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月の華は蒼く咲く  作者: 斎木伯彦
別れ、そして出会い
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別れ、そして出会い

平日毎朝8時に更新。

 扉の前で待っていたソニアを伴って、ルーディリートは自部屋に戻った。彼女は、すぐに普段着に着替えさせられる。慌ただしく侍女たちが出入りして、落ち着いた頃には一日が終わろうとしていた。

「ねぇソニア、聞いてもいい?」

 ルーディリートの呼び掛けに、部屋の掃除をしていたソニアは、その手を止めて振り返った。

「如何なさりましたか?」

「このカードだけど……」

 そう言って彼女が示したのは、先程ソフィアより貰い受けた一組のカードだった。

「上下とか、関係ないのかな?」

 尋ねられたソニアは、主の手元を覗き込んだ。確かに描かれている絵には上下があるようだ。

「どうなのでしょうか? 私はカード類は触ったこともありませんから、直接ソフィア様にお聞きしては如何でしょう?」

「でも……」

「ルーディリート様、気が付いた事柄を聞かないのは、気付かなかったことと同じです。尻込みせずに聞けばよろしいのです。むしろソフィア様も、質問を待っていらっしゃるかと」

 ソニアは努めて笑顔を振る舞った。ルーディリートは他人に何かを尋ねる時に臆してしまう癖があったからだ。その為に、大切な事柄を聞きそびれてしまうのは、日常的である。当然ながら、自らの意見を口にするのさえ、ままならない。

「ルーディリート様、思う通りになさって下さいませ。間違いがあれば、私共で責任を持ちますから」

「ソニアには迷惑かけられないな」

「そのように思って頂けるのでしたら、明日にもソフィア様に伺いに行きましょう。ルーディリート様には多くの物事を知って頂きたいのです。ソフィア様もお望みのはずですから」

 ソニアは微笑んで頷いた。

「うん、ソフィア様に聞いてみる」

 ルーディリートは納得顔で頷く。カードの扱いはよく分からないが、一人でも学べるようにとソフィアからは指南書をもらっている。指南書には扱い方と各カードの意味と、成立までの由来が書かれていた。その指南書にもカードの上下については何も触れられていない。

 彼女は一心不乱に指南書を読み耽った。一通り目を通してから顔を上げる。

「ソニア」

 侍女を呼ぶ。彼女はすぐにやって来た。

「はい、何の御用でしょうか?」

「お腹空いたの」

「畏まりました」

 ソニアは頭を下げて、部屋の奥に向かう。ややあってから、侍女たちが食器を持って入って来た。テーブルにテーブルクロスをかけ、食器を並べてゆく。

 ルーディリートは身繕いを直して席についた。そこにノックの音が響く。

「あら、どなたかしら?」

 ソニアが用意の手を止めてドアに向かった。

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