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月の華は蒼く咲く  作者: 斎木伯彦
戴冠式
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戴冠式

平日毎朝8時に更新。

「それでも決め兼ねていたあの子に、有力者たちがエリスを推薦して……」

「推薦?」

 ファルティマーナの言葉にルーディリートは顔を上げた。推薦ということは、本人が決めた訳ではない。それはつまり、望まぬ結果だということに繋がる。

「あの子は不承不承、その決定に従ったわ。表面上はそうとは悟られないように、表情を強張らせてはいたけれどもね」

「それでは新しい長は、エリス様をソフィアとは認めないと言うことですか?」

「そう取られても仕方のないことですわね」

「姫様」

 ソニアが本当の事実を話すようにと、ルーディリートを催促する。だが彼女は何故かそれを渋った。その様子にファルティマーナは訝しいものを感じて彼女に質問する。

「どうしました、何か話すことがあるのですか?」

 それでも彼女は口を開かない。業を煮やしたソニアが代わりにファルティマーナに進言する。

「姫様は、戴冠式には出席しました」

「出席していたの?」

「はい。ですが途中で用を足しに手洗い場に赴いている間に、ソフィア様を決める儀式が始まって、それで締め出しを受けてしまったのです」

「締め出し?」

 ファルティマーナが眉根を寄せた。やはり締め出しを行う謂れなどなかったのだ。

「それは本当のことですか、ルーディリート?」

 問い質された彼女は、恨みがましそうに侍女を見た。言わないでくれと頼んだ内容を言われたのだから、仕方あるまい。しかし言わなければならないことでもある。

「ソニアの話を信じてもよろしいのですね?」

「それは、誤解です。私は本当に恐ろしくなって……」

「姫様! 姫様がいらぬ波風を一族の間に起こしたくない気持ちは痛いほど分かります。ですが、ここで姫様がはっきりとした態度を示さなければ、それ以上の混乱が一族を襲うのですよ。ですから、本当のことをお話して下さい」

 ソニアの強い口調に押されて、ルーディリートはガックリと首をうなだれた。

「どうやら、何か不穏な出来事があったようですわね」

 ファルティマーナは真実を知る為に、ここへ来たのだ。そして真実への扉は開かれた。

「姫様は、戴冠式にはいたのです。ですが途中で用を足しに出て、戻ろうとした所を二人組の衛兵に押し止められ、中に入れなかったと聞いております」

「ソニア、もうやめて……」

「いいえ、姫様。事実を隠すことはなりません。隠したとしても、いつかは明るみに出ます。それよりは包み隠さず一切を申し上げることが、あるべき姿ではないでしょうか?」

 ソニアの言葉にルーディリートは何も言い返せずに(うつむ)く。しばらくを沈黙が過ぎた。不意に顔を上げた彼女はソニアを真正面から見据える。

次回更新は4月6日です。

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