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◆ ◆ ◆8.

◆ ◆ ◆8.


助けて―……

ひきつれた叫びを聞いた。音にならず、思いのままのその"声"は直接脳裏に響いたのだ。

まるで氷の手で背を撫でられたかのように、全身が総毛立つ。

何が起きている?場所は何処だ?俺を呼ぶのは誰だ―?

"声"は確かに雫葉を呼んでいた。否、雫葉という名ではなかったかもしれない。

しかし、それは絶対に雫葉を何処かに誘おうとしていた。―刹那、雫葉が左耳につけている血の色をした勾玉が鮮やかに発光しだした。

勾玉が発する紅い、その光線は何処かへ真っすぐに続く一本の道となった。

雫葉は、この光線を辿れば良いという不可思議な自信があった。

常に体から、ゆらゆらと陽炎のように立ち昇っている神気を一点に集め、竜巻きを起こし、その流れに自らの身を任せた。

―と、普段は青いはずの雫葉の竜巻きが、勾玉の紅い光と溶け合い、暁の空のような色に変じた。

そして、雫葉の心には暁の空、以外にもこの色を表す比喩が浮かんだのだが、頭を振ってすぐさま、それを打ち消した。

どうやら勾玉の示す道は都のはずれまで続くようだった―。




ここまで一息に話したところで、雫葉は一度口を閉じた。

薫は、視線を雫葉の左耳に移す。そこに揺れる勾玉は冷たくきらめいているだけで、特別な発光など全くしていない。

この勾玉は本当に鮮血に浸して、染め上げたかのような色だ。

しかし、何か霊力や妖力が宿っている訳ではない。ただ、雫葉が大切にしている耳飾りだ。

薫はずっとそう思っていたのだが、違うのだろうか。

「…その光の道の示す先が、かの藪だったのか?」

問うたのは雲我だが、握り締めた拳の指先はまっ白になっている。

雫葉は無言を返したが、その瞳には肯定の意志が垣間見えた。

「続きを聞かせてくれ」

促す霧月の声はかすれていた。

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