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落ちて来た腕

作者: FEN

それはいつだったか。

正確な日は覚えていないが、初夏の頃合いで

じわりとした暑さが不快で目を覚ましたのを覚えている。


なぜかうつ伏せで寝ていて、右腕を下敷きにしていた。

その当時はまだ学生で、実家暮らしだったので

休みの日は、昼ごはんと共に起き出すような

そんな自堕落な生活を送っていた。


(まだ昼前か。もっと寝ていられたな。)

などと考えながら、もう一眠りしようと寝返りを打った。


目を瞑りながら仰向けになった瞬間

ドサッっと胸の上に、子猫程度の重さの何かが落ちてきた。


生き物を飼っていた訳でもなかったので

異様なものが落ちて来たのは明白だったが、寝惚けていて

思考能力がなくなっていたのだろう。


何だよまったくもう!と心の中で悪態をつきながら

それを咄嗟に左手で掴み、顔の前に乱暴に突き出すと

正体を確かめるべく目を開けた。


その正体を見て、あまりの事にビクッとなり

一瞬で目が醒めた。

目の前に人間の手がある。それも手だけではない。

人の腕を左手で掴んでいた。


自分の腕であれば、掴んでいる感覚があるだろう。

そんな感覚は一切ない。天井から腕が落ちて来たという事だ。

なぜか物凄く冷静に腕の先を目で追った。


ちょうど手首の下あたりを掴んでいた。

持ち上げると、そのまま肘がある。

そして気がついた。

自分の肩と繋がっていた...。


自分の腕を下敷きにして寝ていた為

腕が痺れて感覚がなくなっていただけだった。

だから無意識的に左手を動かし、腕を掴んだのだろう。

胸の上に落ちた際も、腕にはぶつかった感覚はなかった。


利き手の右手を動かそうとしていたら

痺れている事に気がついていたかもしれない。

最初のショックで、二度寝する眠気が吹き飛んだのは

言うまでもない。


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