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#18 ○幽閉の地で異世界・ファンタジーの冒険者始めます

リザリア師匠へ王女の身代わりから逃げる相談...

冒険者始めたい...

ユリウス様とリリアーヌのコンビ



◇◇師匠へ王女の身代わりから逃げる相談


 翌日の朝食後に、私専属の侍女達のお見送りをする。私はまた、侍女エミリアの姿になっていた。

マリアが「またその姿ですか? 全然変装になってないですよ」

私は「いいのよこの方が、みんなが気を使わないでしょう」

リザリアは「まあ、その姿で城下まで付いて行かないでよね!」

私は「モチロンです」


 侍女達は「あら、その姿で見送られるのね。王女様じゃないのが残念ね」

私は「また、皆さんと会えるようにしたいので、ガンバってみます」

 侍女達は「そうね、それなら王女様とお別れだと思うと悲しくなりそうだからね」

「じゃあ、その姿なら、エミリアまた会いましょう...」とみんなは私に色々と声を掛けてくれていた。

「ええ、みなさんも、また会いましょう」と、明るくお見送りができた。


 リザリアは「そうね、そんな見送りの方が良かったのかな?」とニヤリと笑った。

私は昨日の晩餐会で、リザリアにいじられるのは、覚悟していたからね。



 私の侍女マリアとエルナが小物を持ち、リザリアは身軽に幽閉の塔へ向かった。

幽閉の塔のには昨日の内に、荷物は運びこまれて、セットされていた。


 みんなは私の部屋にあるテーブルで、エルナが入れたお茶を飲んでいた。私は、塔の中だからと侍女達も座らせて、まだ侍女エミリアの姿のままで、くつろいでいた。でも、塔の門番は侍女エミリアの姿でも王女様とうやうやしく、頭を下げていた。


 侍女マリアとエルナは、私を王女の服装に変えてくれた。中々見事な手際てぎわだった。二人が戻ったところで、リザリアから声を掛けてきた。


 「ねえ。エミリアは王女様としてユリウス様に嫁ぐの?」

「いえ、そこのところをリザリア師匠に相談するつもりでした」

「ふーん、じゃあさっき見送りした侍女達に、ウソを言ってたのかな?」


 「いいえ、ユリウス様に嫁ぐ王女様がいれば、いいですよね」

「じゃあ、あなたは素直に、ユリウス様と一緒になるのね」

「いいえ、師匠は私の他にも身代わりが出来る人をご存じですよね」


 「ふーん、それって、アリシアのことを言っている?」

「ええ、そうです」

「でも、アリシアは...! ああ、なるほどね。私の特注品、変身のアイテムのことね」

「そうです。離宮で襲撃を受けたときに、リザリアが王女エリーヌに変身するように対策してたでしょ」


 「私は調整のときに、あまり変身後の姿を見てなかったけど。あれってそんなに凄いの!」

「ええ、私が保証します。今、見てみましょうよ!」


 リザリアは変身のアイテムを取り出して、装着した。そして、魔法で自分の姿を写し取り、分析魔法で比較した。

「これって、こんなにすごかったの! ええ! 自分の才能にビックリだね!! 私って、天才ーーー!!」


 「ええ、師匠はその通りの、とっても素晴らしい方ですーーー!!」

「うん、これは知らなかった。これならば、今のままではアリシアはソックリじゃないけど、ソックリになるわね」

「では、私の悩みは解決ですね」


 「うん、ほぼ解決できそうね」

「ええっと、やはり他にも問題があるんですか?」

「そう、ユリウス様はアリシアを知っているの。アリシアは、前王妃の妹の子なの。だから、三年前エリーヌと婚約した時に、リリアーヌとアリシアも一緒に行くことになっていたのよ!」


 「アリシアの両親は、まだ幼い頃に亡くなっているの、だから前王妃が引き取って、エリーヌとは双子の姉妹みたいに育ったのよ」


 「それって、3人いないといけないってことでしょうか?」

「うーん、今は動乱だしね。最悪の時は、エリーヌが女王を宣言して即位するでしょう。その後にユリウス様が入り婿になる。そして国王に即位して、エリーヌが王妃になる。ってことかな?」


