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#10 ○《異世界聖女召喚祝い》帰路と幸運な授かり物の振返り


◇◇離宮への帰路


 私は帰りの馬車に、リザリアと戦闘メイドのマリア、横にはリリアーヌがいた。

リリアーヌが最初に口を開いた、

「王弟殿下と王太子殿下は、一体誰に命を救われたの?」

「犯人の捕縛はできたから、あとは我々に任せろ!」

「邪魔になるから、皆は先に王城へ戻れって!」

「どういうことなのかな!」と憤っていた。


 リザリアが、

「犯人達の腕にヘビの紋章が刻まれていた」

「あれは、西エルムズの盗賊ギルドのマークね」と言った。


 リリアーヌは、

「西エルムズなら、王太子妃コゼットの出身国じゃない」

「王弟殿下がいるから、王太子が暗殺されても、すぐにこの国は盗られないけど」

「この国の南地方は、大丈夫なのか心配するわ」

「王城に帰ったら、すぐに調査しましょう」

「王弟殿下と王太子殿下は、何か隠していそうね」

とみんなで言い合っていた。


 そこで、私は「何をすればいいの」と聞いた。

リリアーヌは姿勢を正して、

「王女様、失礼しました。あまりにも抑えられなかったものですから」

「私共に、お任せ下さい」

「ところで、あの魔法はいつ覚えられたのですか」と質問された。


 そこをリザリアが勝ち誇ったような顔で

「それは、私の弟子だからね」

「私との連携した魔法は、見事だったでしょう」

「それにリリアーヌに相談したでしょ、マリアも私の弟子なのよ」


 あれ? リリアーヌは、まだ私を見ている。

矛先がこちらに向いたまま? と思った。

「あの魔法は、王女が使う魔法の中でも有名なものでしょう」。

「魔法便覧にも載っているし、練習をしていましたよ」とトボケた。

 リフレクションの付与エンチャントは、載っていたかな? と思った。


 リリアーヌは私の耳元で、

「あなたは、期待以上の、王女様になってくださって、とても嬉しいです」

とささやいていた。


 そのあと、リザリアは思いっきり

「王弟殿下と王太子殿下は、《異世界聖女召喚祝い》で、逆転して

この国の主である立場を一挙に示そうとしたのに、完全に裏目になったね」

と発言してしまった。



◇◇幸運な授かり物の振返り


 そう、あの時、私は王太子殿下へ駆け寄った。

ケガはないようだが、言葉を失いガックリと膝をついている。

私が何度も声をかけたのに、何も返ってこなかった。

聖女様達にもケガはないようだった。


 だが、聖女様達は、私にすがりつき、思いっきり泣いていた。

ああ、またこのパターンなのね。こんな状態で、召喚されたんだわ。


 そこでリリアーヌが仕方なく、王弟殿下へ声をかけた、

「式典は中止ですよね」

「王女様が観客へ指示を出しますか」と。


 王弟殿下も、呆然としていたが、苦々しく

「ああ、そうしてくれ」とだけ、絞り出すようにやっと答えた。


 私は、その指示で刷り込まれたイメージが出てきた。

私は、王太子殿下と聖女様達に側近の人達が集ってきたのを確認した。


 私は、ステージ中央に立って胸を張り姿勢を正すと、

ワーと観客の歓声と拍手が起こった。

そして、歓声の中には「王女様...」と色々な称賛のような声も聞かれた。

 しばらくしてから、私が手を上げて静止を促すと、急に静かになった。


 私は、風魔法で声を拡散させ、競技場に響きわたるようにしながら、

「皆さ~ん、ご無事でしょうか?」

 すると、すぐに、「大丈夫です...」などの歓声が返ってきた。


「ご覧の通り、事件が起こりましたが、無事に犯人を捕縛しました」

「本日は、皆さんにも被害が及ばないように、これにて式典は終了とします」

「皆さんが、無事故でご帰宅されることを、希望します」

「急がずに、担当の誘導のもとに、ご退場下さい」と締めた。


 すると、ワーと観客の歓声と拍手がまた起こって、いつまでも続いていた。


 これって、王弟殿下と王太子殿下が、時間を掛けて、聖女まで召喚して、

最も欲しがっていた、逆転劇の成果なのにね。


 最後に、逆転劇の成果が、私に転がり込んできてしまった!

私は思いっきり、あの2人にとって悪目立ちをしてしまった!

しかし、このことは取り消すことが、もうできないと思った。


 私は、それを静かに回想していた。



 そこで、リリアーヌが、

「王弟殿下と王太子は、本日の式典にイザベラを呼んでいなかったようですね」

「全てが逆転されて、立場が絶対的に優位に立つと思っていたんでしょうね」

「王都で流れていたウワサみたいに、また迂闊をされたようね」

「何度つまづいても、同じことを繰返して、信頼はもうないわね」と、

リザリアの発言を肯定していた。


 そして、リザリアが更に

「神殿と教会側は、白のオープン型馬車しか用意していなかったしね」

「聖女様達は、あの事件のあと、怯えていて、王女様がナダメテいたね」

「王女様が、水色のシールドを展開したら、キラキラしてキレイとか言ってね」

「それで、やっと聖女様達は、王女様の馬車に乗ったからね」


「結局、王女様と私が、白のオープン型馬車に乗るしかないよね」

「神殿までの道のりが、まるで王女様と私の凱旋パレードみたいね」

「沿道にいた人達も、王国の旗や手を振ってくれるしね」

「私も王女様と一緒になって、手を振っていたわ」

「私パレードで手を振る側になったの初めてよ」

「気持ちいいね!」


 すると、リリアーヌも、

「神殿に到着すると、凄い人だかりだったね」

「王女様達への歓声が、より一層大きかったね」


 リザリアが

「神殿騎士達が、王女様の馬車から聖女様達が降りるためのスペースを

確保するのに、苦労してたね」

「でも、《緑の聖女》様が降りたら、観衆の声援が鳴り響いていたし」

「あと、《光の聖女》様が降りたら、また観衆の声援が鳴り響いていたね」

「異世界の聖女様達が神殿に入るまで、観衆の声援が続いていたしね」


 それでと、リリアーヌが続けて

「異世界の聖女様達の披露自体は、何とかできたんだよね」

「その後、王女様が白のオープン型馬車から降りるため立ち上がったら」

「なんか、割れて、うねるような、観衆の声援が、すごかった」

「私は、今まで、あんな声援を聞いたことがなかった」

「あれは、私も初めて経験した!」


 みんなが、今日の式典で王女様への声援の余韻よいんに浸っていた。


 すると、リザリアが、

「今まで以上に、王女様への支持が増えたのは間違いないでしょう」と言うと。

 皆も一斉に、

「うん、間違いない」と言っていた。

 私にとっては、チート様の活躍で、更なる墓穴を掘ることになった、と感じた。

早く、本当の王女様が戻って来ないかなっと思った



 ここでリリアーヌが、鋭い目つきになって、

「間違いなく、自称現王妃イザベラが動き出すでしょうね」

「イザベラに連携して東エルムズ国が動くでしょうし」

「今回の事件で、西エルムズ国も動くでしょう」

「王女様、皆さん達も、他にも色々と動き始めますよ!」

「みんなの力で王女様を守ってゆきましょう」と締めくくった


2025/04/27 13:00頃  改訂しました。


二章 エルムズ王国動乱へ続きます。

エミリアには、衝撃的な情報が...、王女様は...。

近日公開予定

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