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 改めて振り返ると、今日の仕事はただ単にお嬢様とキャッキャウフフ言いながら、なんちゃってテニスをしただけである。何と楽な仕事か!

 

 ご機嫌で帰って行くスカーレットを通りまでクリスと見送って、帰りがてらに今日の夕飯の買い物に向かう途中、クリスが不審げに私を見てきた。


「金第一のお前が珍しいじゃん。あんな金貨目の前にして飛びつかないなんてさ」

「ちょっと言い方! バカね、クリス。よく考えてみなさいよ。お金よりも大事な物、それを私は今回手に入れる事が出来たのよ」

「何だよ」

「コネよ。ほら、前に私、腰やったじゃない? あの時に思ったのよ。今までみたいに化粧品とかオイルの原料とか自分で取りに行ってたらキリないなって。マリアンヌに頼んでも良かったんだけど、あの子嫁ぐじゃない? そうなったらマリアンヌの一存で動かせるものなんて知れてるわよね? その点マリアンヌから事前に聞いていた情報によると、スカーレットは商家の一人娘なのよ。だから次の当主は彼女なの。てことは?」

「……自由に動かせる金が出来る?」

「そういう事! 何よりもあれだけの大金をポンと出しちゃうような資産家の娘って事でしょ? これはもう! ねぇ!? おまけに商家よ!?」

「おまえって奴はどこまでもブレねぇな! まぁでもヒマリの言う通りだな。全部自分でしようってのは無理があるし、コネはともかく信頼は金じゃ買えねぇもんな。目先の金貨をよく我慢したな! それでこそ社畜の鏡だぞ!」

「まぁね。もっと褒めていいわよ」


 手を叩いてそんな事を言うクリスに私が調子に乗って言うと、クリスはすぐさま真顔になって言った。

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