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プロローグ・懺悔懺悔六根清浄
透明な人だと思った。
薄くカーブを描く唇
雪のように白い髪に肌
年齢の割には少し小柄な体
その指先から紡ぐ技は強力で、美しくて
出せない感情全てをぶつけているような気がした。
もし俺が、あの人の運命を知っていたら
もし俺が、ちょっとでもあの人を理解できていたら
結果は少しは変わったかも知れない。
あの哀しい笑顔を、和らげたかも知れない。
どんなに懺悔したって、あの人とはもう笑い合えない
どんなに後悔したって、俺がしてしまったことは変わらない。
だから、どうか赦さないでくれ
俺がまた貴女と会えた時は、思い切り罵ってくれて構わない。
なんて
全部世迷言だ。