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“好き”を教えて。  作者: るい。
2/13

2話

帰宅して自室に入ると、バタッとベッドに倒れ込んだ。


「なんか、すごい疲れた…」


りおと会って、ご飯食べて、普通に帰宅する予定だったのに。蒼葉に声をかけられたところから非日常感がさらにおかしくなったような気がする。


「嫌なこと起こりそう…。この前のテスト再試かな、実習ができないとか…まさか留年とか…」


神様が男の子と話す機会を作ってやったんだから少しくらい嫌な日々を過ごせって言ってるのかな。男の子と話す機会を設けてくださいなんて頼んだ覚えないんだけどね。


吉岡 蒼葉の当時を思い出すために、本棚から小学校と中学校の卒業アルバムを引っ張り出した。小学校は幼い元気な少年、中学校は少し真面目な様子の幼い青年、という印象。今日会った蒼葉は大学デビューでもしたのか、2冊の卒業アルバムからの印象は全く感じられなかった。人生楽しい、みたいなオーラが撒かれてたような。


「彼女もできて友達も沢山いて…きっと人生楽しいだろうな…」


友達の少ない、地味で陰気でちびな私とは違う世界に生きるているようだった。なんだか身分の差があるようでばかばかしくなり、2冊を本棚に戻す。


「そういえば帰ったらLINE送るって言ってたっけ…」


携帯を見るとメッセージは何も来てなかった。少し残念な気持ちがよぎった心に自分で驚く。何残念がってるんだ。そりゃあの陽キャだぞ。私に構う暇があるなら他の子に絡みに行くでしょ。


「はぁ…やってらんない」


携帯を枕に投げようとした瞬間、メッセージが一通届いた。まさか。もしかして。そんな。


「蒼葉だ…」


アイコンが可愛い猫のイラストが表示されている通知をタップしてメッセージを開く。


『無事に帰ってきた? 今日は急に声掛けてごめんね。びっくりしたでしょ!』


「うわぁああぁっ」


本当にメッセージくれたことにびっくりして携帯を手から落としかける。どうしよう、なんて返そう。男の子とLINEなんて初めてでよくわかんない。女友達と同じような感じで返せばいいのかな、どうしよう。とりあえず平常心でメッセージを打って送信。


『びっくりした。』


うわ、なんか冷たい。りおとはどうやってメッセージやり取りしてたっけ。もっと絵文字とか顔文字とか使ってたような気がする。なんだか恥ずかしくなって布団を手繰り寄せてギュッと抱きつく。ふと携帯を見ると、


『だよなぁ。返信早いね! 暇なの?』


とすぐに返事が返ってきていた。逆に蒼葉も暇なんじゃないの?そう送ると既読の文字は付かなくなった。

そのタイミングでりおに蒼葉に腕掴まれて再会し、少し会話をしてLINEを交換したことを伝えた。1人で抱え込める案件ではなかった。


『わぁ! そぅなの? てことは蒼葉も一緒の電車に乗ってたんだ〜、蒼葉良かったね〜!』

『嘘つかないよ! びっくりしたよ…。』


返信をして、トークを見返す。…ん?なんで蒼葉良かったね〜!なんだ…?聞こうと思って文字を打つも、蒼葉に声をかけられたという今日の一大イベントによってなぜか疲れてしまったようで、気づいたら私は睡眠をしていた。

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