコンを選択して、自分のGoogleアカウントを入力する。

 アプリアイコンをクリックすると、(当たり前だが)自宅の環境と同じように、Googleスライドのアイコンが表示されたので、再びクリックすると、週末にボクが作った共同制作課題(グループワーク)用のレイアウト案があらわれた。

 

「このデザインか?」


 黒田が指を差して確認するので、無言でうなずきながら該当するデータを選択する。

 選択したデータが、大きくモニターに表示されると、黒田は


「これ、黄瀬が、一人で作ったのか? スゲェじゃん」


と、感想を口にする。


「別に、大したことじゃないよ……」


 彼の言葉に、素っ気ない感じで答えながらも、気を良くしたボクは、


「どこか、直したほうが良いところはある?」


と、たずねてみた。

 すると、黒田は、真剣な表情で、自身の見解を述べた。


「そうだな……班の人数に合わせて、調べた内容を書き込む場所を五つに区切ってくれたのは良いと思うけど……もっと、写真やイラストを使うスペースは作れないか? あと、見出しの隣には、県の地図かキャラクターを置くと良いかもな……」


 彼の言葉を受けて、ブラウザのタブを二つ増やし、Googleで画像検索を行う。

 ひとつ目のタブでは、ボクたちの住む県の地図を、ふたつ目のタブでは、県のキャラクター名を打ち込み、画像表示させる。

 それぞれの検索結果にアクセスして、画像をGoogleドライブにダウンロードし、そこから、見出し部分の両隣に画像を配置させてみた。


「こんな感じ?」


 スライドに画像を呼び出して配置を完了し、隣に座るクラスメートに問いかけると、黒田は楽しそうに反応する。


「おぉ〜! イイ感じじゃん、黄瀬! スゲェよ」


 そんな共同作業者のようすに、少し気分を良くしたボクは、続けてレイアウトの修正に取りかかる。


「文字を書き込む場所を少なくして、写真やイラスト用の場所をつくるってことは、こんな感じにするの?」


 スライドの画面を操作し、レイアウトの変更を行って、さっきと同じようにネット上からダウンロードした、白鷺城と呼ばれる世界遺産の天守閣の写真を空いたスペースに貼り付けてみた。

 すると、


「そうそう! こういうのでいいんだよ! こういうので」


黒田は、年齢に似合わず、孤独にグルメを愛する中年男性のような声をあげた。

 ボクも、彼と顔を見合わせ、二人で微笑み合う。

 

 しかし――――――。


「二人とも、盛り上がっているところ悪いが、もうすぐ下校時間だぞ〜」


 監督役の矢野先生から、声がかかった。


「えっ!? もう、そんな時間か……もう少し、やりたかったんだけどな〜」


「気持ちはわかるけど、また、今度な〜。黄瀬、きちんとログアウトして、アカウント情報は消しておくんだぞ」 


 先生の一言に、「わかりました」と、素直に応じて、アカウント削除の手順を行い、シャットダウンの準備に入るボクに、黒田がたずねてきた。


「明日の放課後は、コンピュータ室も使えないし、どうする?」


 その言葉に、「う〜ん」と考えながら、気落ちする彼に


「今日は、習い事もないし、ボクの家に来て、続きをする?」


と、提案してみた。

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