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 そんなスカーレットを見てあまりにも申し訳なさすぎて思わず胸を抑えると、そんな私をクリスが何か言いたげに見つめてくる。


 が、何も言ってくれるな。私も分かっている。こんなトンチンカンなルールしか伝えられなくてごめん、と。


「そろそろ始めるぞ~。ほら、散れ散れ」

「あんたね、ご令嬢に何て口の効き方すんのよ」

「あ、いいの! クリス様は私よりもずっとずっと高貴で尊いお方なので!」

「だ、そうだ。ほら、さっさと持ち場に行けって。サーブどっちから?」

「それじゃあスカーレット様からどうぞ! 練習も兼ねて」

「いいの? ではいくわよ、ヒマリ!」

「どんとこいです!」


 それからどれぐらいテニスをしていただろうか。しばらくして私たちは冷たいハーブティーを飲みながら、梅の木の下で足を投げ出して大笑いしていた。


「もう止めてちょうだい! そんな事言ったらヒマリのラケットがスッポ抜けた時も相当だったわ!」

「いえいえ、スカーレット様の盛大なサーブが隣の家まで飛んで行ったのは忘れられませんよ~」

「僕はヒマリが打ったボールが僕めがけて飛んできたのが一番ヒヤッとしたけどな。あまりにも的確だから狙われてんのかと思ったわ」

「いや~ごめんごめん。な~んかあんたの所行っちゃうのよ」

「やめろよな、怖いから。ん? どした? スカーレット……っておい、泣いてんのか!?」


 それまで私とクリスの話をそれまで楽しそうに聞いていたスカーレットの目から、突然涙が溢れ出したのだ。ヤバい、機嫌損ねたか!?


「えぇ!? ど、どこか痛めました!? ちょっと横になりますか!? ま、枕は私の膝しかないですけど!」

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