扉の向こうは
ビルさんが穴の中に消えて数十分が過ぎた
俺とガイジさんは既に回復魔法によって傷は消えていた
ウィスさんによるとビルさんは1人ずつ俺達を穴から担ぎ出して
「もしダメだったら後を頼む」
と言い残していたそうだ
ビルさん…フラグ立ちっぱなしで本当にヤバいっすよ?
それから少しして穴の中からビルさんの声が聞こえた
「じゃあやるぞぉーーー!」
時間が掛かったのは彼なりに色々心の整理が必要だったのだろう
俺達がとやかく言う権利はないし非難する必要もない
ビルのこれからの行動は決死なのだ
…ガララララ…
。。。。。。
。。。
トンネルの中で土が崩落する音が聞こえてビルさんの返事を待った
10分、20分、そして30分が過ぎたが何の返事もない
…まさか冗談でまとめた彼の英雄譚が墓碑に刻まれる事になろうとは…
。。。
「全く…ビルの野郎気絶してんだな?こりゃ…」
「「「は???」」」
「バーカ、俺がそんな危険な賭けをビルにやらせる訳がねぇだろ
あのトンネルは完璧に成功してるし穴の向こうは確実に扉の向こうだ」
ガイジさんは驚く俺達にため息をつきながら説明する
「あのなぁ…万が一失敗した気配があったらビルが決意する前に俺がヒロシ達を追い出して開けてるっての!
これはシーフの仕事だし俺の師匠が成し遂げられなかったプランだぜ?」
ああ、そうか。
ガイジさんは師匠の発想を行動で実現し、師匠への手向けにしたのだ
ビルさんが暴走して最後は任せる形にはなったけどそれはあくまで他人に任せても安全だと確信したからなのか…
「…じゃあ…」
「ああ、ビルはきっとビビって気絶してるな。下手をすると下半身がヤバい事になってるかも知れん」
それを証明するかの様にビルさんはなかなかトンネルから出て来なかった
俺達が気を遣って声を掛けると「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」と言うだけで入れてくれなかった
結局彼が皆を呼んだのはそれから半日位過ぎてからで向こうの出口付近は不思議に水浸しなっていた…のはビルの名誉の為に触れない事に決まった
こうして貫通したトンネルの先、つまり扉の向こう側に足を踏み入れた俺達が見たモノは…安定のガッカリ感満載の光景だった




