#17 ○幽閉の地に到着します
幽閉の地に到着した。明日は私専属の侍女は各地に散って自分の領地へ戻る
◇◇王都とエルモ川流域のいくさの状況が伝わる
リリアーヌからはあれから連絡がきていない。副侍女長エミアーヌにはきているかも知れないけどねー。
私は、既に王女様ーエミリアの存在について理解はしているけどね。モチロンこのまま受け入れることは、無理ーー!! だよー!
王都を出発した時に、本物の王女様に憑依(転生?)した方が、諦めがつくかなっと一瞬だけ思ったけど、無理ーー!! だよー!
今は部屋に一人でいる。いつも一緒に私に付いていたリリアーヌがいなくなってから数日が経った。やはり姉のよう存在だったから、何かとても寂しさを感じている。まあ、私と違ってシッカリ者だから心配はいらないね。それに、ユリウスと一緒にいるだろうから。
何かのゲームのような思いがけないボーナス獲得! みたいなゆっくり旅も明日には、王弟殿下直轄領へ到着するなーと思っている。
そこに、盟友達の気配を感じた。
「やー、王女様。今晩は」いつものようにミラが先に、声を掛けてきた。
「ええ、今晩は。何か情報を集めてきたの?」
「いえ、さっきねアウラルが手紙を届けにきたんですよ」
アウラルね、ええっと、たしか、王都の離宮5階のテラスでテイムしたフクロウよね。
「あら、そう。アウラルはどうしたの?」
「今は、休憩しています。それで、手紙の内容ですが、王都とエルモ川の情勢を長老達から伝えて来ています」
「そうね、エルモ川は戦になるかもしれないから心配ね」
「はい、そうですね。ええっと、王都から伝えてもいいですか?」
「ええ、どうぞ。そちらからね」
「現王妃イザベラは、王都警備兵の大部分をエルモ川のガラーム将軍へ派遣したそうです。そして王都警備兵の空席に流れ者の冒険者を集めて、補充したそうです。王都の治安は悪くなっているようですよ。で素性を調べたら西エルムズ国の盗賊ギルドや質の悪い冒険者のようです。また、自分の離宮の警備兵を増やしていますが、出身は西エルムズ国のようです」
「あら! それって自分の出身国、東エルムズ国とは連携していないの?」
「それで、調べてみました。恐らくユリウス様だと思われていますが、東エルムズ国の北隣の東シュトリアル国から、国境付近に兵が集結しています。東エルムズ国の王都近くの国境付近ですね。まあこれでは、喉元近くに刃を突き付けられた状態ですよ。
東エルムズ国から我が国の国境に集結した東エルムズの侵攻軍と見られる軍団も身動きが取れない状態ですね」
「あら、それって現王妃イザベラは、自分の出身国を当てにしていないってこと」
「そう...ですね。王女様が毒を盛られていましたが、回復したと思われたのでしょう。東エルムズから暗殺失敗の責任者とされたようですよ」
「それで、イザベラが単独でかなり叱責を受けたようです。今回はその恨みもありそうですね」
「それで、恐らく我が国南地方、王太子直轄領のコゼットと手を組んだようですよ」
「それじゃあ、私が身代わりになったから、東エルムズと現王妃イザベラは、不仲になったわけね」
「そうゆうことでしょうね。ユリウス様の働きもありますが」
「じゃあ、私は役に立っているのかしら?」
「何を言ってるんですか。大いに役立っていますからね」
「ちょっとミラ、やめなさい。今は私が報告をしているんだからね」とミリがいつものように、タシナメテいる。
「え! でもそれなら、この国の南地方、王太子直轄領はコゼットの支配。王都はイザベラの支配になっているじゃない!」
「今は表面上はそうですね。」
「ええ! それって表面上なら良いって?」
「まあ次のエルモ川の状況説明で分かります」
「ああ、そうなのね」
「それで、次がエルモ川を挟んで対峙している、王弟殿下や王太子殿下の軍とガラーム将軍率いる軍の状況です」
