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◆ ◆ ◆7.

◆ ◆ ◆???


地を這うような声で怨念の言霊が紡がれる。

その声に操られているかのように、炎がその身をうねらせる。

いよいよ、怨念の言霊は強く、憎々しくおぞましいものに変わる。

今まで、不自然に揺れているだけだった炎は、突然大きく火柱を上げた。

ごうごうと音をたて燃え栄る炎を見つめ、にいと嗤う影が――…。


◆ ◆ ◆7.


誰もが言葉を失い、長い沈黙が続いた。沈黙を破ったのは、雫葉だった。

「…紅い炎を見た。かの場所で」

短い言葉だったが、薫以外の全員が息を呑む。まったく話が分からない薫の頭の中は、混乱するばかりだ。

「何、何、何なのよっ…?」思わず問うた薫に答えたのは、雫葉だった。

抑揚の乏しい口調で淡々と告げる。

「…が死んだ時と同じだ」

最初の部分が聞き取れない。「え…?」

聞き返したがそれきり雫葉は押し黙ってしまった。

「奴が…」

押し殺したような呟きが雲我の口から漏れる。その刹那―、

「…う、…た、助け…」

閉じていた瞼がかすかに震え、女が身じろぐように体を動かした。

茵に一番近い場所に端座していた雪風が震える女の手を握り、優しく話しかけた。

「ご安心なさって下さい、私たちは悪しき者ではありませんよ」

ぼんやりと焦点の合っていない瞳が宙を彷徨っている。

「…つ、つば…さが…」それだけを弱々しく繰り返して、力尽きたように瞼が落ちた。

翼、だろうか。これは何者かの名か、それとも羽、を意味しているのか。

「…どういう意味だ?」考えあぐねた霧月が雫葉に問う。

「おそらく―…」雫葉の答えに全員が意を突かれて言葉を失った。

羽だ、と雫葉は誰ともなしに呟いた。そして一呼吸のちに告げた。

「――彼女は蝶だ」

「…は?」思わず聞き返した一同は、土気色の女の顔を一瞥し、雫葉に視線を戻す。

雫葉がうつむきながら、ぽつり、ぽつりと語った話をまとめるとこうだ――。

ここで(いまさらながら)登場人物紹介


※当時のノートには五人のイラスト(顔のみ)つきで、書かれてました!


(かおる)

15歳の特訓中陰陽師。強い見鬼、霊力の持ち主。


雲我(うんが)

水神四精の一人。その相貌は四人の中で、最も幼い。結界を張るのに長けている。


雫葉(しずは)

水神四精の一人。四人の中で最も強い。性格、口調ともに荒いが、口数は少ない。


霧月(むつき)

水神四精の一人。少し手厳しいので、薫と雲我は苦手意識を持っている。


雪風(ゆきかぜ)

水神四精の一人。戦う力は最も脆弱だが、自身のことより、薫や同胞のことを常に気にかけている。

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