Quiet talk 放置した獲物の跡地
※番外編です
以前、猿たちを撃退した場所の話です
それは、リュディアたちが“フォレストモンキー”との戦闘を終え、倒した魔物の一部を持ち帰った後の出来事だった。
大量の樹木が倒れた音に驚き、周囲にいた魔獣たちは一斉に逃げ去っていった。
だが、その場に残された「動かぬ獲物」に引き寄せられるようにして、数匹の魔獣が近づき、むさぼるように喰らいついた。
それは――ゴブリンたちである。
数は、ざっと四十。
飢えた彼らは、まるで獣のように、血肉に牙を立てていた。
だが、彼らの喰らう音は、別の魔獣たちを呼び寄せる。
十メートル四方にわたって伐採された跡地へ、次々と魔獣が姿を現し始めた。
やってきたのは、“フォレストドッグ”や“フォレストウルフ”の群れ、さらには“フォレストベアー”といった肉食の魔獣たちである。
彼らは、血と肉の匂いに敏感だった。
そして次の瞬間、魔獣たちは、喰らい続けるゴブリンたちに襲いかかった。
ひとたまりもない――はずだった。
そのとき、一匹のゴブリンが、倒れたレッドボアの牙を見つけた。
それを必死に引き抜き、仲間に襲いかかっていた魔獣に向かって突き刺す。
牙は深々と魔獣の腹に突き刺さり、悲鳴が響いた。
それを合図にしたように、ほかのゴブリンたちも喰らうのをやめ、次々と反撃を始める。
魔獣たちは、ゴブリンなど格下の雑魚だと侮っていた。
だが、彼らは生きるために、喰らい、戦い、死と隣り合わせの世界を生きてきた。
数日の戦闘の末、ゴブリンたちは多くの仲間を失いながらも、魔獣たちを殲滅することに成功する。
そしてそのとき――。
一匹のゴブリンが、ホブゴブリンへと進化した。
力を手にしたその存在は、もはや群れの“中心”だった。
彼のもとに、他のゴブリンたちが本能的に集まる。
魔獣たちを喰らい尽くした後、ゴブリンたちは数日かけてその場に残った肉を漁っていた。
だが、やがて食料は尽きる。
空腹と本能に突き動かされ、彼らは新たな獲物を探すべく動き出そうとする。
そのとき、ホブゴブリンがふと目を向けた先に、“道”が見えた。
それは、リュディアたちが残した――大量に樹木が倒された跡だった。
ホブゴブリンは、迷うことなくその道へと足を踏み出す。
その背を追うようにして、十匹のゴブリンたちがあとに続いた――。
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