 「まーあ、一番平穏なのは、今欠けているピースに、エミリアが入ればいいんだけどね!」

「まあ、それってワザット言ってます!!」

「まー、そのくらい、いじっても、いいでしょう?」

「いじりだけなら、いいですよ。いくらでも、いじってくださいな」


 「もうー、かわいくない弟子だな!」

「それは、たぶん師匠が、王女エリーヌの深い性格まで写してしまった、とかじゃないですか?」

「ふーん、じゃあ簡単だね。リリアーヌのユリウス様が大好きを、エミリアに写すのが簡単だね。セッカクだから、エミリアが寝ている時にしておこーかな」


 「チョット!! それって、あまりにも卑怯ひきょう過ぎません!! 私が安心して寝られなくなるじゃないですか!!」

「寝るときに、シールドを展開して寝ますよ!!」


 「エミリア、わかったって、シールドまで張らなくても大丈夫だから。いじりだよー、いじり!!」

「まーあ、だから筋書きなら、アリシアとエミリアの立場を入れ替えるかな? まあ、アリシアもユリウス様が嫌いではないようだし」


 「じゃあ、私は影武者になればいいのですね」

「いやだから単純に、筋書きっていったでしょう!! エミリアの、さっき3人いないといけないの? の質問の答えはね、3人でお嫁にいくことなんだよ」


 「えー! じゃあ、私がアリシアと入れ替わっても、意味がないですよねー。先にそれを言ってくださいねーーー!!」

「もー!! それって師匠は思いっきり、楽しんでるだけでしょう!! もーーー!!」


 「いやー、エミリア、ゴメンって、話の順番を少し間違えていたんだね。まだ詳しい話はあるんだから、まだもう少し聞いてからね」

「ええ、分かりました」

「それがねー、3人で嫁ごうとなった様なんだけどね。その時はアリシアはまだはっきりと決めていなかったの」


 「それって、保留してたってことですか?」

「うん。私の一番弟子は王女様、二番弟子はアリシアなの。それでその時は一緒に行くことは決めていたけれど、私にもう少し修行してから考えたいと相談してきたの。だからまだ保留にしているかな?」


 「え、じゃあ、それってさっきの話で、アリシアと入れ替えできれば、何とかなるんですよね」

「ただ、あれから3年も経っているしね、人の心の問題にも触れるから、足し算の答えみたいにはいかないでしょう!」


 「でも、エミリアはそうね、なんというか、そう、側妃だね。表面上の側妃にもっていければ、いいのかな?」


 「はい、師匠何となく分かりました。方針としてはその方向を目指そう、と考えて進むことですね」

「うんそうね。エミリアはそこを目指しなさいね。私はアリシアと連絡をとってみるからね」

「え、アリシアと連絡が取れるんですか?」

「それは我が、二番弟子だからねー。でも少し時間が掛かるからね。南地方に行っているからね」


 「じゃあ、リリアーヌが言ってた通り、南地方なんですね」

「そう、だから時間がかかるのよ」


 「あーそうだ、師匠ー! ここまで相談してから言うのはおかしいですが...」

「え、まだあるの? 何?」

「リリアーヌと師匠は私が、王女エリーヌの再降臨したように錯覚したりしたんですか?」


 「ええっと、私はそう思うことはないけどね。だから、その内に問題になると思っていたんだからね。でもリリアーヌは、昔からそうなんだけどね、何か一生懸命にやり過ぎるから、大切なことを見失うことになるのよーーー!! もう再降臨したとの錯覚なんて、必然的に起きちゃったんじゃあ、ないのかね?」

「分かりました。それで確認は十分ですねーー!! 私の報酬が王女様のお小遣いと同じ金額だから、薄々気付いていました」


 「チョット待って、それって、王女様が亡くなったことは、まだ、なーーんにも聞いてなかったの?」

「ええ、そうです」

「それじゃあ、リリアーヌのこと、凄ーーく怒っているよねーーー!!」

「いえ、師匠に確認したから。最初から私をダマス積りではなかったんですよね。きっとーーー!!」


 「そう、エミリアのことは一時しのぎだったの。だから、何度か二人で一緒にエミリアと話そうと誘っていたの。たぶん、何かをリリアーヌなりに気遣っていたと思う。シッカリしているんだけど。本当にーーー!! 不器用なところがあるからねーーー!!」


