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#13 ○エルムズ国動乱の序章 (王妃イザベラの攻勢、私幽閉!私の新しい味方)

遂に、現王妃イザベラの逆襲が始まった。


王弟殿下と王太子殿下は、...。王女様は幽閉...?


◇◇連続する奇妙な事件の発生


 あの衝撃的な話をキャッチした翌日から、

次々と、奇妙な事件が発生している。



 エルムズ国南地方にある街道(南街道)、しかも

王太子殿下の直轄領内の街道で事件が発生した。


 東エルムズ国の公爵様の身内が乗る馬車と護衛の騎士達が、何者かに襲われた。

そして、公爵様の身内が亡くなり、護衛の騎士達が全滅した。

このウワサが王都、王城内で流れた。


 この流れであれば、最近競技場で発生した事件が連想させ、

西エルムズ国関連の疑いが強くなるところである。


 ところがこの事件の少し前に、王太子殿下の直轄領では、

イザベラの自称正妃の名乗りを、止めさせろ!

との抗議の声が挙がっていた。


 王都に、このウワサが流れていたので、放置することが出来ない。

エルムズ国南地方の王太子殿下直轄領で、暴動が発生する

との連想を恐れている。


 王太子殿下直轄領で、暴動のウワサだけで、

東エルムズ国や西エルムズ国からの、干渉を受けることになるからだ!


