王様との謁見 part9
ピッチュ王の無茶振りで近衛騎士筆頭と手合わせする事になった俺は今、城の中にある近衛兵専用訓練場でムキムキマッチョと対峙している
…どうしてこうなった???
「さあヒロシよ!余に貴殿の絶技を見せてくれ!」
…絶技って何だよ?お前の気紛れで秒殺確定の憐れな子羊に何を期待してるんだ?
「ヒロシ殿、いざ尋常に勝負!」
オイオイ…何張り切っちゃってるの?この筋肉ダルマは?
英雄視されてる俺をフルボッコして自分の立場をアピールする気満々じゃん…
俺が悶々と毒を吐き続けてるのを無視して審判役の騎士が試合開始の号令を発する
「では…始めっ!」
「うおぉぉぉっ!」
ブンブンブンブンッ!
おーい、俺の気持ちとか一切お構い無しか?誰が好き好んで猛獣の前に立つと?
…何か滅茶苦茶ムカムカして来たよ…
「どうりゃあぁぁぁー!」
ブンッ!
「。。。」
「怖じ気づいたか?ヒロシ殿!」
「なんでやねーーーーんっ!!」
ゴファッ!
腹の底から沸きだした怒りがスキルを発動し、極大の気弾となって口から発射された
ヒュッッ!ドカーンッ!
「。。。は?」
「「「「「っ!?」」」」」
気弾が頭の横を掠めて後ろの壁を破壊、対魔法障壁・物理障壁を突き破って大穴をあける
辛うじて直撃を避けた(というかこっちが外した)ハザンは衝撃波により後方に吹き飛ばされ尻餅をついたまま何事があったかも分からずに呆けた顔をしている
観客席にいたピッチュ王、側近達、近衛兵達もよもや筆頭のハザンが瞬時に無力化されるとは考えもしなかったのか呆気に取られて身動ぎ一つ出来ずにこちらを見ていた
「しょ、勝負ありっ!」
審判役の騎士が正気を取り戻し勝鬨を上げると漸く場の空気が流れだした
そんな空気を産み出した張本人である俺は沸々と溜まった毒をスキルに乗せて放ったお陰でスッキリしてしまった
瞳を潤ませて俺の無事を祈っていた初音さんの下にゆっくりと歩み出す
ビルさんを始めシェイドの皆は俺の勝利にやんややんやの大喝采を浴びせて来た
ピッチュ王達の呆然とした雰囲気と反比例した賑やかさが訓練場に響いていた




