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第13混ぜ クエストを受けようか


どんどん減っていく溜めている話……20話まではあるんですけどね(^_^;)


では、よろしくお願いします!



 


「さて、ビスコもお腹いっぱいになりましたよね?」

「いや……まだ食べれますが?」

「なった、という事で話を進めます! 死霊(ゴースト)系のクエストを受けるとしても、教会に多くの依頼が集まりますよね?」

「すいませんね……私の事情で行きづらくなってしまい」

「まぁ、大丈夫ですよ。魔法技術ギルドにもそういう依頼は来ますから、そっちを当たってみましょう」


 この王都のギルドなら依頼が来ている可能性はある。

 ただ、金を持ってる人は教会という確実な方を利用するし、依頼料は期待できない。

 今回はビスコとお互いの実力を見せ合うことが主な内容。だからお金に関してはあまり気にはしないが、あればそれは……ね。という気持ちだ。


 実際に行ったことは無いらしいが、ビスコがギルドの場所を知っているらしく、俺達は休憩もそこそこに歩き出した。

 途中、露店で売られている焼き物に引き寄せられるビスコを叩いてしまったが、教会の人間にしては食欲に忠実過ぎるのがいけない。

 悪いのは俺じゃない筈だ……きっと。



 ◇◇◇


 どこかへ行く度に「さすがは王都……」と呟いてる気もするが、魔法ギルドに来てもやっぱり呟いてしまった。

 魔法師の数はもちろん、ギルドの規模も大違いである。

 気になって錬金術を取り扱っている場所へと行ってみたが、相変わらずの規模に、行かなければ良かったと思うだけであった。


「初めて来ましたが、賑わっているのですね」

「まぁ、大半が冒険者みたいなものでしょうし、後は雇われの専門職の人ですかね」

「専門職……ですか?」

「例えば、冷凍させておきたい商品なんかを扱っているお店なんかでは、氷結系の魔法師を雇ったりするんですよ」

「なるほど……詳しいのですねホムラは。私なんか世間知らずで恥ずかしい限りです」


 魔法ギルドに入ってから……というか、被っていた笠を取った瞬間女性の魔法師の視線が集まっていた。

 分かってはいたが、俺にではなくビスコへだ。遠巻きに話している会話の節々に「ビスコイト様」という言葉が聞こえてくる。

 俺の感性でイケメンだと思ったビスコは、この世界の基準でもイケメンらしい。一部女性には名前も知られてる程の。


「とりあえずクエストボードでも見てみようか」

「えぇ、少しワクワクしますね。緊張もしますけど」


 軽く口角を上げて笑っただけだよな? ……近くの魔法使いが頬を赤く染めているぞ。

 二人でクエストを見に行くが、どうも背後が気になって落ち着かない。

 俺までモテている雰囲気を味わえるが、振り向けば「そっちじゃない」と言われているような、女性陣のため息が聞こえてくる。そんな悲しい現実が待っているだけだった。


 死霊系のクエストは無いかと確認してみると、幾つかあるにはあったのだが……どれも噂話程度の調査依頼ばかりであった。

 屋敷に住み着いた死霊の討伐をしようとしていた俺にとってはちょっと残念な結果だった。

 だが、本当に無いと決まった訳ではない。ボードに載ってないだけで、クエスト自体はあるという場合がある。

 誰も依頼を受けずに、ギルド側がボードから回収したクエスト――所謂(いわゆる)、誰も受けずに塩漬けとなったものだ。


「一応、受付でクエストが無いか聞いてみましょう。ビスコが教会の人と言っても大丈夫ですか?」

「もちろんですよ。元ではありますが、有効に使えるなら使ってください」

「あと、言いづらいんですけど……」

「ん? なんですか?」

「女性陣の視線が集まるので、笠を(かぶ)って貰ってもいいですか? めちゃくちゃ深めに」


 キョロキョロと辺りを見渡して、周囲の反応をようやく理解したみたいだ。

 自分の容姿がどういうものかをちゃんと理解している点は、嫌みが無くて良い。が、最後にニコッとしたのはいただけないかな。


「ごめんごめん……。よく教会にも女性の方がいらしていたよ……時間を取られて仕事が溜まってね、いつも怒られていたんだが」

「でも、顔が良いと便利ですよね。目立ちはしますけど、使い道が多そうです」

「まぁ、そうかもしれない。けど、顔を見せなければ食べ物すら貰えない人間というのが、ここ数日間で痛感したよ……」

「いや、アレだとさすがにねぇ……。ビスコさんってもしかして意外と……?」

「意外と……なんだい?」


 足元でブツブツ言ってる人間に安全性は感じられないよな、普通に。

 イケメンなんだけど、どこか残念でお馬鹿なのがビスコ。今の所、そんな評価が妥当に思えた。


 しばらく待って、ようやく俺達に順番が回ってきた。

 女の子の受付を選んだのは、ビスコが居るからだ。容姿とネームバリューを最大限に活かせる布陣に死角はない。

 問題があるとすれば、ビスコ本人のコミュニケーション能力。でも、それだって俺が耳打ちすれば一応は大丈夫なはすだ。……たぶんだが。


「お待たせしました。本日のご用件は?」


 まだ若い受付嬢さんを前にして、俺はビスコに小声で指示を出した。


「えーっと? 帽子を外して笑顔? あ、ここは言わなくて良いのかい?」


 言った通りに動いてくれたものの、うん。ちょっと失敗してる感じが否めない。

 受付嬢さんもさすがに苦笑いである。だが、正面から笑顔を向けられた途端、その表情が照れ笑いの顔に一瞬で変わった。


「私は、教会に所属してるビスコという者です。クエストボード、に、載っていない? 死霊系の、討伐クエストは、ありますか?」


