荼毘
冒険者の世界で死骸や遺体の処理は大別すると2つになる
1つは普通に埋葬、もう1つは魔法を使って荼毘に伏す方法だ
埋葬はアンデッド化には全く抗えず余程ではない限り勧められない
もう1つも魔力や魔法が拙い場合はお勧め出来ない
特に迷宮内で荼毘に伏すと煙や匂いで他の魔物をホイホイする確率が高く炎系魔法は酸素欠乏やガスの誘爆を招く恐れがある
魔法での荼毘、特に閉鎖的な空間では結界を張った上で風・水・土系の魔法で遺体を「塵」に返すのが一般的なのだそうだ
手間暇と限られた魔力を消費して荼毘に伏す人は少なく次いでは端に寄せる程度しかされない
死して屍、拾う者無し。である
「それにしても…この手裏剣ってヤツは使えるなぁ」
ガイジさんの棒手裏剣は俺と初音さんからの結婚祝いの1つだ
以前から投げナイフを多用していたガイジさんは嵩張るナイフの収納に四苦八苦していた
ソコで忍者が使う棒手裏剣をプレゼントしたって訳
これならナイフより嵩張らないし数も持てる
ちょっと戦闘にはコツが必要だけどね
棒手裏剣をクルクル回してみせるガイジさんはまるで本物の忍者みたいだ
まぁシーフは役割的に忍者っぽいしね
処理も終わりこのまま階下を目指すか、残りのミノタウルスを倒すかで議論が持たれた
「後続の冒険者達を考えれば殲滅ってヤツもアリだが此処は先に進もう」
「「「「賛成」」」」
冒険者はお遊戯ごっこじゃない
己の身を守りながら進めないなら辞めた方が長生き出来るのだ
程なくしてガイジさんが階段を発見し、俺達は先に進む事にした
この迷宮の総階数が何階かは知らないが目的は調査であり攻略ではないって事を改めて心に留めた
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「どうやらこの先に大物がいるみたいね…」
現在の階層は7階、1日で進む速度としては多分記録的な速さだろう
この世界の迷宮はセーフティゾーンとか転移門とか便利機能は存在しない
潜って限界が来たら来た道を戻って帰るか食われるかしか選択肢がない厳しい場所なのだ
古い迷宮だと何と迷宮内に町を作って生活している人達がいるらしい
物質の確保に危険は伴うがそれさえクリアすれば稼げるし冒険者も助かる
此処はまだそんなモノは出来ていないので大物と対峙する前に岩肌の窪みを囲ってビバーグする事になった