「まず南地方は、兵を募集しています。ところが、集まるのは西エルムズ国の盗賊ギルドや流れ者の冒険者みたいですね」
「南地方の各領地から派兵を要求しているようですが、兵は集まっていません」
「次は、ガラーム将軍ですがこちらも、兵は集まっていません」
「あら、変ね。王都から警備兵が派遣されたのでしょう。どうして?」
「何か、幾つかに分かれて待機しているみたいで、進軍はしていません」
「我々も調査していますが、どうやらユリウス様にこの国の優秀な補佐が付いたようですよ」
「その補佐が、ガラーム将軍と連携して動いているようですよ」
「その補佐ってリリアーヌでしょう?」
「へへ、分かっちゃいますね」
「こらっ、ミラ。また直ぐにしゃべっちゃだめだろう!」
「いいわよー、ユリウスとリリアーヌはとっても仲良しさんなのは、もう知っているからね」
「ついでに、私の代わりにユリウスへ嫁げばいいのよー」
「いえ、前に話した通り、王女様とリリアーヌはユリウス様のところに嫁ぐことになっていますから」
「ああ、前にそう聞いたわね。だから私の身代わりがいればいいのよ」
「ええっと、おいら達は前にアドバイスした通り、取りあえずリザリアへ相談してくださいよ...」
「あら! つい言ってしまったわ。ごめんなさい。大切な盟友にグチをこぼしてしまったわ」
「いいえ、おいら達で良ければ、それは聞きますから、いいですよ」
私は、大切な盟友と手紙のお使いをした、フクロウのアウラルへ焼き菓子をご褒美に持たせた。
◇◇幽閉の地に到着する
翌朝、馬車が出発した。私の横にはリザリアがいる。私の向かいは副侍女長のエミアーヌと戦闘メイドのマリアがいる。
私はリザリアへ声をかけた「ねえ、リザリア」、「え、何?」
「今、私とても困っていることがあるの。今はちょっと、話せないけど、師匠として相談にのってね」
「ええっと、王女様ではなく、師匠と弟子としてなのね」
「そうーねー、両方かな? 王女と弟子である私...かな?」
「だいたい私にって、何か珍しいわね。何か気になってきたじゃない」
「ああそうね、久し振りに、呼んじゃおうかなー。エミリア」
「わー何か久し振りに感じる。さすが私の師匠! 勘がいいですね」
「ふーん、それって、リリアーヌ絡みなのかな?」
「まあー、それもありますね。でも、今はリリアーヌがいないですしね。あと頼れるお姉さんは、師匠のリザリアだけしかいないじゃあないですか」
「ああ、そういうことなのね。いいわよ」
「それでは、王弟直轄領の幽閉の間かな? ついたら二人だけで籠るんでしょう。そこでお願いします」
「まあ、幽閉は塔になるよ、キット。でも幽閉じゃなく、退避しただけだし、私しかいないよ、籠って楽しいのはね」
「そんなことなら、ギル(王弟殿下のご令息:ギルバート)に頼んであげるよ。幼馴染だし」
「え、そうなんですか? 何か高貴な方と結構、お知り合いなんですね」
「まあ、それも私の一つの取り柄にもなるかな?」
「なりますよー、高貴な方とお知り合いになるのは、中々難しいんですよね?」
「まあ、そうなんだけどー。って王女様が何をおっしゃっているのかなー。そうね、リリアーヌがいないものね。エミリアは、くだけすぎだね。まだ王女様しててよねー」
「ええ、分かりました」
「うん、そうしていると王女様だねー。塔に入るまでは、頼みますよ」
「ええ、任せてください。最近、少し慣れてきましたから」
「何言ってるの! もう立派な王女様をしているでしょう。これなら、いつでもユリウスへお嫁に出せるネ」
私はワザット嫌そうな顔をしてみせた。
「ふんふん、分かっちゃたー。塔の中では時間はあるし、色々考えることも好きだしねー。相談に乗れるよー」
さすが私の師匠、本当に鋭い人だし、更にまだ何かあるなーと思った。
王弟直轄領の王弟殿下の居城に着いた。私は直ぐに幽閉かな? と思ったら今日は塔に案内をするだけだった。
