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#5  ○レッスンの成果をみせる

 

 レッスンも6日目、リザリアが活躍を始めた。

 リザリアは、リリアーヌの記憶イメージを切出して、

私に写す魔法を使った。


 私は、こんな魔法を知らない。

でも異世界物ラノベにはありそうだと思った。

 こんな方法で、詰込まれるとは、思っていなかった。

教える方も楽だよね。


 リリアーヌが期待できそうな魔法を語っていたのはこれね。

私は、リザリアを少し、アナドッテいたことを反省した。

慢心すると勝てる勝負にも負ける。何かのアニメにあったな。

何か勇者一行の魔法使いが、魔族をアザムイテ倒す。

 私も、前の異世界ではそうして戦った。初心に帰ろ、と思った。


 その後、私のレッスン成果の確認になった。

私はリリアーヌの指示で、いくつかのシーンに分けて実演した。


 リリアーヌが

「所作がいいですね」

「姿勢など基本をレッスンしていたからでしょうか」

とリリアーヌとリザリアは、私の実演が、

シーン再現性が高いことに驚いていた。


 私は

「リリアーヌの基礎レッスンとリザリアの魔法のお陰でしょうかね」

「役を演じている感じではなく、

イメージ通りに体が自然に動いてくれる感じです」、

とトボケた。


 本当は私の能力、【並列思考】の【演技】トレースが活躍していた。

チートな力を使っちゃったな、と思った。


 それでも、私は別な疲労感を感じていた。

夜の寝つきは相変わらず、良くてすぐに、深い眠りに入る。



◇◇召喚から8日目に、王太子殿下が様子を見にやって来た。


 私は、リリアーヌへ突然の訪問は、ないだろうと少し反抗してみた。


 リリアーヌは、

「昨日と同じように、できればいいよ」。

「まだレッスンの仕上がりを見たいだけだから」。

「何かあれば、私がフォローできるよ。」と背中を押してくれた。

私は固まった状態から、肩の力が少し抜けた気がした。


 王太子殿下との会食が始まった。


 晩餐に王太子殿下は遅れて、リリアーヌと一緒に入ってきた。

私は、テーブルのサイド、窓の外が見える席に座っている。

殿下は、テーブルに座っても、リリアーヌばかり見て話している。


 リザリアが咳払いした。

殿下はリザリアを見て、軽く「やー」とあしらった。

「ここにいる女か! リザリアが見つけた影武者って?」

「ええ、そうです」

「前の影武者も、軽く近づいただけで、見破れたゾ!」

「シルバーやブロードでも気付く位だからな!」

全然私に顔を向けないで、リリアーヌやリザリアと話している。


 ところが、侍女達が生き生きと嬉しそうに、王女様..、王女様..と

私の世話をしている姿に気付いたようだった。


 私に顔を向けたので、私は

「今晩は、兄上様」

「私はまるで、いない者のように扱うのね」

と少しふくれた表情で、殿下を見てみた。

 あれ、顔が一瞬でこわばった?

「ゴメン、エリー、無視してたわけじゃないよ!」と焦ったようにしていた。


 しかたがないので、

「殿下、始めまして、影武者のエミリアです」と名乗った。

 殿下は、こわばった顔を少し和らげて

「エット、召喚されたんだよね」

「はい、3人で召喚されました」

「聖女様達は、知り合いなのかい?」

「ええ、少しですが」

「それで、君は影武者になったんだよね?」

「ええ、その通りです」

「この侍女達は、すばらしいだろう」

「今日も、王女様のファンクラブだね」


 何か、殿下が詰問に困った立場のような雰囲気になった。

えー! 私は加害者かい?


 その時リザリアが

「殿下いかがですか、私が見つけた影武者は?」

「間違いなくあの召喚の儀式で召喚されてます」

「天上より降臨されるまで、私は確認しておりました」


 殿下は、また焦ったように動揺し、息が荒くなっている

「あーあ、あーあ、私もだ見てたよ」

「まるで我が妹が降臨したのかと思うくらいだよ」

「では、神殿長のように、授かりものとして扱うで、いいでしょうか?」

「ああ、全くその通りだよ」

「あとのことは、リリアーヌとリザリアに任せればいいかな?」

「はい、お任せ下さい」とリリアーヌとリザリアは答えた。


「困りごとは、宰相様を通して、申し上げる」

「また殿下からの相談ごとも、同じようにする、でよろしいでしょうか」

「ああ、それで、いい」


 なぜか、殿下は、あえいだ息をしていた。

 そして、急用を思い出したと言って、急いで帰って行った。


 私はこの状況が理解できないので、

「殿下は、どうかされたのですか?」

 リリアーヌとリザリアは

「思い付きで来て、急用を思い出して、帰った?」

「で、良いよね」互いに顔を見て、頷きあっていた。

 そして、二人は、思いっきり笑い出した。


 あれ、私だけ、置いていかれた? と思った。



◇◇前の影武者と会う


 翌朝、リリアーヌから

「是非、紹介したい人がいる」と聞いた。


その人と、すぐに会うことになった。

私の部屋に入ってきたのは、頭から大きなレースで

スッポリ隠した人だった。


 そのレースをリリアーヌが取ると、私はどこかで見たようなと

少し考えてから思わず

「ああ、王女エリーヌ?」と言っていた。

リリアーヌが

「少し間が空くでしょう」

「ソックリとまではいかないのよ」と。


 リリアーヌが、

「この人は、前からの影武者なの」

「あなたが上手くいかなかった時のために、待機していたの」

と説明してくれた。

あれ? じゃあ私は失敗してたら、やはり追放になっていたの?

それなら、私のチート様にも感謝しないとね。


 朝食を一緒にとることにした。

リザリアもゲストだから一緒です。

リザリアはその影武者に

「やあ、アリシア、久しぶり」

「ええ、リザリア様、お変わりなく、お元気ですね」と。

 朝食を3人で、エリーヌの最近の話をしながら一緒に取った。


 朝食後のお茶をゆっくり飲んでいた。

今日は、珍しくリリアーヌも参加している。

リリアーヌが前からの影武者へ「どう思う?」と聞いた。


 前からの影武者は

「昔から時々、所作を写すために、王女様とご一緒

させて頂いてますが、王女様そのものですね」と言われた。


 私は、「リリアーヌの指導がいいからですね」と言った。

「私も、活躍しているでしょう」とリザリアも主張する。

「はい、お二人のおかげです」と。

本当は、【並列思考】の【演技】トレースの実力。チート様もだね!

異世界に来てチート様は、とても頼もしい味方だなと体験した。


 アリシアは、南地方の王太子直轄領へ出発した。

まだ、王女様は全回復に時間が必要で、守るために一緒だそうだ。

そのように、リリアーヌから伝えてもらった。

リリアーヌは、何だか情報の統制をしているなと、私は感じていた。



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