 「ええ、そこは分かっています。でも何か頼れるお姉さんだと思っていますし、頼り切っちゃっていましたから」

「そう、とーーてもあなたは、心が凄ーーく広いのねー! 何で聖女じゃなかたんだろうね。そうか王女だったりして」

「いーーえ!! 師匠も鑑定したでしょう。私は『町娘』でしたよ。そんなの私に言われても、分からないですしね」


 「そうね! 思い出した。私の分析は神官よりレベルが高いの。ところが、あなたのステータスってあまり見えないの。でもね普通称号って、そう何行もあったりしないのよー!」

 「1番上の『召喚に巻込まれし者』はわかるけど、その下に古代エルフ語? で5行も称号があるのよ。何かな? 私もここでこもって調べるけどねー」


 「それって、さっきと答えは同じですよー。私に言われても、分からないですよーーー!!」

「うん、分かっている。教えられたら、楽しみが減るから、その答えでいいわ」



◇◇冒険者始めたい


 師匠と相談したおかげで、私の目指す王女様関係の立ち位置も分かってきた。

 でも、まだまだ、異世界・ファンタジーな風景や特産品も味わいたい。味噌、醤油味も恋しくなっている! 探したいネー!

コショウは高級品でも使えるし、でも例えば、ガーリック・バターとくれば醤油でしょーーー!! と欲しくなるんだものねー!


 そこで前から決めていた、最終手段としての『逃亡』とその生活を支える冒険者生活の環境的な準備が出来てきた。

セッカク異世界だから、ワクワクーーー!! の冒険者生活も、やってみたいよねーーー!!



 形式的には幽閉なので、まだ師匠と外出許可の準備をしている。


 まずは、師匠に王女様変身のアイテムを使えば、王女様用の部屋でゆっくり、こもれますよーと、話してみた。

師匠に王女様用のベッドで過ごしてみてもらった。ふっかふかーーの羽根布団は気持ちが良かったようだった。師匠は直ぐに気に入ったようだった。でも王女様用だよー、こんなことしてもいいのかな?


 私はその王女様って、エミリアのことですよねー。それに普段は二人だけだし、侍女二人は私の専属の侍女でしょう。

 それに、週に一度ギルバートが訪ねて来るでしょう。そのまま師匠が相手をしてくれても、いいですよー、と言ってみた。


 ところが、師匠から思わぬ答えが返ってきた。

「私って、恋多きおんなだけどねー。もうギルバートは、単なる幼馴染おさななじみでいいのよー。晩餐会のときに王女様ーエミリアに、色目を使っていたでしょう。本当は王女様が昔っから好きだったようなのー」