ギルバートは、エリーヌとリザリア(侍女兼監視人として)を塔に幽閉の形式に手配をしていた。塔の入口には門番が一人交代で着くが見張りではなく、護衛として着けると説明してくれた。
元々王族を幽閉できるようになっているから、王族用の広い幽閉室と侍女が待機、泊りが出来るような部屋もあった。
モチロン、侍女がお茶を入れられるようにもなっている。簡易コンロの魔道具、簡単な調理器具(フライパンや鍋など)があった。また、リザリアは侍女ができないと分かっていたので、下働きの侍女(ハウスキーパ、洗濯物から食事を運んでくれる侍女まで)他の侍女と兼務になるけど、手配がされていた。そして、専属で下働きの侍女を一人紹介された。14才になる子で名前はエルナちゃんだった。
私の王城からの侍女達も、今晩は居城に宿泊する予定だ。明日は自分の領地へ散って行く。
それと、戦闘メイドのマリアは私の護衛に残る手配がされていた。リリアーヌと打ち合わせしてあったそうだ。
リリアーヌ、どうしているかな? 私は知らない間に甘えていたようだ。姉のような存在がいないので、やはり寂しいやー。
いまは、夕日に映える城下の街並み、いかにも異世界・ファンタジーな風景を心をカラにして眺めていた。
私は、侍女エミリア(栗色の髪・こげ茶の瞳、王宮侍女の服)スタイルでいた。
居城のあたりからは、城下の街並みが見える。やっぱり、ファンタジーが大好きだよーーー!
ここまでのノンビリとした旅も良かったが、色々と考えることが多かった。だから、久し振りに気持ちも落ち着いて、今はとても晴やかなスッキリとした気分になってきた。
すると戦闘メイドのマリアの気配が、突然あらわれた。そう、王城の離宮の庭園で突然植え込みの中から現れた。そういう子だよ!
気が付くと私の横に立っていた。「王女様、前にリザリアさんに言われたように、明らかに変装した王女様に見えますよ」
「さすが私のマリアね。良くお見通しだよねー」と久し振りに心から笑えた。
「王女様は、アイカワラズに夕暮れ時の景色がお好きですねー」
「まあそうねー、こんな景色が見たいと思っていたからねー。マリアはどうなの?」
「いつもは任務に忙しいので中々見られませんが、こういう景色もいいですねー」
「それで、マリアはどうしたの?」
「王女様の専属侍女達が探しています」
「ええっと、どうして?」
「それは、王都出発の時はバタバタしていましたからね」
「みんなは、また王女様の入浴から磨き上げをして、ツヤツヤのプルルンの姿で晩餐会にあらわれて欲しいそうですよ」
「ええ、そうね。私もそうしたいわ」
マリアと一緒に私専属の侍女達のところへ行った。私をみて侍女達は集まってきた。王女様、久し振りに私共と磨き上げをいたしましょう。今日は副侍女長のエミアーヌのもとで、いつにも増して磨き上げをさせていただきます。
そして、私専属の侍女達は嬉しそうにしながら、久し振りに、私を磨き上げてくれた。
そして、王弟殿下の居城で、私は王女様として晩餐会に、あらわれた。あれ! 気のせい。何かギルバートの顔が赤くなったような?
そして、王都出発は慌ただしかったので、私の親戚にあたる王弟殿下の夫人、ご令嬢たちへあらためて、挨拶をした。
私を見て、私専属の侍女達はとても嬉しそうにしていた。そして、みんなに囲まれ送った生活を振り返っていた。
できればまた、あの生活を送ってもいいかなと思いながら、私専属の侍女達を眺めていた。うん...、そんな私を見てリザリアがニヤリとしていた。しまった、相談事を話す時に、リザリアにいじられそうだ。話が曲がって伝わらないように、注意しようと思った。
私の作品をごらんになっていただき、ありがとうございます。
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