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いざ、王都へ

王政ロナーディ西方 ティティーリア海 11:26


「ナジーラン公国艦隊・・・・・・規模から見て二個艦隊」


情報筋から流れてきた有力な情報―――ナジーラン公国海軍の演習がロナーディ近海で行われるとの情報は正しかった。


『先導中のラデ・ナリーから旗艦ボストア』


旗艦に設置された艦隊魔力通信機の、特徴的なラッパからフリゲート艦ラデ・ナリー艦長の声が船室から聞こえてきた?


「ボストアからラデ・ナリー。ナジーランの艦隊が見えるか?」


『もちろんです提督。14隻、二個艦隊ほどの規模で我々と同航方向に進んでます』


目配せをし、通信機専属の部下に目配せをし全艦に通信を繋げる。


「この距離を維持しつつ監視を続ける。各艦砲撃は絶対に禁止だ」


毎度の挑発的な演習に過ぎないと、この時の彼らは誰もが思っていた。



王政ロナーディとナジーラン公国。国境を接する二カ国は10年前までは、比較的良好な関係であった。

しかしナジーランに君臨した新たな君主の拡大政策によりロナーディとの関係は悪化。やがて各地域で挑発行為や国境線での組織的な犯罪行為が多発する事となった。



15:21


「提督、ミャロットラマフィンはいかがでしたか?」


「うん、美味かったよ。茶が進んだ」


ハンカチで口元を拭うと、料理長に例を告げる。

酷く揺れる船内で、時折小さな爆発の煙が薄らと目視できた。


「ただの、演習だな」


「そろそろ帰ってもらいたいものですな」


艦長を傍らに、左舷に立つ二人の海軍軍人。

濃い青の軍服が海の男としての覇気を漂わせていた。


『ラデ・ナリーからボストア。ナジーランが回頭し始めまし―――』


一層大きな爆炎が、海の向こうから現れた。

それを放てるのは、ナジーラン海軍の主力重魔力推進砲か・・・・・・?


「敵艦発砲ッッッ!!!」


「総員戦闘配置に着け!急げ!!」


着弾までの数秒―――この距離であれば魔力推進砲では命中は難しい。


その筈だった。


船は大きく揺れる。目の前に水柱が立ったのと同時に、海水が一気に甲板上に雪崩込む。


『フリゲート艦ザシリス被弾!!』


背後から、大爆発が起きた。


「や、奴らめ何を持ってきやがった!?」

「各艦に通達、菱形陣形に移行!」


揺れの勢いに、隣の艦長は膝を着いていた。

転進したナジーラン艦隊がこちらへ直進を開始していた。



▲▲▲



「こ、こりゃ、いってぇ何が―――」


港で作業中の水夫は、ボロボロになった一隻の帆船に目を奪われていた。

そしてその日、出撃した艦隊五隻は一隻のフリゲート艦を残して帰っては来なかった。



◆◆◆



「ふうっ、やっと帰ってこれました」


リルの一声で、ミアは肩を落とす。

既に日差しは姿を消し、残り香が辛うじて暗闇を照らしている。


「外号!!外号だよ!」

「冒険者さん?サービスだ受け取んな」


人だかりの中、一枚の紙を渡される。

書かれている文字は読めないが何かでかでかと表紙を飾っているのだろうと想える。


「なんて書いてあるの?」


「こ、これは―――王政ロナーディとナジーラン公国が開戦したと」


この世界でも戦争が始まってしまった・・・・・・


「ギビィッ」


赤いスカーフを首に提げたゴブピイがギルドを指さす。

その先には、掲示板にでかでかと大きな紙が一枚貼られていた。



「戦争に伴い王都での警備や魔獣討伐の仕事に従事する冒険者を募集する、と」


「って事は、都会に行けるチャンスでもあるって訳ね!リルちゃん、行こうよ」


「そうですね。ここよりも報酬がいい仕事を得られるなら行く価値は有るかもしれません」


「決まり!」そう言いながらパチンと指を弾く。



〜翌日〜


「それじゃ、王都へ出発ね」


王都へ向かう馬車に乗り、早速数日過ごしたこの村へ別れを告げた。


▲▲▲


険しい道筋を西へ向かう。未舗装の道路はデコボコとしていて揺れが酷い。


「王都ってどれくらい栄えてるの?」


「王都リナティは、この国の首都らしく周辺国に劣らず栄えていて、特産品であるポケリアケーキはチーズと蜂蜜がふんだんに使われていてとても美味しいんですよー!」


そのポケリアケーキと呼ばれる特産品に固唾を飲む。この世界に飛ばされてからスイーツと呼べる物を口にしてこなかった私にとって『ケーキ』と言う単語に過剰反応を示してしまった。


道中、私は執拗にそのポケリアケーキや他のスイーツの事を根掘り葉掘り聞くこととなった。

「艦隊魔力通信機」

個人レベルでの魔力を動力と電波に用意た通信機器。魔力通信機の艦隊間通信用に作られた物。ラッパのような発声兼送受信アンテナが特徴的。古い蓄音機に似ている。


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