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#16 ○王女様の情報が伝わる/あれからのユリウスとリリアーヌ

私の盟友(ネズミさん達)から真実が伝わる

あなたが儀式で降臨...。本当の王女様は、...

そして、ユリウスと一緒に部屋を出たリリアーヌは...


◇◇私の盟友(ネズミさん達)から真実が伝わる


 ミリとミラが私の部屋にやってきた。

「よー、王女様」とミラが先に挨拶した。すると、ミリが「こらミラ、気安すぎるだろ!」とタシナメテいた。私が笑うと、ミラが「すみません王女様、少し慣れてきて、気安い声かけをしてしまいました」私は「盟友同志なのだから、それでいいわよ」と微笑んでいた。


 ミリとミラは「先程のユリウス様との会見を見ていました。この度はおめでとうございます。この国がユリウス様と王女様で増々の発展を期待しています。微力ながら我々も王女様のために、力を発揮させて頂きます」


 私は「あら! 随分と早いお祝いの言葉ね。しかも、そのあらたまった口調は見事過ぎるわね。普通に話しましょうよ、ね」

そこでミリとミラが「いや、実はおいら達はおめでたいことがあったのに、王女様は何か困っている様でしたので、つい出しゃばりました。まあ、この国がこんな状況ですので、色々と心を痛めているとは思っています。お力になれることがあれば、話してみて下さい」


 エミリアは、この良き盟友達にどう伝えていいものか? 私は本当の王女様じゃないなんて、言えないけどねー。と考えた。


 ふと思いついて「ねー、ミリとミラは聖女召喚って知っている?」と聞いてみた。


 ミラが「ええ、モチロンです。王女様も召喚された方ですよね」すると、ミリが「バカそれは、長老から言っちゃあいけねーと言われていただろー。おまえは、本当にしょうもねーな!! あ、スイマセン、ついうっかりしておいらも...」


 「いえ、いいの。知っていても当然よね。ネズミさん達は、すべてお見通しの情報網があるんだから。私もうっかりしていたわ。じゃあ、私の悩み事を聞くだけでもいいから、聞いてね」

 「私は身代わりの王女様だからね。ユリウスにプロポーズされて、つい、『Yes』を答えてしまったの...」


 ミリは不思議そうな表情で「えーと、前に話した通り、3年前には既に王女様とユリウス様の婚約は成立していたから、今更『Yes』じゃあダメな理由が、おいらの頭では分かりません」


 「ああ! そうよね。本人が望んでいるんだから、何も問題ないわね。私が、お嫁に行くんじゃないからね」


 するとミラが「いいえ、王女様ーエミリアさんがお嫁に行かないと、困ることになるんですよー!」

 「えーー! 私なの! どうして? 本物の王女様が行くでしょうし、そうしないとおかしいでしょう?」


 ミリが「こら、ミラ! お前は口を滑らせ過ぎだー。あ! おいらも、いっけねー...」


 お互い少し沈黙のあと、ミリが「いえ...ねー、長老が言うにはー、周りの人達、特にリリアーヌに気遣っていたんです」


 私は「それって、この間の話...、私なら帝国にお嫁に行けるって言ってたよね。それなら政略を考えると、本物の王女様はユリウス様で、ウラで私をお嫁に行かせるなら理屈だけなら通ると思うの。だから変だと思うなーーー!! 何かを隠しているのね?」


 「あれ、ならユリウス様とリリアーヌじゃないの! その組み合わせだよね。それで、私は公然と帝国にお嫁に行くだな。私はまだお嫁に行きたくないけどネー! 政略結婚ならこっちが現実的じゃないのかなー」

 「え! でも、ダメネ。本物の王女様が浮いちゃうからね」


 ミリが「私から伝えるのは本当はダメなんですが、エミリアさんも大変混乱しちゃっていますから。ゆっくり心を整理するお積りでお聞き下さいね。本当はエミリアさんも薄々気付かれているなと思っていますけど」


 「先程いった、周りの人達、特にリリアーヌに気遣っているのは、あなたが天より降臨されたからです。この儀式で王女様が再び現れたものと思っちゃたんですね。本当の王女様は、...あなたが召喚される前日に、...残念ながら亡くなっているんですよ!!」


 私は目を閉じて、静かに聞いていた。が、変だなーと薄々気付いてはいたけれど、心から聞きたくなかった真実を聞いてしまったなーーー!! でも、私がここで騒いだって、何も変わらないじゃない! それにそんなことすれば、国の動乱が渦巻いて大きくなっているこの時に、周りの人達も混乱に巻込んでしまうかー! と思った。じゃあー! 前へ進もうと心を決めて、心を切り替えたよーー!!


