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#15 ○シュトリアル王国第二王子ユリウスが動く(真っ直ぐな心)

王女エリーヌの婚約者ユリウスが動き出した!

え、ユリウス様は実力不足? って...。どうなるの? でもユリウス様の真っ直ぐな心にふれ...


◇◇領主邸の庭を開放した宴


 私はエルムレイラ湖のほとりにある、領主邸の庭を開放した、近所の人達も参加する宴に参加している。

 さすがに、私達や領主、都市の代表者達は邸宅の庭に面した大きなテラスに席があった。そこに設けてあるステージで、領主エルサルが開催の挨拶をしている。


 ここで宴ができるような作りになっている。庭には幾つもテーブルが設置されていて、イスはベンチタイプのものが周りに置かれていた。わりとネンキが入ったものを設置しているから、頻繁に開催されているようだった。領民は立食のパーティ形式になっているようだった。領主エルサルは頻繁に領民と触れ合いをもとうとする、良い領主なんだねー、と思った。


 さあ、領主エルサルから私の紹介があった。私は最近慣れてきたので、いつものように簡単な挨拶をして、ギルバートへ渡す積りだった。 が、私の挨拶のあと盛大な歓声と「王女様とユリウス様...」と称賛? の声と拍手が沸き起こった。ユリウスのお陰がほとんどだねー、と思った。


 私の侍女達も、庭でゆったりとしていた。別格は、私の横にいるリリアーヌとマリアだった。マリアが毒味したものを私は頂いている。明日朝は、遅めの出発だから、せめてゆったりと、してもらいたいな。


 ふっと思い出した。この国の動乱が収まったら、聖女様達もこんな旅が始まるんだねー。あれ、でも巡行するのは《緑の聖女》エリカだけかな? いや、あの二人は仲良しさんだから《光の聖女》ユミナも一緒になって行くだろうな、なんと言っても異世界・ファンタジーな風景を見たがっていたからね。まさか私が先に見ることになるとは思わなかった。あの聖女様達、どうしているかなー? イザベラの邪魔にはなっていないから大丈夫だよねー。


 翌朝、ゆったりとしているリリアーヌに話しかけた。シュトリアル国のユリウスはとても良くしてくれていて、この北地方の領民はユリウスと、とても良い関係を築いているね。こんな人とリリアーヌはとても親しくしてくれているしね。私から伝えるのも筋が違うかもしれないけれど、ありがとう。王都修道院でも頼んでますが。これからもリリアーヌにお相手をお願いします、と言った。


 あれ! 何か困ったような顔をしている? え、じゃあ、私は王女様の代理ですから公式な場ならば、私がお相手をしてみますから、横に付いてアドバイスをお願いね、と伝えた。



◇◇交易都市シュトルトにて


 シュトリアル王国の街道と北街道が交差する交易都市、シュトルトに到着した。


 お昼頃になっているので交易都市はとても、賑わっていた。


 お決まりの、領主、都市の代表者と会見をした。三年前にはまだ町だったが、今は都市と呼ばれる程の景観に発展している。これもシュトリアル国のユリウス様のお陰です。シュトリアル国の商人の数もかなり増えており、交易が盛んになっています。王女様とユリウス様の今後の更なるご活躍と共に、この都市の発展にも期待して下さい、と。


 何かどこかで聞いたような、ああそうだ、先日宿泊した都市エルムトでも同じことを言われたなー。ここでもユリウスかー、うんうん、本当の王女様とリリアーヌは幸せ者だねー! と。最近はこのパターンだね

 そして、今日はここに宿泊することになった。更にやはり、晩餐会が開催される運びとなった。


 私が部屋にいると私の使い魔ネズミさんのミリとミラが話しかけてきた。どうしたの、私の居場所が良く分かったね。うんうんそうか、なるほどね、ゆっくり旅をしているから追い付いてきたのね。


 ミリとミラの話では、ここにシュトリアル国のユリウスが何日も前から待機していたと。え、もう情報を集めてきたの? 早いね。それで、うん、今の王都はイザベラに支配されているから、国王がいつ何をされるか分からない。それで、王女様に直接会って話をする決意をユリウスはしているようだと。


 えっ、リリアーヌじゃないの? ああ、前に聞いていたね、私の婚約者だったねー。ええ、私の態度が塩っぽいって。う~ん、まさか英雄になってユリウスごときの実力じゃあ力不足だと思っていないか? って。そんなことはないからね。え、今の王女様ならこの大陸一の帝国にも嫁げるって。そんな大それた考えはしないよ。うん、情報をありがとう、またよろしくね。ミリとミラに甘い焼き菓子を持たせた。



◇◇ユリウス様の決意(真っ直ぐな心)


 私は、侍女達と休憩していると、リリアーヌが訪ねて来た人がいるからお会いしましょうと薦めてきた。

 私はこの時に何か違和感を感じた。あれ? 領主と都市の代表者とは会見したよね。そして、私は個別に伺われた方はどのような方ですの? 王女に個別に会見が必要な方でしょう。例えばガラーム将軍みたいな方でしょうか?


 あれ? リリアーヌは困っているみたいな。でも私もかんが働いた。ねえリリアーヌ、変装した方は私の安全のためにお断りしますよ。あなたが、お相手をしなさい。リザリアとマリアを付けましょうか?

