晩餐会
今夜は月に一度の両親との晩餐会である。
毎日のように鞭打たれてきたので膝の裏はミミズ腫れと出来かけの瘡蓋でボロボロだが可愛いピンクのワンピースで隠されていて、ただの異常に美しい幼女にしか見えない。(なんだそれ?)
テーブルマナーの実践とのことでバザン夫人も同伴することになっている。
(ってか、監視だよな。)
両親ともに忙しくされているのは理解しているが、3才の娘と顔を合わせるのが月1回とかネグレクト入ってんじゃないだろうか、なんて前世も今世も疑っていた。
食事はほぼ無言で終わり、食後のお茶を頂いて終了となる頃、
「おとうさま、しつもんがあります。」
「なんだねシャルロット。」
「ししゃくとこうしゃくはどちらがみぶんがうえですか?」
「公爵だよ。」
「では、ししゃくふじんとこうしゃくけれいじょうでは?」
「「「!!!」」」
場の空気が凍りついた。
「お、お嬢さま、就寝の時間でございます。お部屋に戻りましょう。」
おっとりした口調に似合わず素早い動きで幼女を椅子から抱き上げようとするバザン夫人。
シャルロットはテーブルにしがみつくと、
「おとうさまこたえて!
もういたいのはいやなの!
きょうはもうちがでてるからむちでうつのはやめて!
おねがいしますふじん!おねがいします!」
大泣きしながら踏ん張る幼女。
「待ちなさい夫人!
おい、シャルロットをこちらへ。」
バザン夫人を制し執事のセバスチャンに命じる公爵。
「シャルロット、どこを鞭で打たれたんだい?」
「お、おひざです、ヒック、お、おとうさま、ヒック」
ワンピースをソッと捲ってみる。
「貴様!」
真っ青なバザン夫人を真っ赤を通り越して赤黒い顔のアズナヴール公爵が怒鳴りつける。
「タダで済むと思うなよ。連れていけ!」
公爵はセバスチャンに命じ、セバスチャンはバザン夫人を伴いダイニングを出ると室外で待機している護衛騎士へ引き渡す。
そのまま地下牢に連れていかれたバザン夫人は表情の抜け落ちた顔でされるがままになっていた。
その前に公爵夫人はショックで気を失しないそうになり侍女に連れていかれていた。
公爵はシャルロットの前に跪き、
「シャルロット、今まで気づいてやれず申し訳なかった。
父親として失格だな。やり直す機会を与えてはくれないか?」
「いいのです、おとうさま。もうぶたれないならそれで。
しんぱいかけてごめんなさい。」
「何を言うんだシャルロット!お父さんが悪かった!済まない済まないッ!」