 「そう! 私が再び現れた王女様だと思っていれば、リリアーヌや周りの人達の言動は、違和感がないわね。ミリが言った通り、違和感があったのは確かねー。だからかしら、薄々気付いていたんだわね」


 「それでも、私は今までその真実を誰からも聞いていないから、単純に本物の王女様の身代わりと思っていたのは確かよ」

 「だからね。ユリウスに『Yes』と答えたことも、非公式な口約束と思うことにしていたんだからね!!」

 「それに、周りの人達は悪気がないといったってさ、結局は私がお嫁に行くことになっているじゃない!!」


 「いやまあ...。その...おいら達に言ったってね。おいら達じゃあ...。微力過ぎて...」

 「あ! でもリリアーヌの他に、リザリアもいるでしょう。リザリアも事情を知っているハズだから、...」

 「何か別の、考えもあるかもしれませんよ」

 「それと、先程の王女様ーエミリアの思いも伝えてみるのも、どうでしょうか?」


 「ええ、そうね。ミリとミラ、ごめんね。気持ちが高ぶって、私の気持ちをぶつけてしまったの」

 「いいえ、おいらたちも口止めされていたことまで、話してしまったので、いいですよ」

 「王女様ーエミリアの心配事も聞きたいと、出てきたものですから、少しでも解消できただけでも、おいら達は嬉しいですよ」

 「ミリとミラ、ありがとうね。リザリアは私の師匠でもあるし、意外と知らない方法で、考えているような人だしね。タイミングをみて、私の気持ちをぶつけて、相談してみるよ」


 私は何かの時に、ニヤリと笑うリザリアを思い出した。確かに意外と知らない方法ね、または気付かない考えがありそうだと思った。


 そうのあと、私が一計を暖めていた案をミリとミラに相談して、ネズミさん達の長老達にも相談することにした。


 私はテイムしたハトさん達を呼んだ。すると直ぐにハトさん達が来た。そうして、手紙を王都のネズミさん達の長老宛てに配達を頼んだ「ハルトアとハルトルお願いね。気を付けて行ってね」と託した。ハトさんは、ハルトアとハルトルと名付けをしていた、メスとオスのハト。よろしくねー。


 さて、王女様ーエミリアは気持ちを抑えていたので、本当はオモイッキリ大きな声でわめきたいーーーー!! と思っていた。

そこで口にフットボール型のシールドを展開して、声が外に出ないように、インライン-サイレンサー属性を付与した。そして、オモイッキリわめいた!!! わーーーーーーっと!!! 胸のツッカエがとれろーーー!!! と思いながら。



◇◇シュトルト:あれからのユリウスとリリアーヌ


 ユリウスの後を追うようにして、王女様の部屋を出たリリアーヌはとても怒っていた。

「どうして、私が止めているのに、無理やり王女様の部屋まで行ったのよー!!」

「それだけじゃないわ、どうしてあの場で無理やり押し通すような、プロポーズまでして!! 『Yes』を言わせるようなことしたの!!」

「まてまて、まてってー、近々戦乱に発展しそうな時に、自分の婚約者からプロポーズをして、『Yes』をもらわないと、単純に内政干渉ってことになるだろう。国際問題になって、東と西エルムズ国から工作されてエルムズ国に立ち入れなくなるだろう!! だからそれを何度も説明して置いただろう!!」


 ユリウスも譲らない、と思っていた。が、いや違うこんな時こそ混乱させてはいけなんだ! リリアーヌの心の絡んだ糸を解きほぐすように糸口を見つけよう、と思った。そこで、「リリアーヌそんなに慌てずに、少し私の隠れ家で話をしよう。最近、会っても打ち合わせ的な話ばかりだったから、ゆっくり話も聞きたいし、私も話をしたかったからね」