 最近、東エルムズ国や西エルムズ国が談合しているとのウワサや

情報が出ていたこともある。


 ウワサの事実関係を確認して、迅速に火消を行う必要があった。

そのため既に、王太子殿下は直轄領へ向けて、出発していた。



 その翌日の朝には、王女エリーヌの部屋の前で、

現王妃イザベラの騎士と離宮の騎士数名が切り結び、

イザベラの騎士が死亡する事件が発生していた。


 王女エリーヌの部屋の前で、突然、イザベラの騎士が剣を抜いて

飛び込もうとしていたことで、これを阻止するため戦闘になった

との騎士達の報告を受けていた。


 そこで戦闘メイド、マリアからの報告に注目が集まった。

なぜか離宮の門を守る衛兵達がイザベラの騎士を通過させていた。

マリアはそれに気づいたが、先頭に立って走る魔導師に注意をしていた。


 後で、離宮の門を守る衛兵達に聞くと、急に濃い霧に包まれたようになり

何者かが、続けて走り抜けていく気配だけは感じたそうだ。


 ところが、離宮の内部まで容易に入り込まれてしまった。

どうやら、イザベラの騎士数名は、まるで心理操作を受けているようだった。


 マリアは、イザベラが何か企んでいて、イザベラの魔導師や

騎士を阻止するため、傷つけることになった場合に、

それが目的にされていることに恐れを感じていた。


 しかし、王女エリーヌの部屋の前まで来てしまっていたので、

先頭の魔導師と戦いになったそうだ。


 この魔導師は、攻撃魔法が得意とは思えなかったが、後ろに続く騎士達が

剣を抜いてしまったのだ。

この魔導師が先導していることは間違いなかった。


 王女エリーヌの部屋に飛び込ませることを避けるため、倒してしまった。

この魔導師は、隠蔽魔法で姿を故意に消していたので、倒れたあとに

姿が現れた。


 しかし、その直後に体から炎が吹き出して、体が液体化して

骨格だけが残った。


 憶測おくそくになるが、まるで先頭の魔導士は既に遺体になっていて

他の魔導師ネクロマンサに操られていたかのようだった。


 そして、その時にはイザベラの騎士数名は、離宮の護衛騎士と戦いになり

容易にイザベラの騎士数名を倒してしまっていた。



 東エルムズ王国から正式に公爵様の身内の者とその護衛騎士達が、

全滅した事件について、即時の原因究明と釈明を要求してきた。

また、現王妃イザベラからも同じように、要求してきた。


 更に、現王妃イザベラからは、暴漢を追いかけて行った自分の騎士達が、

王女エリーヌの部屋の前で、殺害されたことへの釈明をも要求してきた。


 王弟殿下は、現王妃イザベラの騎士の件は、

護衛騎士達の報告と王女様の戦闘メイド、マリアからの報告で知っていた。


 暴漢を追跡と言っても、ワザワザ離宮の内部にまで侵入して、更に

王女エリーヌの部屋に抜剣して飛び込むまで、現王妃イザベラは

指示を出したか問詰めたいところでは、あった。


 しかし、現王妃イザベラに、そこまでの指示はしていないつもり

と返されたら、そこから先には進めない。


 つまり、王弟殿下は、現王妃イザベラの騎士の件は、

罠にはめられたことを自覚したようだ。


 リリアーヌから王弟殿下が、私を王弟殿下の直轄領で塔に幽閉にして

現王妃イザベラの直撃を避ける方針と伝えられた。

「え! 私は幽閉されるの?」

「たぶん、そんな考方をする人は、悪目立ちした私を邪魔だと思っているわ」

「私が邪魔になったら、殺処分かしらね?」顔に感情が出ていることは分かっている。

「いいえ、決してそんなことはさせません。ご安心ください」

と答えてリリアーヌは宰相閣下の顔が思い浮かんだ。


 そうだ、宰相閣下に相談して、直談判してみようと決意を固めた。



※東エルムズ王国(兄)はエルムズ王国(弟)の兄弟関係にある。

 王弟殿下・ 王太子殿下もその関係から配慮をしている?

配慮しすぎだよ! とリリアーヌやリザリアなら本心は言いかねないところだ!


 王弟殿下は現王妃イザベラへ、東エルムズ王国からの要求を、

優先するべき事案だと説明した。

 そのため、先に王太子の直轄領へ向かうべきことを説明した。


 王女エリーヌとその騎士の事案については、暴漢の追跡であったことは

聞いたが、現王妃イザベラは王女エリーヌの部屋までの侵入を許可して

いないことはお互い確認できた。


 ここも、リリアーヌやリザリアなら本心は

「お前が王女様の命を狙っていない証明をしろ」と言いかねないところだ!


 王女エリーヌを王弟直轄領で一旦、塔に幽閉することとした。

そして後日、王弟殿下が戻り次第にしっかりと調査を行うことを約束した。


 そして、王弟殿下は王太子殿下の直轄領へ急行した。



◇◇王弟直轄領で幽閉?


