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状況把握

シャルロット・アズナヴール、公爵家の一人娘。

父はドミニク・アズナヴール、ラ・トゥール王国に一つしかない公爵家の当主で貴族院議会の重鎮。

母はフランソワーズ・アズナヴール、社交会の華でありながら領地経営に手腕を振るう才媛である。

アズナヴール公爵家は広大かつ豊かな領地を治め、王族の血も流れる由緒正しき筆頭貴族。


「そこのひとりむすめだもの。おうひになるのがひつぜんよね…」


ひとしきり前世のキャラで想いを吐き出したあとは普段通りのマセた幼女。

起床を確認した侍女が入室し身支度を整えてくれてダイニングへ。

だだっ広いダイニングに入るとメイドに給仕されて一人で食事。


(まだ3才やぞ!親はどーした!責任者出てこーい!)


前世が出てきて心の中でツッコミが入る。

「ぜんせいいひと」なんていうセルフフォローも心中で行われ、

ただのマセた幼女であった昨日までよりも生きる気力が湧いてきた。

しかし、この後のことを考えると前途多難であることに目眩がした。


---


自室に戻ると乳母であるバザン夫人が待ち構えていた。

すでにオムツもとれ、普通に歩け、言葉も操れる3才児に乳母は要らないのだが、契約は5才まで。

せっかくだから礼儀作法を教えておこうということになっていた。表向きは。


「お嬢さま、今日はお茶の淹れ方をお教えしましょう。」

「よろしくおねがいしますわ、バザンふじん」


ギラリと本来なら美しいのであろう灰色の瞳を光らせて真っ赤な唇が弧を描く。


「お嬢さま、カーテシーのタイミングがズレておりましたよ。」


猫撫で声で優しげに指摘しているようであるが手には矯正用の鞭がシッカリ握られていた。


「5回ですね。」


ビシッビシッビシッビシッビシッ


打たれた膝の裏には無数のミミズ腫れが。

蹲り無言で涙を流す3才の幼女を見下ろして、


「まだお茶淹れはムリのようですね。

次回までにはカーテシーを間違えないようになさってください。

では、ごきげんよう」


シャルロットは乳母に虐待されていたのだった。

子爵夫人である乳母に逆らえない使用人たちは見て見ぬふりである。


バザン夫人が退出すると黒髪黒瞳ボブカットのメイドが駆け寄る。


「お嬢さま、ベッドにお運びします。」


無言で涙を流し続ける幼女をソッと抱き上げてベッドに下ろし傷口に軟膏を塗る。


「こんなことしか出来なくて申し訳ありません…」

「いいのよクロエ。わたしはだいじょうぶだから。」

「ウウッ!」


虐待されている幼女に気遣われて普段は無表情なメイドの目から涙が溢れる。


(やっべー、この娘いい子じゃん。ザ・クールビューティーだな。レプリカントかな?電気羊の夢を見ちゃう?これが稀に見せる涙、たまんねー)


虐待されている幼女が絶対考えないことを考えてる自分(前世)に呆れつつ、


(さてどうしましょうか…)


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