黄泉暮らし
こちらもお盆ネタですね
この時期になると、我が家は少し騒がしい。
まあ多分みんなが帰ってくるからなのだろうけれども。
雨が降り出したので慌てて帰ってみれば、洗濯物はすでに取り込まれ、更には畳んであったりする。たぶんお母さんがやってくれたのだろう。あれ、こっちはお兄ちゃんだ、畳み方が少し甘い。
紅茶の減りがやけに早いのはお姉ちゃんが。
新聞が出しっ放しなのはお父さんが。
家族の癖が至る所に見られて、今年もちゃんと帰ってきたんだなって安心する。
みんなの存在が確認できたら、玄関のきゅうりを四本回収、新しいきゅうりと入れ替える。
本当なら馬に見立てたきゅうりで早く帰ってきてもらって、牛に見立てたナスでゆっくり帰ってもらうのが正しいのだけれど、我が家はきゅうりで来てきゅうりで帰る。
早くに来て、ギリギリまで家にいて、お盆の終わりギリギリに帰るのだ。
普段寂しくないって言ったら嘘になる。
けれどもうちの家族はみんな自己主張が激しいタイプだから、この時期にはこうやって私にちゃんと声をかけてくれる。
ここにいるよ、これを食べたよ、これをやったよ……そうしてみんながちゃんと居ることを私に教えてくれる。
お父さん、こっちの家のローンは任せてよ。だからそっちで住めるいい家は、お父さんが買ってね。
お母さん、レシピノートありがとう。できるだけ自炊して頑張るから…そっちに私も行ったら一緒に作ろうね。
お姉ちゃん、そっちでもいいブランドあったりする? 一緒にまたショッピングしよう。
お兄ちゃんはきっと天国にはいないだろうから……ってうそうそ。お父さんと二人で、お母さんたちちゃんと守ってあげてよね。あと、洗濯物はもっと丁寧に畳むこと。
最近話題の田舎暮らしとかよりも、黄泉暮らしの方が私はしたいのだけど、あんまり早くに行くと怒りそうだからゆっくりしていきます。
ちゃんと私の部屋も作っておいてね。