表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月の華は蒼く咲く  作者: 斎木伯彦
別れ、そして出会い
7/56

別れ、そして出会い

平日毎朝8時に更新。

「ではルーディリートよ、まずはそのカードを心ゆくまで両手で混ぜ合わせなさい」

 言われるままに彼女は両手で盆の上にカードを広げると、ゆっくりと混ぜ合わせた。そして再び一つの山に戻す。

「よろしい、それではカードの中央付近を抜き出し、一番上に重ねるのです」

 指示通りにしてカードを盆の上に安置すると、侍女がそのままソフィアの手元に持って行った。ソフィアは錫杖を傍らに置くと、カードを手に取り、定められた手順に従って配置する。

 一連の作業を終え、ソフィアはルーディリートの瞳を真直ぐに見つめて来た。

「ルーディリートよ、貴女の進むべき道を指し示しましょう」

 彼女は一枚のカードを取り上げる。それには慈悲の心を示す教皇の絵が描かれていた。

「貴女の魂の本質は慈悲心、育命宮生まれの貴女に最もふさわしいカードです」

 一枚目のカードを戻し、二枚目と三枚目を取り上げる。

「女帝と放浪者。平和主義の貴女ではありますが、方向性が定まらず、複数の物事に手を付けそうですわね」

 ルーディリートには内心思い当たる節があったのか、視線をさまよわせた。その彼女には気を払わず、ソフィアは続くカードを見据え、眉根を寄せていた。

「試練と、幻影……」

 呟いて、ソフィアは気を取り直すように次へ進んでいた。

「竜のカードは、超越を意味します。貴女には不屈の上昇志向があるようですね。とても喜ばしいことです」

 微笑む。しかし、ソフィアの表情は再び強ばった。

「悪魔に、隠者……、死まで……!」

 絶句。だがルーディリートには意味が分からない為、さほどの衝撃は与えていないようだ。ソフィアは取り繕うように説明を始めた。

「知性の方向性としては、隠されたる真実を探る能力があるようですね。ただその能力は発揮され難く、開発には時間が必要です。そして貴女の進むべきは、このカード」

 ソフィアは最後の一枚を取り上げた。それには神々しさを身にまとう一人の女性が描かれている。

「女教皇が意味するのは、純粋性。そして光。貴女は光の巫女として修業なさい。名も月と関連がありますし、よろしいですわね」

 月は地下族の通例で光を守護する者だ。

「ルーディリート、貴女にはこのカードを授けます。明日より暫くはカードの意味と、その扱いについて学びなさい」

 つい今し方まで使われていたカードが、彼女の目の前に運ばれて来る。

「それでは巫女見習いとして、一週間後より修業を開始します。下がってよろしい」

 ソフィアは錫杖で床を叩くと、サッと一振りしてルーディリートを指す。半ば気押されるようにして、彼女は退出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