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冒険者の常識

大勢の野盗を退治して後処理に時間が掛かった為、当初の予定を変更して手前にある寒村で一夜を明かす事となった


「…ヒロシ君?誰に前回迄のあらすじを説明してるの?」


「いや、何でもないさ」


それにしてもこの寒村、宿どころか商店も見当たらない

野盗共が跋扈していたせいで自給自足を余儀なくされたパターンなのか?


「よーし、そのベンチを端に寄せてくれ」


ガタタ、ガタ、


俺達はさっきから無人の教会で一泊する為の片付けをしている

ベンチを寄せれば結構なスペースが確保出来そうだったからだ


「じゃあ馬車ごと中に入れて餌をやろう」


建物の中に馬車を?と思うかも知れないが外に繋いでおけば盗難に警戒しなければならず寝ずの番がそれだけ増えてしまう

どうせ村民達は家から出ても来ないのでやりたい放題だ


引き入れた馬車から馬達を解放して拾い集めた草と水を与える

移動手段が馬車な世界では人よりも先に馬の世話をするのは当然の習慣だ


「さぁ~て、次は寝床作りだな」

「私達は夕飯の準備をするね」


パーティーは仕事を分担するのもお約束である


一通り準備を終え夕飯を済ませ寝ずの番を決めて交代で眠る

最初の当番はビルさんとウィスさんだった


「じゃあ時間が来たら起こしてくれよ」

「分かった」


ガイジさんは経験豊富な冒険者らしく一言声をかけて直ぐに眠りについた

横を見ると初音さんも寝息を立てている

…俺は経験不足のルーキーだからか小さな物音が気になってなかなか寝付けなかった


「…ヒロシ、まだ起きているのか?」


「…えぇ…寝付けなくて…」


「初心者ってのはそういうモノだ。慣れれば半覚半睡ってのも容易くなるぞ」


「…そういうモンなんですかね」


「そういうモンだ」


ビルさんが俺に冒険者としての心得を教えてくれている間、ウィスさんは何か思い詰めた様子で周囲を警戒していた


(後で悩みを聞いてあげなきゃな)


なんて考えていたらいつの間にか眠っていたのだった


「…い…おい、起きろ」


体を揺すられて目を開けるとビルさんが交代時間だと教えてくれた

次の当番は俺とガイジさんだ


「ん~、良く寝たぜ。ヒロシは寝られたか?」


「いえ、全然」


「まぁ初めは誰でも同じもんさ」

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