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#9  ○《異世界聖女召喚祝い》当日


 王城から、国立競技場まで馬車で向かい、パレードが行われる。


 今日は特に、専属侍女達はピカピカに磨きあげをして、とても嬉しそうに

私をみていた。


 私は王弟殿下へ、

「おはようございます、叔父さま」と朝の挨拶をした。

 王弟殿下は、こちらを見ると、一瞬ビクッとして私へ、

「ああ、おはよう」と応えた。

あれ? そうね、王弟殿下は私の王女姿は、初めてよね。


 次に、王太子殿下へ、

「おはようございます、兄上さま」と朝の挨拶をした。

 王太子殿下も、やはりこちらを見ると、一瞬ビクッとして私へ、

「うん、おはよう」と応えた。

でも、顔色が一瞬変わったことを見逃さなかった。


 あれ、2人とも式典の緊張はわかるけど、私の素性は知っているハズだし、

何か違和感を感じた。

そうか、2人共、私と顔を合わせない、むしろ避けているように感じた。


 そこへ、リリアーヌが、令嬢の姿で間に入り、朝の挨拶をしながら、

場の雰囲気を和らげた。


 馬車は、王弟殿下と王太子殿下で1台に乗り、先頭になった。

私は、リリアーヌと一緒に、次の1台へ乗った。

聖女様達は、白いオープンタイプの馬車に、神殿長と修道院の院長が前列、

聖様女達は、後列に乗った。


 私は、何かあるならここかなと思って、注意を払っていた。

でも、別のものを感じた。

 沿道にいる人達へ、私はいつものように手を振っていたが、

私達の馬車と聖女様達の馬車が通ると、王国の旗を振る人、や手を振る人

拍手する人の反応が違う。

 先頭の馬車より、一層嬉しそうに応えていると感じた。


 王弟殿下と王太子殿下って、王都の人達から、あまり歓迎されてない?

と感じた。

 先日の王都修道院でのウワサからでも、評判と信頼が落ちていた

ようだけど、ここまでとは思っていなかった。


 そう言えば、朝の挨拶で、リリアーヌはハグされていたが、私は避けられた?

下賤とかではない。そう、王太子の一瞬の顔の表情、顔色が、

あれを幽霊を見たようにと表現するかも、と思った。

あれって、何か違和感を感じている。


 初めて会った時も、私の顔を見るなり挙動がおかしくなっていたな。

 では、ネズミさん達に調べてもらうことにした。


 貴族街を通った時は、紙吹雪かみふぶきが舞い降りてきた。

建物と建物の間に張った幕や垂幕も、かなりの数があった。


 幕に書かれた言葉は、だいたいが、

『ようこそ、異世界からの聖女様方、歓迎します』

になっていた


 王都広場では、大勢のひと達が集まっていた。王都広場ではしばらく

三台の馬車が止まって、観衆の声援に応えていた。


 王都公園の噴水のある池では、花壇で囲まれていて、色とりどりの

花が咲いていた。

天気が良いので、池の水が太陽に照らされて、キラキラと輝いて見えたし

そよ風が心地よく吹く中で、花びらが揺れていて、とっても美しかった。

 ここでも、しばらく三台の馬車が止まって、観衆の声援に応えていた。


 リリアーヌに、王都は美しい場所があるねとささやくと

「そうね、あなたはこの辺を見るのは、初めてだものね」

とつぶやいていた。


 国立競技場に到着した。

競技場内をゆっくりと一周しながら、観客へ応えていた。

私は、パレードが狙われると思っていたが、監視的な気配はあったが、

殺気は感じなかった。

 無事に到着できてよかった。


 私はこれならば、本日は王弟殿下と王太子殿下の逆転劇に相応しい

最高の環境が整ったね、と感じていた。



◇◇王弟殿下と王太子殿下の逆転劇の始まり


 王弟殿下の挨拶が始まった。

主役は王太子殿下なので、アッサリとした開催の挨拶だった。


 本日の主役、王太子殿下の挨拶が始まった。


王太子殿下は、ステージ中央に立って、オモイッキリ目立っていた。

王弟殿下とご子息のギルバートは右側後方に立ち、

私とリリアーヌは左側後方に立っていた。

気がつくと、リザリアは、中央の真後にいて、警戒をしていた。


 王太子殿下の挨拶は、さすがに盛り上がりをみせていた。

私は計画通りなんだろうなと盛り上げ方を見ていた。

ステージの後方に、聖女様達の姿があった。

《緑の聖女》エリカは、黒と緑のラインがキラキラした聖女服姿。

《光の聖女》ユミナは、黒と金のラインがキラキラした聖女服姿。

2人とも、ベールにも同じ組合せのラインが入っている。


 王太子殿下の挨拶が最高潮に盛り上がりをみせて、

聖女様達を紹介するため、よび寄せた時に、それは、起こった。


 私は、左側ステージ下に異様な殺気を感じた。5~6人くらいか? 

左側をチラッと見ると、黒ローブの魔法使い? が詠唱していた。

 リザリアも気付いていて、左側にシールドを展開していた。


 複数のファイアーボールが王太子殿下へ向かったが、シールドで防がれた。

ところが、次はファイアーフレアが連続で発射され、

シールドがボロボロになっていった。シールドは4重に展開されているのに!


 私は王女様が使う、リザリアと練習した、氷の防壁を準備した。

右側ステージ下にも、強力な殺気と魔力を感じた。


 私は瞬時に、王太子殿下と聖女達を包むドーム型のアイスバリア(氷の防壁)

を7重に展開した。

右側の刺客は、王太子殿下めがけて頭上に大きな、フレアバーストを落として

きた。


 私は、アイスバリアにリフレクション属性を付与した。

そのため、ファイアーフレアやフレアバーストは発射した者へ反射され、

自分達がそれぞれに、火炎に包まれた。


 私が、リザリアを見るとシールドを、再度展開させようとしていた。

そこで、観客に火炎の被害が及ばないように、右側と左側の火炎に包まれた者を

アイスバリアで包み、インライン・リフレクション属性を付与した。


 それぞれ、自分の魔法が、即自分を火炎で襲ってくることは予想

していなかっただろう。

また、同時にバリアで包まれてしまい、意識不明状態で魔法は自然消滅していた。


 王太子殿下と聖女様達は無事だったが、本日の開催は中止となった。

刺客は、意識不明のまま、捕縛された。


 王弟殿下と王太子殿下にとって、聖女召喚までして準備していたのは

逆転劇で終わる、思いっきり最高の計画だったからだ。

競技場の全ての観衆が、王弟殿下と王太子殿下に最高の歓声と称賛が

いつまでも収まらない場面を予想していたハズである。


 それが、聖女召喚で聖女になれない、ただ王女に似ただけの道具に過ぎない女に

思いっきり観衆の歓声と称賛が転がり込んでいく場面など

全く予想していなかっただろう。


 王弟殿下と王太子殿下にとって、全く不本意な幕引きに、とてもやりきれない

思いだったことだろう!


2025/04/27 改訂しました。

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