 そうして、ユリウスとリリアーヌは、ユリウスの隠れ家に向かって少しゆっくりと歩いて行った。途中、変装した補佐官が来たので、ユリウスは簡単にOKもらっているよ! と会話を省略した。補佐官はリリアーヌを気遣って、後ほどと言って去っていった。


 隠れ家に着くとユリウスは侍女にお茶を入れるように頼んだ。ユリウスはリリアーヌとお茶をゆっくりと飲んだ。リリアーヌを見ると少し落ち着いた様子がみられた。

 そこで「王女エリーヌの影武者、アリシアだけど、昔はアル(王太子アルバート)やエリー(王女エリーヌ)、宰相のところのシルバー(シルバリオン)、ブロード(ブロードリオン)、リリー(リリアーヌ)と王妃様の親戚のアリシアだね、王城の庭園で、カクレンボーや鬼ごっこや追いかけっこ、よく遊んだねー」と幼い頃を振り返るようにした。


 リリアーヌが「幼い頃はみんな無邪気に遊んでいたわよね。アルがもっとシッカリとした大人になっていれば、こんな所でユリウスとイガミアウことはなかったわね。エリーと婚約した時に、国王が直ぐに公表していれば、シュトリアル国にユリウスと共に3人で一緒に行けたわよね。今頃は、ユリウスと王子妃のエリー、私とアリシアも共に笑っていたかしらねー」


 「アリシアは今、南地方で王女エリーヌの姿を見かけたとのウワサを流して、コゼットと西エルムズの連中をかく乱させているから」


 「でもねー、ユリウスにも言っておいたでしょう。あの王女様は聖女召喚で降臨したけど異世界の娘、エミリアなの。まー、私もそこは、王女様に相応しい風格になってきちゃって、この国をマトメルことができそうな力も持っていたから。私達のためにエリーがまた降臨して戻って来たように、わたし自身も錯覚しちゃってたりしたけどねー」ふうーとため息を出した。


 「ユリウスのことについては、私がもう少し段取りをして、もう少しだけでも自然に会見して、公表できる存在になって欲しかったの。そうすれば、あんな慌ただしいプロポーズにならなかったでしょう。もっとプロポーズに相応しいシーンや演出をして欲しかったの」

 「あれでは、私のセッカクの苦労が、全くなかったことになっちゃうでしょう。」


 「分かったよ。確かにオレも王女エリーヌの魅力と力のウワサを聞いていたし。なにより王都修道院で会った時や、この都市に馬車で到着して見かけた時は、オレもエリーが戻ってきたと錯覚してしまっていたよ。そして、何かに胸が突き動かされるように行動してしまっていた自分がいたーー!! リリー、ごめんね。オレが悪かったよー」


 「それは分かったからいいよ。それより、今になって気が付いたんだけど私って、ユリウスと一緒に部屋を出て行ったままになっているし。王女様も何か言いたそうな顔をしてたこともあって思わず追って来ちゃったのよーー!! キット周りからは逃亡したようにみえるわよねー。どーしよーー!! さっきから考えてはいたんだけど、もう簡単に戻れないわねー!!」


 ユリウスは「ゴメン!! リリー。オレが暴走したことで、セッカクの王女様との関係にヒビが入っちゃったねー。少し時間を掛けて考えながら、戻るタイミングを計るってのもいいと思うから。ここに暫くいてもいいよ。副侍女長エミアーヌに言伝して手配してもらってもいいんじゃないかな? そのくらいはしてくれるでしょ。たまには自分の時間を持っても、いいと思うから」


 やはり、幼い頃から仲良しだった王女様。ここ一カ月の付き合いの王女様ーエミリアとのオーバーラップしてしまった感情から、まるで王女様を裏切ってしまったかのような、ものが胸の内でくすぶっている。リリアーヌは、自分の心がまた乱れて来たことを感じた。


 涙がポロポロと頬を伝わり落ちてきていた。

それをみたユリウスはシマッタ!! と思った。ユリウスはリリアーヌをそっと抱きしめた。リリアーヌは、ユリウスに包まれながら、思いっきり泣いていた。


 ここはオレが何とか王女様に、トリナシテもらえるような方法を、考えるべきであると、深く決意を固めた。


2025/05/03 新エピソードに追加・更新しました。

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