6話
入浴も昼食も済ませてまた自室に引こもる。
スーパーのレジのバイトをしていたが先月課題に追われて忙しくて辞めた。もう暇で仕方ない。
「誰からも連絡来ないし…暇だなぁ」
ご飯も食べて体がぽかぽかしている。お布団に入っていると寝そうだ。気づいたら夜になっていた。
「今日寝てしかいない…」
手に持っていたままのスマホを見るとLINEの通知が来ていた。相変わらずのふたりだ。
『返信してなくてごめん!バイトしてた』
「蒼葉バイトしてんの…」
『どこでバイトしてるの?』
『俺達が通ってた中学校あるだろ、あの近くのファミレスだよ』
中学校の通路を思い浮かべる。あー、確かにある。だが私の登校する道ではなかった。でも見覚えはある。確かそこはりおも働いていたはずだ。
大学の人に会いたくないからとなるべく地元の方でバイトをしているらしい。といってもりおの通う大学は私とりおが利用する駅から電車で20分ほどの場所にある。会わない可能性はゼロではない。
『そこ、私の友達もバイトしてるんだよ』
『まじ? 名前なんてゆーの?』
りお、と打ってから名前を消した。
『さぁ、誰でしょう』
『知らねーよ!笑』
「知らなくていいよ」
2人がお互いを知ったところで何になる。りおは彼氏いるし、蒼葉がりおのこと好きになったら蒼葉も傷つくだろうし、りおも戸惑うだろう。
『それでいいよ』
そう返信し、りおのトーク画面を開く。
『やばかったー♡ まじ彼氏ちょーかっこいい! 指輪プレゼントしてきてさ! ねー暇なら電話しよ! この想いをゆきに話したくて堪らない!』
『明日ならいいよ』
明日は一日暇だ。たくさん話を聞いてあげられる。私もりおの惚気話聞きたいし。惚気話を聞くのは嫌いじゃない。私まで幸せになったような気持ちになるから。
『明日は午前バイトだから、午後からでいいならいーよ!』
『全然いいよ』
私は続けて親指を立てたスタンプを送った。
もう夜の10時だ。朝から寝てしかいないのに、寝すぎて逆にめちゃめちゃ眠い。昨日、久しぶりに男の子と話したってだけでこんなにも体力を消耗するのか。
「免疫無さすぎるよ私…」
明日、蒼葉はバイトなのかな。朝からかな。そしたらりおと被るな。りおとバイト被った時は何を話すんだろう。お昼時とか忙しくて話してられないか。
画面上部に『なんだそれ笑 ちなみに明日もバイト!』とのメッセージが来ていた。一瞬で開いた。
『私の友達も明日バイトなの。何時頃?』
『そうなんだ! 俺は午前からだよ?』
「うわぁああ! りおと蒼葉被るじゃん!」
被ったからと言って私には何も無いんだけど。いや、そりゃ一緒のバイト先で働いてるならシフトが被ることもざらにあると思うけど…。
『私の友達も午前から。会うかもね! バイト頑張ってね』
心臓がバクバクうるさい。なんだ、動悸か。何か嫌な事でも起こるのか、考えすぎか?もう寝ろってことか。
蒼葉と連絡先交換して一日は経つ。なのに慣れない。普通に私がいわゆるコミュ障なだけ…?
「んんんん、もう寝る!」