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魔王と高校生と幽霊②

 振り返ってみたら女の子がいた。


「彼女がそうだ」


 え?彼女が今まで俺に憑いていた幽霊?

 そんな偶々立っていただけだろ。


「偶々立っていただけでしょう?それに彼女が幽霊のはずが‥‥‥」


「私の事が見えるんですか!」


 ないでしょう、と言おうと思っていたらいきなり彼女が声をかけてきた。


「ああ、彼にも今は見えている。それに会話することもできるぞ」


「ありがとうございます。あなたのおかげですよね?なんとお礼を言えばいいのでしょうか」


「いやいや、気にしなくてもよい」


 え?俺だけが話についてけてないんだけど、俺がおかしいのか?


「それより何か彼に言いたいことがあるのだろう?」


「はい!」


 彼女は本当に幽霊なのか?

 幽霊だとしたらなんで俺に憑いているんだ?

 全く分からない。

 とりあえず‥‥


「君は本当に幽霊なのか?」


「はい!幽霊です!壁もすり抜けられますよ、ほら」


 そう言って彼女は本当に壁をすり抜けた。


「‥‥マジかよ」


 俺は自分の目を信じられなかった。

 どうやら本当に幽霊らしい。


「それでだ、いったい何のようが彼‥‥‥名前なんだっけ?」


「なんで俺の名前を知らないんですか!大家さんでしょう!」


「いや、お前の字が読めなかった」


真栄城まさしろ 光太こうたですよ!これくらい普通に読んでくださいよ」


「分かった分かった。それで君は彼‥‥真栄城に何のようがあるのかい?」


 確かに女の子の幽霊がいったい俺に何のようがあるのだろう?


「えっと、その」


 彼女はもじもじしだして何も切り出そうとしてこない。


「なんて言いますか、ええと」


 何をそんなにためらっているのだろうか?


「あなたのことが‥‥‥」


 あなたのことが?









「あなたのことが‥‥‥‥‥好きなんです!!//」






       「「は?」」












 今日初めて大家さんと言葉が一致した瞬間であった。











魔王side



「で?どうなったんですか?」


「彼‥‥真栄城も戸惑いながらも受け入れたようだ」


 私は昨日あった出来事を坂本に話していた。


「亡くなって幽霊になった女の子がいきなり見ず知らずの人に告白とは…」


「なんだ、疑っているのか?」


「彼女は記憶をほとんど失っているんですよね?」


「ああ」


 あの後、彼女にいくらか質問してみるとほとんど覚えていることはなく、名前さえも思い出せない様子だった。


「いくら何でもありえませんよ。記憶もない彼女がいきなり惚れるなんて」


「一目惚れというやつだろう」


 彼女はさまよっている時に彼を見つけて、その時に恋したらしい。


「実際に彼女がそう言っている時も、嘘を言っているようには思えなかった」


「魔王様がそう言っているのなら確かなんでしょう」


 私に判断を任されてもこまるのだが


「私も転生してから恋をしたことなどないからな‥‥」


「そうしたら、私は前世でも結婚しませんでしたし、今も結婚や恋なんてしたことがありませんから私にも恋愛はさっぱりですよ」


 魔王として結婚はしたことがあるが、それはお見合いで選んだ相手だし、恋というのはよくわからん。


「それより心配なのは真栄城くんのほうですよ」


「なぜだ?」


 別に何の問題もないようにも思えるが‥‥


「彼女が見えるようになったんですよね?若い男と女が一つ屋根の下で暮らすというのは何かまちがいが起こってもおかしくありませんよ」


「‥‥‥彼は別にそんな性格でもないし、そのようなことはしないだろう。それに彼女は幽霊だ。見える事はできても触れられん。憑いている時もトイレや風呂は見ていなかったようだ。そんなことは起こらん」


「それもそうですね」


「そんなことより心配なのは‥‥‥」


「どうかしましたか?魔王様?」


「いや、別になんにもない。しばらくはほうっておいても大丈夫だろう」








しばらくはな










真栄城side


 告白された翌日の放課後。

 今日の授業や休み時間はうわのそらだった。

 授業を受けている時も友達がいる時も側にはいつも彼女がいたのだから。

 俺はまだ信じることができない。

 幽霊の女の子が彼女になったなんて。


「どうかしましたか?」


 振り向いてみると彼女がいた。


「いや、俺みたいなやつに君が好きになってくれたなんて信じられなくてな」


「嘘じゃないですよ!本当にあなたのことが好きなんです!」


「ごめんごめん。君みたいに可愛い彼女がいるなんて事俺にはなかったからさ」


「可愛いだなんて// そんな//」


 可愛いという表現に間違いはない。

彼女はスタイルがよく。胸も平均よりは大きい。足もスラッとしており、とても素晴らしい。

 格好は制服だがそれがまた同級生が彼女みたいでテンションを上げてくる。

 また性格もよく、パーフェクトと言えるだろう。


 まさに俺にはもったいなく思える。

 このような子はアニメや漫画の主人公ようなカッコ良くて頼りがいのあるキャラと愛しあうような女の子なのだ。

 いったいどうして俺に惚れたのだろうか?


「私、夢があったのは覚えてるんです」


「え?」


「好きな人といっしょにいる、そんな夢なんですが。今は叶ってとても幸せです//」


 そんな彼女が可愛くて手をつなごうとしたが、


スカッと手は空を切った。


「あっ‥‥」


「どうしたんですか?」


「いや、なんでもない」


 俺はそこで冷静になった。

 いくら可愛くても彼女は幽霊。

 住むところが違う。

 今の俺は周りの人から見れば何もないところに向かってしゃべりかけている残念な人に写っているだろう。

 それにいつか彼女は成仏して俺の前からいなくなってしまうだろう。

 俺の周りから何もかもなくなってしまうのだ。

‥‥‥そう思うと悲しくなってきた。


「いや~幸せです~//」


 そう思っても彼女の幸せそうな顔を見ていると、この生活を続けていっても構わないと思う方が強くなってしまうのだった。

 そして、願わくはこの生活が変わってしまうことがないように祈るのだった‥‥。

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