 王弟殿下と宰相、リリアーヌが現王妃イザベラとの確約事項を聴いていた。


 そこでは王弟殿下が

「そもそもお前達が、拾ってきた娘に大変な迷惑をしている、どうするんだ!」

「我は、王太子殿下の直轄領へ向かう、これ以上迷惑をかけるな!」

「必ず我の直轄領に幽閉しろ! 決して閉じこめて、外には出すな!」

「我の命令で、いつでも殺処分できるよう、我の息子キルバートに先導させる!」

と怒鳴りつけられた。


 宰相とリリアーヌはついに、切れてしまった。

「王弟殿下へ、私からも発言させて頂きます!」

とリリアーヌが始めた。


「王弟殿下、あの《異世界聖女召喚祝い》の出席者のことで言わせて頂きます」

「あの場にイザベラ自称現王妃を呼んでおられたのでしょうか?」

「我はアル(アルベルト王太子殿下)へ呼んだ方がいいと言ったんだ!」

「ではあの場にイザベラ自称現王妃を呼んでなかったのですね」


「まあ、結局呼ばなかった」

「では、イザベラ自称現王妃の反撃は予想出来ていましたね!」

「うう、まあ、予想はしていたんだ」

「では、対策ぐらいは手配をしてましたよね」

「それを、今ここで、私に見せて下さい」

ここまでは、さすがリリアーヌ、まだ丁寧な対応をしていた。


「いや、我もアルへ対策と手配くらいは...」

「では、何もなさらなかった! ですね」

「それでは、ヤラレッパナシですか!」

王弟殿下はしぼんでいく、風船を見るような姿に変わっていく。


「いいですか、アルは一体誰に命を救ってもらったのでしょうか?」

「我も突然だったし、リザリアもいただろう」

「王弟殿下、あなたが『拾ってきた娘』と呼んだ人にですよ!」

「アルは命を助けられたじゃないですか!」

「しかも、誰も反撃しないから『拾ってきた娘』が反撃したんですよ!」

「しかも、犯人を全員捕縛までしてもらっているでしょ!」

ついに、リリアーヌは抑えが効かなくなってきた。


「どこの、だれが、あの『拾ってきた娘』に文句が言えるのですか!」

「あの後の『拾ってきた娘』とリザリアへの歓迎を宰相がお伝えしたでしょ」

「王都民を敵にするお積りですか!」

「いや、まあそうだね...」


「いいえ、この際だからまだ、言わせて頂きます」

「私は宰相から聞きましたが、あの競技場での事件のリーダはご存じですよね」

「...」


「西側諸国一番の賢者だった、そうですね。私は何も聞いてないですよ」

「それと、そのリーダは、黒髪・黒目だそうですね」

「その方って、召喚されたのでしょうか?」

「しかも、他の犯人は西エルムズ国の盗賊ギルド員なんでしょう」


「宰相間違いないですよね」

「うむ、相違ない」


「本来であれば、それだけの功績を最大限に表彰するでしょう」

「それで王弟殿下や王太子殿下自身の立場が高揚できたんですよね」

「それなのに、その機会まで、みすみす逃すなんて、どうなんでしょうか!」


「何か西エルムズ国に、後ろめたいことでもあるのでしょうか?」

「...」


「では王都民のことを考慮して、公には『幽閉』ですが」

「王女様の安全上を考慮した『退避』でよろしいでしょうか?」

「ああ、そうしてくれ...」

「では、『退避』ですから、『拾ってきた娘』は安全確保だけでいいですね」

「ああ...」

「ギルバートへも、必ずそう伝えて下さいね!」

「ああ、わかっている...」

「いいですか、王弟直轄領は北地方です。振る舞いひとつで北地方に流れますよ」

「うん、わかっているから...」

「宰相もお聞きになられましたわね?」

「うん、大丈夫だ」



 あれ? リリアーヌは重要なことに気づいた。

「王弟殿下、大切なことに気付きました」

「なんだ、まだ何かあるのか?」


「王弟殿下と王太子殿下は、王太子殿下の直轄領へ行きますね」

「ああ、そうだ」

「王女様も幽閉のため、都落ちします」

「この王都を、空っぽにしていいのですか?」

「仕方なかろう!」


「王都に残るのは宰相だけですよ」

「宰相は、自称現王妃イザベラに真っ向から反対できますか?」

「いや、少々役不足になるかな?」

「言わせて頂ければ、この王都はイザベラに支配されますよ!」

「王弟殿下、何とかならんかな?」


「我も、タヤスク王都をあの女狐に渡せないな!」

「リリアーヌに頼みたい、この王都を守るためだ」

「良いか、ガラーム将軍と宰相なら何とかなりそうだ」

「え、私がガラーム将軍へ依頼するのですか?」

「ああ、そうだ」

「うむ、それは良い考えじゃ」


「待ってください、王弟殿下からご依頼されれば良いと思います」

「うーん、あ奴は国王に忠誠を誓っているから、簡単に我には従わない」

「え、それじゃあ、無理じゃないですか!」

「そこを工夫して、何とかするのが、臣下じゃないかね」

「うむ、そうじゃな」

えー、無理過ぎるとリリアーヌは思った。


宰相とリリアーヌは、『幽閉』から『退避』に変えてしまった。

但し、リリアーヌは超無理難題を抱えさせられてしまった。

一体どうしたら良いの!! わからない!!



