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約束  作者: 蓮華
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誕生日


 高校3年の卒業式。

 あの日の私はまだ、若かった。


 いくら田舎だからとて、

 そんなところでキスをすれば噂はすぐに広まる。

 会話は聞かれていなかったからいいものの、

 「お熱いね」と、どれだけの人に馬鹿にされだたろうか。


 その苦労すら、君は知らない。








 君は10年間、大都会に行っていたから。

 だけど、明日、君は戻ってくる。


 明日が、待ちに待った私の誕生日だから。




 今日まで、いろいろ苦労した。

 私はここで君を待つと約束した。

 だから、私は高校を卒業してすぐ、働いた。


 ここは田舎だから、大学はない。

 だったら、私には大学進学の選択肢はない。


 そう思って、私は必死に働いた。

 君が“都会で会社をつくる”っていう夢を、

 果たせていることは知っている。

 だけど、将来お金があって困ることはない。

 だから、私は将来のためにお金を貯金している。




 あれから、1年おきだったけれども、

 私の誕生日には毎年、手紙が届いていた……。



 だけど、私が君に手紙を送ることはできなかった。


 君から届いた手紙には、君の住所が書いてなかったから。



 1年目は、真っ赤な薔薇の花束と一緒に、

 「誕生日おめでとう」のメッセージカードが。

 2年目には、「元気にしてる?」というコメント付きで、

 私の好きだったキャラクターのキーホルダーが届いて。

 3年目には、あなたの建てた会社の前で、

 従業員と一緒に笑ってるあなたの写真が届き、

 4年目には、何も届かなかった。



 届いたのは、最初の3年間だけ。

 私は4年目の誕生日を、君が忘れているのかと思った。

 数日して、「ごめん」というメッセージカードが、

 何かと一緒に届くと思っていた。


 だけど、それは私の勘違い。

 写真以来、何も届くことはなかった。



 そして、ついにやってきた私の誕生日。



 正直な話、

 君は来ない気がする。


 だって、4年目の誕生日に何も届かなかったのは、

 絶対にそれなりの理由があると思うから……。


 だけど、待ち合わせをした、

 町で一番大きな木の下に私は行こうと思う。


 だって、大好きな君とした約束なんだから。








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