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「え? 第五王子? クリスって第五王子なんですか?」

「知らなかったの!? そうよ、あの方は高位妖精第五王子よ。高位妖精の文献はとても多いんだけど、第五王子に関してだけはとても少ないのよ。というのも、第五王子はそのあまりの美しさ故に王妃があまり人間界へやりたがらないんですって」

「へぇ……美しさ故……」


 そんな事あるか? にわかには信じがたい話に私は曖昧に頷いて、テニスの準備を始める。

 

「おー、いいじゃん。ヒマリのは見慣れたけど、あんたも似合ってるよ」


 早速作業着に着替えて庭に出た私達を見てクリスが笑顔で言うと、それだけでスカーレットは頬を染め、まるで乙女のような反応をする。


「あ、ありがとうございます」

「おう。で、僕は審判でもやればいいか?」

「手伝ってくれるの? ありがとう。それじゃあスカーレット様、テニスのルールを説明しますね!」


 そう言って私は詳しくは知らない、あくまでもテレビやなんかで見ていただけの大雑把なルールを説明すると、スカーレットは真剣に頷いてメモまで取り出した。


「あ、あの! まだテニスはあくまでも新しい娯楽なので、きっとこれからどんどんルールも変わって遊びやすくなると思うので、そんなメモを取るほどでは……」


 何だかそんなスカーレットを見て良心が傷んで流石にメモを止めようとすると、スカーレットはキリリと凛々しい顔をして言う。


「その時はまたメモを書き直すわ! 私、こういうのはきちんとしていたいの」

「は、はぁ。ではルールが変わったらすぐにお知らせしますね……」


 仕方なくそう言うと、こちらの意に反してスカーレットは花のように笑った。

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