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ゴブリンと戦いと

揺れる車中。ファンタジーや歴史モノで目にする荷馬車の中で、四人は景色の変わらないにもかかわらずただ外を眺めている。


「な、長い。道が長すぎる・・・・・・」


「ぎぃ・・・・・・」


ただただ、鬱蒼とした森林に通っているデコボコの道筋を馬は一身に歩き続ける。


彼らが現れるまでは―――



▲▲▲



甲高い馬の声で馬車はその車輪の回転を止めた。


「おじさん、何かあった?」


「前に、ゴブリンが居るんだべ。襲われるかもしれねぇど」


田舎特有の語尾から、少しながら焦りが聞いて取れる。


「!!た、大変ですミアさん!どうしましょう・・・!」


焦るリルを諌めると、M5ライフルを手に取り馬車をおりた。


影から前を除く。ゴブピイやビリヤと変わらない緑の小人が五人―――

マガジンを装填しセイフティを親指で連発に変え、チャージングハンドルを引く。


「なんの用!?」


一気に馬車の影から出ると銃口をゴブリン達に向ける。

首を傾げる彼らの中から、一人の小さなゴブリンが前に出る。


「ゴドバ、ワガル・・・ガ?」


「え、ええ」


汚く聞き取りにくいその声は明らかに人語である。


「オレダチ、ヘイワ、ヅギ。ナガマ・・・アヅメル。ソゴ、ブダリ、イイヤヅジッデル」

「オレダチ、ナガマ、ゴノマエ、ハグレダ」


「グギ、べギャ」二言ゴブリンが声を上げると、呼応してゴブピイ達が馬車から降りた。


「そそ、そんな、ビリヤ待ってよぉ〜」


ビビり散らしながらリルも、馬車を下りる。


「ダビビド、ダノミアル」


「頼み?」


「オレダチノムラ、バゲモノオゾワレル。バゲモノダオジデグレ」


「見返りは?」そう聞くと話者ゴブリンは雑嚢から一つの石を取り出す。


「オレダチ、カネナイ。ゴレムラニアッダ」

「ダガラモノ。オマエヤル」


虹色に輝く丸い石。手のひらサイズのそれを見て私は何故か興味を引かれた。


「だってリルちゃん。この仕事受ける?」


「み、ミアさんがやるなら、付き合います」


「決まり」と応えると私はその石を受け取る。


「イマガラ、オマエラヅレテグ」


ゴブリン達に連れられて鬱蒼な森へと足を進めた・・・・・・


▲▲▲


「ゴゴ、ヤヅラズンデルアナ」


「どんな相手?」


「デガグデガタイ、ケムグジャラ」

「アダマフダズ。ゴエデガイ」


何となく全容を想像する。


「ふむ・・・良し。リルちゃんはゴブリン達を守って。ゴブリンは投石やら弓やらで相手を攻撃」

「その隙に私が蹴りをつける。それでOK?」


「はい」「ワガッダ」との返事を受け取ると早速メニューからスタングレネードを取り出す。


「一つだけ気を付けて欲しいんだけれど、私が合図したらみんな目を瞑って耳を塞いで」


了承を得ると洞窟へと向かう。



「くっさい洞穴ね」


「うう、骨が沢山散らばってます・・・」


横に三、四人は広がれる程の洞窟内には至る所に何の物か分からない骨が散乱していた。すると突然一人のゴブリンが声を発する―――


「ブービャ!ビナ!!」


「ナニガグ―――」


言い終わる前に前方から虚栄が猛突進。一人のゴブリンがそれの餌食となり吹き飛ばされる。


「出たッ!!」


「ブイギ!ビガギャ!」


投石を開始するゴブリン達。それらを護衛するリルから距離を取りM5を構える。

突進をやめた”それ”はクマとイノシシを掛け合わせた様な双頭の化け物。


「みんな目を瞑って!」


「ニィギ!」


M84スタングレネードのピンを抜き獲物へ投擲―――

炸裂すると瞑ったまぶた越しに光が一瞬差し込む。


「ギャグルルァ!!ガガァァァ!」


とてつもない鳴き声が洞窟に響き渡る。


「今ッ」目を開き銃口を向け・・・・・・獣へと6.8mmの弾丸が四発撃ち出された。

それを受けた獣は硬い皮膚にめり込み、体内に侵入。貫通せずに内蔵がぐちゃぐちゃとなってもがきながら倒れた―――



▲▲▲



「ゴノオン、ワズレナイ」


そう言った彼に私は手を差し出す。

キョトンと首を傾げると手を差し出しそれを握る。


「ゴブピイとビリヤの事、よろしくね」


「アア」しっかりと頷く話者ゴブリンの手を離すと、私はゴブピイとビリヤの前に行く。


「短い間だったけど楽しかったわ。また会いましょう」

「今度はもっと美味しいシチューを振る舞うから」


二人を同時に両手で抱きしめる。


「ピグゥ」「ピゥ」少しばかり悲しそうな二人の声を聞いた後に手を離し、続いてリルが二人を抱きしめた。


「うぅ・・・二人とも、元気でね・・・・・・」



こうして、短くも大切なひと時を過ごした緑の小人と別れを告げ、私達は次なる都市―――王都リナティへと馬車を進めた。

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