◆ ◆ ◆1.
中学生の頃(10年以上昔…)に書いた小説が出てきました!懐かしい(^^;)
あえて加筆・修正せずに、当時のものをそのまま投稿します。
設定やストーリーの運び方に難があるとは思いますが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
中学時代はクラスメイト数人に読んでもらっただけで、このような場に投稿するのは初めてです。
◆ ◆ ◆ ???
―痛い。熱い風が翼を焦がす。
暮れなずむ空に、その色に負けぬ赤々とした火柱が、立ち昇る。
―助けて。声にならない叫びが喉から迸る。
逃げたいのに逃げられない。
おぞましい妖気が翼をからめ取り、その場に縫いつけられてしまった。
◆ ◆ ◆ 1.
「オン、クロダヤ、ウンジャク、ソワカ!」
紡がれた真言が鋭利な刃と化し、はなたれる。
刃が向かう先にいるのは人の子ほどの大きさの漆黒の鴉。
霊気の刃がつきささると思われた―刹那、鴉が咆哮とともに翼を大きくはばたかせた。
甚大な霊力の波動が生じ、刃を粉々に打ち砕いた。
と、同時に鴉の輪郭がおぼろげに揺れ、その姿は掻き消えた。真言をはなったのは、年の頃は十五、六の長い黒髪の少女だった。
少女はくっと唇を噛むと、踵を返した。