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約束  作者: 蓮華
4/5

君にとって














 ―――♪―――♪―――♪―――
















 私の町では、夕方の5時になると、

 夕焼け小焼けのメロディーが流れる。


 それは、子供達に「日が暮れるよ」という合図。



 さっき、そのメロディーが流れた。




 けれどまだ、私は大きな木の下にいる。


 理由はもちろん、君に会うため。




 他人から見れば、いい笑いもの。


 信じたところで来ないことは、

 馬鹿な私でも何となくだけどわかる。



 正直な話、薄々と気付いていた。

 君が来てくれることなんてないって。




 だってさ、 知ってるかな?

 君が、離れ離れになってからの2年目の誕生日で、

 送ってきてくれたキャラクターのキーホルダー。



 実はね?

 あのキャラクター、貰った時にはもう好きじゃなかった。


 正直、キャラクター系には飽きてた。


 だけど、君がくれたからって、私は喜んで鞄につけた。


 もちろん、好きだからじゃなくって、君がくれたから。



 君は、今の私の好みを知ってる?

 キャラクターだけじゃない。 読書だけじゃない。

 食べ物だって、ファッションだって、好みは変わったよ?


 君はそれ、知ってる?


 私は何度も伝えようとした。

 毎年の君からの誕生日プレゼントも楽しみにしてた。



 だけど、君からの贈り物には、君の住所がない。



 ただ、私は寂しかった。




 君と話したいことは山ほどあるのに、

 私には、それを伝える手段がない。


 君からの一方的な贈り物。


 だけど、その贈り物もいつしかなくなった。



 何となく、気付いていたよ?




 だけど、認めたくなかった。

 君が10年前の約束を忘れてるなんて。

 だけど、信じたくなかった。

 君がもう、私のことをどうでもいいと思ってるなんて。



 信じた私が馬鹿だったのかな?





 こんな時間まで、一途に君だけのことを想って、

 こんな時間まで、時間を気にしながら読書を続け、


 今日の今日まで、君を好きでいた私が馬鹿だったのかな?






 町の人に、「忘れろよ」と何度言われたことか。

 「俺と付き合え」と言い寄られたこともあった。


 だけど、いつだって私は、

 「待ってるって、約束したから」って笑って誤魔化した。




 そんな生き方が、間違ってたのかな?






 わかんないよ。 わかんないよ。








 ねぇ、 教えて? 何が本当で、何が嘘なの?






 私がこのまま待ち続けても意味はあるの?



 ねぇ、教えて?

 君は忘れてるだけなの? それとも、何?

 嫌いになっちゃったの? ねぇ、教えて?



 私は君にとっての何?   わかんないよ……。





















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