 「ああ、そうなんですかー」とサラット流してみたけれど。「えー! 王女様って、私かー!」

「だからねーエミリアは、ユリウスが気に入らないんだったら、ギルバートに乗り換えてみても、いいのよー!」

「エーーット、そんなに突然言われても、困りますよー」


 「フフーー! エミリアはオクテ過ぎるわよー。普通は、22才くらいまでには結婚するものなのよー」

「じゃあ、師匠はリリアーヌと同い年(20才)でしょう。どうするんですか?」


 「うん、私には婚約者がいるからねー。大丈夫なのよー。エミリアは、ブロードを知ってるわね。彼がそうなのよー」

「えー! ブロードなの? ずいぶん心が広いんですね」

「うん、私を野放のばなしにしてくれるしねー」

「私には、ちょうど合った人になるかしらねー」



 師匠は王女様変身のアイテムで顔は変わるが、服のサイズまでは変えられない、王弟殿下の夫人の服を分けてもらった。

西方諸国一番の賢者を倒した英雄の一人で知られるリザリア。この人がローブと王宮侍女服ていどしか持ってきていなかった。

夫人はお下がりでいいのかしら、と気にしていた。が、王弟殿下夫人のドレスを下賜かしいただけて光栄ですと、喜ぶとこころよく、くださった。


 エルナと一緒に、師匠の丈直しのお針子をした。胸のサイズを中心に縮めた(内緒ですよー)。

 私は侍女部屋で暮らすことになる。でもその方がネズミさん達とも会話ができるし好都合こうつごう。リリアーヌがいないのも、こんな勝手ができるから好都合だったわー。

 食事は、リザリア師匠は離宮と同じでゲスト扱いだから、同じものが出る。でも、マリアと師匠が毒味してくれている。


 私は、新侍女エミリア変身のアイテムを師匠へ披露している。前に師匠にもらった、リザリア変身のアイテムを改造している。

リザリアは髪も瞳もこげ茶のスタイル。改造は、顔はリザリア、髪は赤茶・青い瞳にした。

師匠にいつ改造したのか聞かれた。それで、王女様変身アイテムの作業をみて学びましたと答えた。さすが私の弟子と喜んでいた。


 この変装なら合格と、OKをもらった。

 師匠は、どうせ幽閉じゃなく退避だし、マリアが付くんでしょ。西側諸国一番の賢者を簡単に倒せるしね、と師匠が外出を許可した。



 あとは、師匠がギルバートへの交渉だーーー!! ここは師匠の腕しだいになる。よろしく頼みますよーーー!!


 ギルバートへリザリアが街に侍女に変装して行くこと伝えた。監視人不在でも、門番がいるし、戦闘メイドのマリアもいる。私が、城下へ外出してもいいでしょう。侍女に変装するのは、居城の衛兵が気遣うから、王宮侍女のパス(証)を見せて出入りするよ。

 師匠は、厚化粧してギルバートへ交渉にいったから、ああ、わかったから、とアッサリ許可が取れたそうだ。

※以前ギルバートへ厚化粧して恋心を寄せていたが、ウザがられていた。


 師匠、私のために、そこまでしてくれて、ありがとうーーー!!


 新侍女エミリアで街に行けるようになった。塔の門番も、居城の衛兵も王宮侍女のパスを見せて出入りできるよー。


 やっと外出ができる準備が整ったね、ふーーー。



◇◇ユリウス様とリリアーヌのコンビ


 リリアーヌは、まだユリウス様と交易都市シュトルトにいた。


 リリアーヌは、ユリウス様とガラーム将軍の仲立ちの役割を果たしていた。リリアーヌは、ユリウス様の提案で今回の動乱を収めた一人として、王女様の元に戻ることを決意していたのである。


 王女様と離れて7日ほどが経った。その間に、西エルムズ国とシュトリアルを結ぶ西側街道を強い魔獣の出没のためとして閉鎖した。


 西エルムズ国は、高台に広い湿原があって麦の耕作には適さない。かろうじて高原の狭い農地に麦、とそば、野菜を耕作している。


 そのため、鉱山から産出する鉱石を売り、食料は輸入に頼っている。最近は、鉱山資源が枯渇してきたのか産出量も減っている。


 今は王太子殿下直轄領を中心に南地方からの食料援助にも頼り、更に、なおこの地方を欲しがっている理由である。


 エルムズ国からの食料援助は、南地方のエルモ川の大型運搬船を使っていた。ところが、サーペント騒ぎでこの大型運搬船の運航は停止して10日以上経つ。


 シュトリアル国からも鉱石を売って食料を買い入れているのである。その中で今回の魔獣騒ぎでの西側街道の閉鎖は痛手であった。


 残るは、南地方からエルモ川を渡って西エルムズ国へ入る、細々とした陸路である。


 今や西エルムズ国は、南地方の出稼ぎ派兵や遠くは王都イザベラへの出稼ぎ派兵の稼ぎと口減らしでしのいでいる状態である。


 そのため西エルムズ国は、南地方奪取へ進むのは時間の問題であった。


私の作品をごらんになっていただき、ありがとうございます。


できれば、ご覧になった感想を、単純にマークしていただくと、お気持ちが分かります。

よろしくお願いします=^_^=


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