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◆ ◆ ◆6.
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「―都はずれの小さな藪の中だ」
霧月の問いに答える雫葉の双眸は何の感情も映していない。
映るのは、蒼白な女の面差しと乱れた銀の髪だけだ。
そんな藪なんてあったかな、薫は首をかしげ、隣の雲我をちらりと見遣る。
都はずれの小さな藪、抑えた声音で呟き、雲我は瞠目する。
そんな雲我の反応を訝しんだ薫は、霧月や雪風に視線を向けた。
―が。二人とも、言葉を失っている様子で狼狽の色が瞳に広がっていく。
「皆、どうしたの…?」
薫の問いに答える者はいない。
しばしの沈黙の後、雫葉が若干ためらいがちに再び口を開いた――。