 この言葉で、リザリアと戦闘メイドのマリアは構えた。が、みんなはリリアーヌの表情をみて気づいたようだった。みんなも急に会うことを薦め出した。


 ええっと、ではこの部屋のメンバーでは公式な会見にはならないから、何か約束しても単なる口約束にしかならないわねー、と。


 そして、会うことになった。ところが、リリアーヌはその人と会う前に私に相談があると囁く。

 私はお会いしますから、問題になるようならアドバイスをお願いしますから、それでいいでしょう。みんなの薦めもあり、取りあえず会うことになった。


 リリアーヌが、案内してきた人は、やはり変装していた。でも、私は直観で、シュトリアル王国第二王子ユリウスだと思った。


 そこで私は、ネズミさん達から聞いていた情報を、思い出した。


◇◇◇◇◇◇◇ 


 第一王女エリーヌは、三年前に前王妃の親戚、シュトリアル国第二王子ユリウスと婚約が内定していた。 現国王が、臥せっているため、公表は保留しているが。この時点では、ユリウス様は、王女を王子妃として直ぐにでも、自国に連れて行く予定だったみたいと聞いたな。


 そして私の頭のイメージから、確かその時に、別の意味で、リリアーヌも一緒に行くことになっていたような? その後に国王は、病に臥せるようになって、公表は保留になっていたハズ。


 そうだね。王都修道院でユリウスは私に会いに来たよね。その時に、リリアーヌは、私を差し置いていて、ユリウスと親しそうに話をしていたからね。


 うん、これは遠隔盗聴で、確かに聞いたよ。


◇◇◇◇◇◇◇ 


 ユリウス様は、先日の王都修道院で見掛けた時のように、嬉しそうな顔をして、私に近付いてきた。


 そして、私に親しそうに話掛けてきた、「エリー、久しぶりだね。王都修道院では、話をすることも出来なかったね。ここで会えて、とても嬉しいよ」と再会の挨拶をした。


 この時にリザリアやリリアーヌ、侍女達も立ち上がり脇に移動した。私は何が始まるのかは予感がした。

 ユリウス様はこの国の状況を伝えてくれた。今、王都はイザベラに支配されたようなもの。また、南地方と北地方を分けるエルモ川を挟んで、王弟殿下・王太子殿下の軍とガラーム将軍率いる軍が対峙してしまっています。しかも南地方は王弟殿下の直轄領の領都はコゼットの支配、王都はイザベラに支配されている状況です。


 私は、ここまで動乱が進んだことを知らなかった。「このままではこの国はどうなるんだろうか?」と言ってしまった。


 ユリウスは即答した、「最悪は、この国の南地方は、諦めざるをえないでしょうが」と。

 しかし、「この国の北地方は、東エルムズの北隣の盟友国東シュトリアルと連携して、必ず守ります」と私に真っ直ぐに顔を向けたまま、強い意志を込めて言ってくれていた。


 ユリウスは、まるでこの国の、私のナイトになる決意を感じていた。それによく見ると確かにこの国の王太子アルベルトは線が細すぎる。南地方も王弟殿下や王太子殿下じゃあコゼットに盗られるのは確実に思えた。それに対してユリウスはかなりの美丈夫だと、眺めていた。


 私は、自分のできることを王都や北地方の領民のために、進めていくしかないと考え込んでいる。


 すると、ユリウスは膝を折り、

「必ず、あなたを支持する北地方と領民を守り、王都は開放し、あなたを守ります」

「私も、あなたと統治をする覚悟はできています」

「私と一緒に、生涯を歩みましょう」


 私は、考え込んでいたため、その状況を眺めてしまっていた。あ、いけない少し間が空いてしまった。


 私はその間にリリアーヌと目があった。リリアーヌは、一瞬、シマッタ! との表情をした、私は、これを見逃さなかった。こんな状況で、まさかのプロポーズとは、リリアーヌ知っていたなら伝えておいてよ。これは、あとで問詰めてやる! 待ってなさいね。


 ユリウス様は、一瞬ハットして、少し考え込んでいた。


 突然、ユリウス様が改まって「王女エリーヌ、あなたが、西方諸国一番の賢者を倒した、英雄であるとの話を聞いています」


 そして、「このことは、あなたの国の一番最強な、ガラーム将軍より伝えてもらっています。しかも、私はガラーム将軍とも連携して、進めることができるようにしています。あなたは三年前と違うことは分かっています、今の私では、力不足ではありますが、まだまだ伸び代はあるつもりです。私の将来性に、是非ご期待頂いて、生涯を一緒に、歩んで頂きたい。とまで真っ直ぐな目をして、言われてしまっていた。


 そして、私はチート様のトレースを必死で抑えているが、ユリウス様の真っ直ぐな心に、自分の心が揺り動かされていることに気付いた。


「はい、分かりました。伴侶というものはお互いに相手を思い相って、また補い相ってこその存在と思っていますです。あなたを生涯に渡って支える伴侶となりましょう、と言っていた。

 私は、ここで自分の心が動かされるとは、思っていなかった。


ユリウスは、感激しながら、「エリー、私に期待をしてくれて、感謝する。ただ今は、まだ表立って動くことは、今は出来ませんが。東エルムズ国境に動きが出てきた頃に、必ず迎えに来ます。まだ準備がありますので、急いで戻ります。そう言い残して、ユリウスは、扉ヘ向かって行った。


 私は、リリアーヌに問い詰めないと、と思っていたが。あれ! リリアーヌも、ユリウスに伴って並んで出て行った? あれ、リリアーヌ、逃亡したか? もう、許せないね!


 そのまま、リリアーヌは帰ってこなかった。


 翌日の朝に、私の副侍女長エミアーヌが、リリアーヌは急用で、直接自分の領地へ向かうと伝えてきた。それじゃあ、このまま私は放置するのか?


 仕方がないので、そのまま王弟殿下の直轄領へ向けて出発することにした。


 でも私には分かるの。私の探知がリリアーヌの気配はまだシュトルトにあるね。私には、密かに一計を温めて、準備しているものもあるからね。


2025/05/02 ストーリ展開を見直し、更新しました。

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