 宰相とリリアーヌは、王女様へ要件だけを伝えることにした。

 王弟殿下から、王女エリーヌは王弟直轄領(王都の東にある)へギルバートと

共に退避せよと指示が出た(安全確保の目的で幽閉?)。

 第一王女の侍女たちは危機回避のため領地へ帰郷することになった。


 侍女達は急いで、支度のため、バタバタしていた。


 私は、ネズミさん達に、王弟直轄領へ移動する事情を説明した。

ネズミさん達は、東と西エルムズ国が、

何かを企てて連携して動いている情報を伝えてきた。


 また、東と西とこの国の盗賊ギルド(裏に潜んでいる)が、

王女エリーヌの捕獲を企んでいることも、伝えてきた。


 私は、この国の北地方を切り取るための傀儡とされるか、

シュトリアル王国へ交渉のための人質が狙いだと思った(東エルムズだね)。


 ネズミさん達は、エリーヌについて行くチームと王都で活動する、

チームを提案してきた。


 また、王都と王弟直轄領を連絡できるように、

昼はハト、夜間は夜目がきく、フクロウのテイムを依頼された。


 そして、私についてくるのは中堅のネズミさん達、ミリとミラだった。

ミリとミラは、王弟直轄領で連絡網を作ってくれることになった。

また、馬車の渡りも慣れているから、現地で合流することになった。


 私はその日の散歩が侍女マリアだけなので、ハトと戯れながらテイムした。

意外と戦闘メイドのマリアはハトと一緒に戯れてくれた。


 マリアは、今日は離宮の最上階5階のテラスへ行かれますかと聞く。

そうね、明日は王弟殿下の直轄領へ向かうからね。

すると、マリアはあそこの夕暮れ時から黄昏れ時の風景がとても綺麗ですね。


 「え、マリアは、夕暮れ時、黄昏れ時って日本語よ、知ってるの?」

「はい、日本語は分かりますよ」

「どうして分かるの?」

「王女様だけの秘密にして下さいね。私は生まれる前の記憶があるんです」

「いまの王女様は、日本から来られたのは知っていましたしね」

「ええ! そうなの。分かりました。2人だけの秘密にしましょう」と言った。

私は、マリアと2人で散歩する時に私に懐いていた理由が分かった。



◇◇王女の新たな味方


 明日は出発だから、この日は離宮の最上階5階のテラスから、

いつものように、手を振った。


 その時、物見の塔の上で片膝をついている武人が見えた。

私はそれが、頭のイメージから、ガラーム将軍だと、分かった。

私は頭のイメージもあり、これって重要なことだと私はかんが働いた。


 私はそこで、暫く視線を停めて思いっきり微笑んだ。

そして、いつもより強く、大きく、早いスピードで、手を振った。

ガラーム将軍も、それを感じてくれていたようだった。


 リリアーヌへ、その話を伝えると、とっても嬉しそうな顔になり

「ガラーム将軍は、この国で最強の将軍です」

「しかも、とっても気難しい方なんですよ」

「それは、間違いなく、王女様への忠誠を誓われています」と。

「そして、僚友の将軍たちも、4強と言われていますよ」

「ああ~、王女様!」


 「ガラーム将軍は、あなたにとって最大の味方となってくれますよ」と、

思いっきり、私に抱きつき応えてくれた。


 エミリアがその本当の意味を理解できるのは、まだ先のことになる。


 リリアーヌは、超難題が解決できたので、心の底から喜んだ。

この方は、本当に不思議な人ね。まるで本物の王女様みたいだ。


夜、一人になり今日を振り返っていると、思い出した。

 そうだ、私は夕暮れ時のテラスでフクロウが私に向かって飛んできたんだ。

とても人懐こい、と感じてテイムしてみた。

フクロウは、私の髪飾りを欲しがった。

髪飾りをあげると、とても嬉しそうにしてくれた。


良かった、これで王都と連絡が取れるようになる。

後々、私を助けてくれるだろうと思った。


2025/04/30 追加・更新しました。

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