 耳で聞いたことをそのまま口から出している為、若干のタイムラグが出ている。ただ、既に魅了(みりょう)されている受付嬢にはそんなの関係ないみたいだ。

 最後に笑っておけば不自然さも打ち消せる……それがイケメンのパワー。


「は、はい! 本来ならランクが必要なのですが……塩漬けクエストに関しては大丈夫ですので、すぐに探して参りますね」


 受付嬢さんが奥へと走っていった。


「ビスコ、少しぎこちなかったですね?」

「これでも頑張った方なのですが」

「まぁ、笑顔で女の人がどうにかできるのは凄い才能です。どんどん使っていきましょう!」

「いや、私にそんなつもりは……」

「甘い! 甘過ぎますよ! 自分の持てるモノを全て使ってこその自分でしょう? なに……ちょいと利用するだけですよ」

「ホムラ……キミには悪魔が取り憑いているかもしれませんね? 除霊なら安く請け負いますよ」


 ビスコとお互いに言い合えるくらいには打ち解けられた。

 そうこう話している間に、バタバタと走って戻ってきた受付嬢さんが三つの紙を見せてきた。


 一つ目は、貴族のお屋敷に宿った悪霊の浄化クエスト。


 二つ目も、同じく曰く付きの建物の浄化クエスト。


 三つ目は、少し難易度が高いクエストで、依頼を出すのも遅かったらしく、それに加え数年放置された結果、死霊系モンスターの上位種へと進化した魔物の討伐クエスト。


「塩漬けにされてるだけあって厄介そうなクエストだな……でも、報酬は良い、か。ビスコ、どうしますか?」

「可能なら全部を引き受けたい。死霊とは言っても、悪霊もいれば、願いを叶えてあげれば浄化してくれる霊もいます。どちらにせよ、神に代わり現世に彷徨(さまよ)う魂を救うのが我々の仕事ですから」

「……なるほど。なら、全部引き受けていきましょうか。太陽が沈んでからしか討伐できないと考えると……あまり時間が無いですけど」


 別に急ぐ必要は無いのかもしれないが、発表会に間に合わせるとするならば、今日の夜に一つか、二つ。明日の夜に残りを消化しないといけない。

 移動時間や討伐に掛かる時間を考えると、あまり余裕はない。


「討伐を手短に終わらせてしまえばいい。ホムラは……自信無いですか?」

「言ってくれますね。こう見えてゴーストバスターとしてそこそこ依頼をこなしていたんですから」


 日本での話。魔物退治なんてのはほとんど無かったが、その分悪霊に取り憑かれただの、住み着いただのの依頼は頻繁にあった。

 この世界よりも死をどこか他人事に考えてる人が多いみたいで、いざ自分に降り掛かると未練を残す者が多く、死霊が年々増加していた。

 だから、俺の鞄の中には『聖水』のストックが必ずある。納品用としてもよく作っていたし、効力がそこそこの上物として人気があった程だ。


「では、勝負してみませんか?」

「勝負……ですか?」

「はい、お互いにクエストをひとつずつ消化して、最後のは二人でやりましょう。もし、今日の分すら終わらせてなければ……」

「負け、ということですか」

「はい! 負けた方がご飯を奢るというのはどうでしょうか!」

「……分かりました。その勝負、引き受けますよ」


 受付嬢さんに、俺が一つ目をビスコが二つ目のクエストを引き受ける事を伝えた。

 ビスコの食欲は、きっと俺の金じゃ足りない程だろう。負けたらキャサリンさんへの土下座が不可避の出来事になってしまう。

 それも困る案件ではあるが、これは勝負。最初から負けるつもりで戦いはしない。

 この討伐クエストはビスコの方が専門と言える。だからこそ、錬金術師としての実力や可能性を知って貰うには丁度良い機会だと思った。


「では、詳細を聞いた後は明日の朝まで一人ですよ」

「えぇ、ですがホムラ……」

「ん? 何か問題でもありますか?」

「はい。ひとつ大問題が……私は金も食料もありませんよ?」

「我慢とかは……」

「少々厳しいかと」


 澄まし顔をしているが、簡単に纏めると「晩御飯が無くてまた腹ペコになっちゃいます」という事だ。

 勝負と言って盛り上げている時に、空気を全然読めないビスコはおたんこなす野郎だとは思うが、ここは俺が妥協する必要がある案件みたいだ。

 本当に歳上? と真顔で聞いてみたいが、きっとビスコに皮肉は通じない。普通に返されるだけだと、なんとなく予想できた。


「後で余り物で良ければ分けますよ。では、受付の方に詳細を教えて貰いましょう」

「申し訳ないですねホムラ。この恩はいずれ返しますから」


 俺とビスコはクエストについての詳細を聞いて、魔法ギルドから出ることにした。

 今から太陽が沈み夜が来るまでは、だいたい三時間ほどあるだろうか。その間に移動しなければならないし、ここで一旦ビスコとはお別れになる。


「では、これが晩ご飯ですから大切に食べてくださいね?」

「ありがとうホムラ。では、また明日ここで」

「はい、では」


 お互いに反対方向へと歩いて行く。

 俺は貴族の屋敷が在るという方向へ、ビスコは商業区の方へ。


 靴や聖水の準備、それにゴーストバスターとして必要だと思って作ったアイテムの確認も終わっている。

 準備は整っている。後は、サクッと終わらせるだけだ。



「さ、仕事の時間(ショータイム)だ」






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2020/1/11~。新作ラブコメです!٩(๑'﹏')و 『非公式交流クラブ~潜むギャップと恋心~』
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