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「まずさ、聖女って何が出来る訳? 魔法か何か分かんないけど、どんな技使うの?」


 ずっと気になっていた聖女の力だが、本当に未来を見ることが出来るのかどうか、そこからではないのか。


「白魔法だよ。聖女はありとあらゆる怪我を治してくれる」

「ふぅん、医者いらずだね。で、未来を見る力もあるの?」

「さあ? 聖女認定の儀の時に俺も居たけど、そんな事は言ってなかったけどねぇ」

「聖女認定の儀って?」

「現れた聖女様が本物かどうかを認定する儀式があんの。その儀式に合格しないと聖女って名乗れないらしいよ。俺も聖女自体見るの初めてだったから知らなかったんだけど、それによれば召喚された聖女がどの類の魔法を使うのかが分かるんだってさ、で、聖女の基本魔法は白魔法。これは高位妖精にも使えないんだって」

「白魔法な。あれは僕らにとっちゃ自然に反する力だからな。人間はありがたがるけど、僕らにとってはあれは悪魔の力に等しいんだ」


 じっと話を聞いていたクリスが腕を組んで難しい顔をしている。


「そうなの? 白魔法なんてめちゃくちゃ良い魔法だと思ってた!」


 何せファンタジーの王道だ。何なら私も使いたい。


「いやいや、僕たちは森羅万象を司るんだ。自然の理から外れた力は闇の力以外の何でもないんだよ。むしろ破壊の力の方が自然だ」

「えー……夢無いなぁ」

「よく考えてもみろよ。自然が何かを治癒する時は本来長い時間かけて治すんだよ。それは人間でもそうだろ? 怪我でも病気でも時間をかけて治癒をする。むやみに殺さない。無理に生かさない。それが自然の摂理なんだよ」

「なるほどねぇ。そういう観点から言うと確かに白魔法は自然ではないのかもね」

「おう。でも今の話聞いて合点がいった。僕のパートナーはやっぱりヒマリで合ってたんだな」

「なんでそうなるの?」

「白魔法を使う奴には僕たちは絶対に近づかないから。何か嫌な感じがしたのはこういう理由だったんだな。納得した。僕はやっぱり社畜を選んで正解だった!」


 だからさっさとパーティーを中座して帰ってきたのか。私は半眼になってクリスを見ると、何故かクリスは誇らしげだ。


「相変わらず一言多いのよねぇ。で、聖女は白魔法は使えるけど、未来予知は出来ない……はずって事? ていうか今更だけど、そんな事私にペラペラ喋っていい訳?」

「まぁ別にいいんじゃね? だって市井の事件だって聖女選定だって別に隠しちゃいねぇし、聖女のノートだって確定じゃないんだし」

「あ、そう。まぁ噂話の域出ないもんね」

「そうそう。未来予知については少なくとも俺はそんな話は聞いてないし、見てもない。聖女がこっちにやってきて一番最初にした事は王都の一番デカい病院に居た末期患者の救済だったんだ。それがあったから聖女すげーってなってたんだけど、俺は……あんま良くは思わなかったな」


 ノーマンはそう言ってゴロリと転がった。


「なんで? すごい喜ばれそうなのに」

「喜ばれてたよ。でもさ、じゃあ他の病院の奴らは? 全部周るのかと思ったら、それはしねぇんだもん。何だ、偽善かって思っちゃったんだよな~」

「ノーマンは割と初めから聖女に好印象じゃ無かったんだよ」


 そう言ってトワは苦笑いをして言う。なるほど。チャラく見えても実はこの人が一番警戒心が強いのかもしれない。


「部屋の掃除と一緒よね。見える範囲だけやっとけばいいや、みたいなさ。気持ちは分かるけどね」

「部屋はそれでいいだろうが、生死がかかってたらそうはいかんだろ」

「それはそうね。どうせならあちこちの病院でやればいいのに。その方が株が上がるでしょうに」

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