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小男と、更にちっさな神様の話。

作者: のんちゃ

時は江戸。小男が出会ったのは…?


今回は、ちょっと神話ネタも交えて。

一応、時は江戸。…半ば、くらいであろうか。



ある、小柄な男が。草むらを、ぶらぶらとひとりで歩いていた。



取り立てて、取り柄もない。つまんねぇな、何か、いい事のひとつやふたつ、落ちてねぇかな。そんなことを、考えていたのだが。







「お〜〜〜〜〜〜ぉいっ!!!」

甲高い、男の声が、何処からか聞こえてきた。



「…んん?……気のせい、か?」

何かの聞き間違いかと思い。男は、一度止めた歩みを、また始めようと思ったのだが。




「ぅぉおおおおぉぉぉぃ!!こっちだよ〜〜ぉおお!」

…気のせい、で済ますには。小さい声ながら、あまりにも、声がよく通る。



声のする方へ、近づいてみる。がさがさと草原を掻き分けると。


人の腰ほどはあろうかという、大きな、岩、というか、石。

ただ。その石が、特段、珍しかった訳ではない。

その上、居たのは。……小さな、人。



小男の、小指よりも、まだ小さいかもしれない。小さな小さな男が居たのだ。すぐに、小男に声をかけてきた。



「おお!やっと、大きな人が見つけてくれた!

よーう見つけられたーーーっ!!」



先ほどの声は、この、小人みたいなやつ、だったようだ。



「なんだあ?…やけに、ちいっさなちいっさな、小人じゃねえかぁ」




「小人とは失敬な!!私は、古代よりこの国に降り立ち、神々と共にこの国を造った、天つ神。スクナビコナノミコトであるぞぉっ!!」


どーんと両手を腰に当て、胸を張る、小人。



「……はあ?!少ない火粉のことぉ?」

聞き取れずに、適当に言う、小男。



「スクナビコナ!!!わたし、カミサマ!!!!」

自分を指差しながら、名を強く繰り返す、小人。…いや、神様。

どうやら、小人ではなく。小さい神様を見つけたようだ。



「カミサマねぇ…」

不承不承、神様、と認めることにしたものの。不信感はまだ拭えないまま、つぶやくと。 



「そうですよぉ〜〜〜〜う!古代から祀られる、神様ですよ〜〜〜う!」

小さいのに、やたらハイトーンな神様が。突如、歌い出した。




♪スクナビコナは〜〜 小さき、神〜

オオクニヌシ様と、力を合わせ、えい〜こらしょ〜

この国の〜

国土を!山を!丘を!湖を!作り出した〜!

有り難〜〜〜い 神なのだ〜




ノリノリで歌うスクナビコナに対して。

小男は、座り込み、小さい神様の立つ石に、肩肘をついて。めんどくさそうに、していた。


「へえ〜〜〜」



「かーーっ!また、つまらなそうに聞いて!

…そもそも。最近はスクナヒコナを皆、忘れてしまって

寂し〜い、かぎりっ!!」



頼まれても居ないのに。また、どんどんと語りだす。




「いにしえには、オオクニヌシの国づくりを助け!

医術に秀で!

あるコロポックルの一族なんか、先祖と敬うくらいなのだぞ!!」


どやあっと言ったスクナビコナに対して。



「……そう言われましても、その大きさじゃ」



「かーっ!!嘆かわしいっ!

小さくたって!げんげんげんき!!

やるときゃやりますぞ〜〜ぉ!!」



「てか、なんで。

小さいのに、そんな、声だけでかいんだよ!」



「寧ろ、小さいからこそ!!

大きな声で、目立たないと!

気づいて!もらえないんですよお!!!」



ふんす!と憤る、スクナビコナ。



「まあったく、生まれてこの方、

親神の手の、指の間から、ころ〜〜んと落ちて。

しょうがないから、カガイモで舟作って、人のいる所まで行って。

オオクニヌシちゃんに、出会って!僕たち仲良し!まるで兄弟!って意気投合して。

や〜っと、国造りが、ぼちぼちいい感じに出来た、と思ったら。

粟の茎に乗るでしょ、ちっちゃいから、たわんで、びよ〜んって、弾かれるでしょ?

あ〜〜れ〜〜〜っ!って叫びながら、とーくに、飛ばされて!

その後も、そんな感じで、あっちこっち行ったり来たり!

もう!大変!だったんだから!!!

今度も、大きなあんたに見つかるまで。

ずっと、ずーっと、誰にも逢えずに、しょぼおんとしてて……よよよよ……」



しょぼおんとしてる割に、よく回る口。



「あんたのような、背の高い、大男に出逢えて。ようやく、ほっとしたよ、よよよ……」




男は、小柄だ。背も低い。

大きい体、背の高い、と言われ続けるのも、悪い気はしなかった。




「……しょぉがねえなあ。ほらほら、あんた、こっちきな、」

「神様に向かってな〜んだ!あんたとはぁっ!」

「はーいはい、かーみーさーま!」

「全くもうっ!神様への、敬意が、足りないっ!」



この、小うるさい神様を肩に乗せ。



ひとりと、小さなひと柱、が連れ立って歩き出した。





「あーあー。旨い酒でも、偶には飲みてぇなあー」

「なんですと!じゃあ、探しましょうか、いい酒のある所!」

「え?わかんの?」

「これでも、造酒の神ですよーお?」

「やった、やりい!」

3ヶ月目も、無事、投稿できました。ほっ。


読んでいただき、ありがとうございます!

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